株式会社ジールコミュニケーションズ 取締役 Webリスクコンサルティング事業部長 大野 真太郎

見つかってからでは遅すぎる ネット風評被害から企業を守る方策

株式会社ジールコミュニケーションズ 取締役 Webリスクコンサルティング事業部長 大野 真太郎

2010年から2014年の5年間でインターネットを介した犯罪の相談件数は1.6倍にも増加した(警察庁資料より)。とりわけ企業にとって問題となっているのがネット上での誹謗中傷。「ブラック企業」よばわりされて、多大な損害を被るケースも。クチコミを掲載する転職サイトの急増やSNSの普及により、情報拡散スピードが格段に速くなったいま、企業は真剣に対策を講じる必要がある。そこで6000社のネット風評被害相談を受けてきたジールコミュニケーションズの大野氏と木戸氏に、経営者が知っておくべき予防策や対処法を聞いた。

※下記は経営者通信36号(2015年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

トップの考えが理解されず 元社員が悪意のカキコミ

―ネット上の風評被害に関する最新事情を教えてください。

大野 企業が巻き込まれるリスクが高まっています。2014年の当社へのネット風評に関する相談件数は、前年比で170%増。その7割が企業からで、ほとんどが離職者による掲示板や転職サイトへのカキコミに関するものです。たとえば、「社長がワンマン」「同族会社なので情実人事が横行」のように、一方的な価値観で否定的にとらえたもの。あるいは「あの会社は上司が帰るまで帰れない」「毎日、終電帰りだ」など、ブラック企業を連想させるようなカキコミ。「そのようなものを見つけたが、どうしたらいいのか」という相談です。

木戸 離職者のカキコミのなかには、「辞めさせられた」という恨みから悪意をもって陥れようとするものも見受けられます。そんなカキコミが拡散し、知らぬ間にネット上でブラック企業よばわりされて、採用内定者の辞退が相次いだ企業から相談されたこともありました。ネットの評判が成長戦略に多大な打撃を与えた一例です。拡散してしまった風評被害からの回復には、時間もお金もそれなりにかかるので、日ごろから巻き込まれない予防対策を講じるべきです。

―どうすれば予防できるのですか。

大野 ネガティブなカキコミをされない社内体制づくりがもっとも重要です。離職時に守秘義務契約を交わすのは当然ながら、そのうえで会社が目指す方向性やトップの考えを社員一人ひとりに理解させることが、離職後の風評被害を防ぐ第一歩。会社と個人の間に価値観のギャップがあればあるほど、風評被害にさらされるリスクは高まります。

木戸 日ごろから研修や面談を通して、会社の姿勢を理解してもらうことが大切です。また、労働環境への不満はカキコミの原因になりがちです。社内にヘルプラインを設け、そうした声に耳を傾ける体制づくりをする企業が最近増えてきました。

風評被害の監視を社員がすると 精神的ダメージを受ける場合も

―ネット風評被害対策は弁護士に相談すればいいのですか。

大野 裁判を通じて悪意あるカキコミをした人物を特定させたいときなどは弁護士に依頼するべきでしょう。ただし、それは風評被害が起きた後。私たちは社内の内部改善支援など、原因となる根本的な問題とその対策についてもアドバイスしています。それにより、風評被害を未然に防ぐことができます。

木戸 被害発生後の対処も支援します。「悪意あるカキコミを見えなくしたい」という相談には、技術的に対応します。たとえば、「逆SEO対策」。検索結果のトップページに企業のポジティブで良質なサイトを上位表示させることで、結果的にネガティブなサイトを下位表示にします。「ネガティブワードが検索の際に関連で出てくる」という案件で、見えなくさせた実績もあります。

―ネット上の風評に不安を抱く経営者にアドバイスをお願いします。

木戸 ネットの掲示板などにネガティブな情報が表示されていないか、日ごろからチェックしておくことが大事です。風評被害対策を専門とする企業に依頼すれば、監視を専門とするスタッフがそろっているので、情報が拡散し炎上する前に手を打てます。

大野 監視を自社の社員にやらせると、ネガティブなことにかかわったせいで、精神的なダメージを受けるリスクもあります。万が一、風評被害に遭ってしまったとき、すぐ相談できる、信頼できる風評被害対策会社であれば、どういう手を打てるか、施策を具体的に開示し、アドバイスできます。たとえいまは被害に遭っていなくても危機管理の一環として風評チェックは必要です。気軽に相談してほしいですね。

大野 真太郎(おおの しんたろう)プロフィール

1989年、宮城県生まれ。2010年3月に株式会社ジールコミュニケーションズ入社。2012年8月に取締役に就任。現在に至る。

Webリスクコンサルティング事業部 マネージャー 木戸 新之助(きど しんのすけ)プロフィール

1987年、千葉県生まれ。都内の大学を卒業後、大手携帯電話メーカーの販売代理店を経て、2012年11月に株式会社ジールコミュニケーションズに入社。

株式会社ジールコミュニケーションズ 

設立 2008年10月
資本金 2,275万円 / 5,725万円(グループ全体)
従業員数 60名 (2015年4月現在:グループ全体)
事業内容 Webリスクコンサルティング事業、Webマーケティング事業
URL http://www.zeal-c.jp/
お問い合わせ電話番号 03-6433-5701(受付時間 平日9:00 ~19:30)
※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。