日本近代化の立役者《第2回 明治後期 編》

【まとめ】王と呼ばれた経営者たち

日本近代化の立役者《第2回 明治後期 編》

 アメリカの石油王ジョン・ロックフェラー、発明王トーマス・エジソン。彼らは自らの才覚で一代にして巨万の富を築き、「〇〇王」と称された。そして実は日本にも「〇〇王」がいた。今回は日本近代化の立役者となった日本の「〇〇王」たちをまとめてみた。

発明王・織機王 豊田 佐吉 (とよだ さきち)

 1867年生~1930年没。静岡県湖西市生まれ。トヨタグループの創始者。豊田紡織、豊田自動織機製作所(現 豊田自動織機)などを創業した。トヨタ自動車は豊田自動織機の自動車部門が分社化して生まれており、それが現在のトヨタグループの源流となった。織機をはじめ数多くの特許を取得し、「発明王」、「織機王」と呼ばれた。

鉄道王 根津 嘉一郎 (ねづ かいちろう)

 1860年生~1940年没。山梨県山梨市生まれ。根津財閥の創始者。甲州財閥、東武鉄道、南海鉄道(現 南海電気鉄道)などを創業した。数々の名家とともに鉄道期成同盟会を結成し、中央線などの施設運動を行う。その後、東武鉄道の初代社長に就任した。日本の多くの鉄道敷設に携わった功績から「鉄道王」と呼ばれた。

石油王 中野 貫一 (なかの かんいち)

 1846年生~1928年没。新潟県中蒲原郡生まれ。新潟県の新津油田を中心として最盛期の年間石油産出量は日本一を誇り、「石油王」と呼ばれた。

セメント王・事業王 浅野 総一郎 (あさの そういちろう)

 1848年生~1930年没。富山県氷見市生まれ。浅野財閥の創始者。浅野セメント(現 太平洋セメント)、鶴見埋立組合(現 東亜建設工業)などを創業した。東京湾の埋め立てを行い、京浜工業地帯の形成に貢献した。数々の事業を仕掛け、また日本のセメント産業の礎を築いた功績から「セメント王」、「事業王」と呼ばれた。

保険王 矢野 恒太 (やの つねた)

 1866年生~1951年没。岡山県岡山市生まれ。第一生命保険の創始者。日本で初めて相互会社(※)形式で会社を設立した。日本の生命保険の礎を築いた功績から「保険王」と呼ばれた。

※相互会社:保険会社のみに認められている会社形態。保険契約者同士が保険料を出し合い、有事の際に保険金を受け取るという、保険業特有の相互扶助の仕組みに適した組織体系。

楽器王 山葉 寅楠 (やまは とらくす)

 1851年生~1916年没。和歌山県和歌山市生まれ。ヤマハの創始者。初めて国産のオルガンとピアノを製造した。日本が世界に誇る楽器メーカーを築き上げ、「楽器王」と呼ばれた。

ヴァイオリン王 鈴木 政吉 (すずき まさきち)

 1859年生~1944年没。愛知県名古屋市生まれ。鈴木バイオリン製造の創始者。初めて国産のヴァイオリンを製造した。世界中で人気を集めるヴァイオリンメーカーを築き上げ、「ヴァイオリン王」と呼ばれた。

ビール王 馬越 恭平 (まこし きょうへい)

 1844年生~1933年没。岡山県井原市生まれ。大日本麦酒の元社長。三井物産から派遣され、日本麦酒の再建を担った。日本麦酒、札幌麦酒、大阪麦酒の3社を合併させ、大日本麦酒を設立して社長に就任した。国内市場シェアの約80%を獲得し、「ビール王」と呼ばれた。

菓子王 森永 太一郎 (もりなが たいちろう)

 1865年生~1937年没。佐賀県伊万里市生まれ。森永製菓の創始者。アメリカのオークランドにあるキャンディー工場で掃除係として働き、帰国後に森永西洋菓子製造所を創業した。日本に西洋菓子を普及させ、「菓子王」と呼ばれた。

真珠王 御木本 幸吉 (みきもと こうきち)

 1858年生~1954年没。三重県鳥羽市生まれ。ミキモトの創始者。中国人向けの貿易商品として三重県志摩の特産物に目を付け、真珠を宝飾品として販売する。世界で初めて真珠の養殖に成功し、「真珠王」と呼ばれた。

煙草王 村井 吉兵衛 (むらい きちべえ)

 1864年生~1926年没。京都府生まれ。村井財閥の創始者。村井兄弟商会、日本カタン糸などを創業した。日本で初めて『両切たばこ』を販売した。東京の岩谷商会と激しい争いを繰り広げながら、国内トップクラスのたばこメーカーを築き上げ、「煙草王」と呼ばれた。

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