弁護士法人M&A総合法律事務所 代表者 土屋 勝裕

急増する「少数株主問題」の解決は、経験豊富な弁護士選びが最大のカギに

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表者 土屋 勝裕

2025年の国内M&A市場は、件数・金額の双方で過去最高を更新(※)したという。その背景には、年間数千件におよぶともされる事業承継の増加や、M&A仲介業者の増加などがあるとされる。一方で、そこでのM&Aトラブルの急増も社会問題化している。長年、この分野で多くのM&Aトラブル案件を手がけてきた弁護士法人M&A総合法律事務所で代表を務める弁護士の土屋氏は、「これらの問題は、高度に専門性が求められるだけに解決が難しく、泣き寝入りしてしまっている経営者が実に多い」と指摘する。指摘の詳細やその解決策などについて、同氏に聞いた。

※過去最高 : レコフデータ調べ

急増するM&A・事業承継トラブル。とりわけ「少数株主問題」が深刻に

―近年、急増しているとされるM&Aや事業承継のトラブルをめぐる現状を、専門家としてどのようにみていますか。

 この10年で、M&Aや事業承継にまつわるトラブルが急増しているのは事実です。M&Aや事業承継のトラブルを専門とする当事務所にも、週に数件ペースで相談が舞い込んでいる状況です。

 その背景としては、単純にM&A、事業承継件数の増加に加え、成約を急ぐ仲介業者の増加、さらには売り手・買い手の不勉強といった要因があり、これらが複合的にからみあっています。

 M&Aや事業承継をめぐっては、「投資は自己責任」という主張をM&A仲介業者などが説いていることもあり、本来は負う必要のない損害を背負い、泣き寝入りしている経営者も少なくないのが実態です。そのため、潜在的なM&Aトラブルは把握されている数よりもずっと多いはずです。

 これらのM&A、事業承継トラブルのなかでも、とりわけ私がその動向を注視しているのが、「少数株主問題」です。

―それはなぜでしょう。

 少数株主から株式を買い取り、会社や経営者に対して高額での買い取りを求めるといった、悪質な株式買取業者によるトラブルが近年非常に増えているからです。一般的なM&Aトラブルに対し、少数株主問題のトラブル件数は5~10倍にのぼるというのが私の肌感覚で、その一部が顕在化し始めている状況と思われます。株式買取業者とのトラブルは、経営者が業者から強い圧力を加えられたり、多額の金銭要求に発展したりするなど、経営そのものに大きな悪影響をおよぼす事例もあるだけに、経営者にとっては深刻な経営問題といえます。

高度な専門性が求められ、「解決できる弁護士が限られている」

―それらのトラブルを解決する際の、重要なポイントはなんでしょう。

 もっとも重要なのは、M&Aや事業承継にまつわるトラブル、さらには少数株主問題の解決に秀でた弁護士を見極めること、それに尽きます。じつは、これらのトラブルが急増している原因の1つに、「解決できる弁護士が限られている」という現実があります。この分野の紛争解決には、契約や会社法、株価算定、税務、会計といった多岐にわたる高度な専門性が求められるうえ、ファイナンス理論やディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)などの経営学の知識も必要とされるためです。

 さらに、交渉や裁判といったM&Aトラブル処理の実務経験も大きく問われ、そこではM&A・事業承継トラブルや少数株主問題特有の事例にも対処できる力量が求められます。

―たとえば、どのような事例があるのでしょう。

 「偽造証拠の提出」などは、典型的な事例です。M&Aトラブルでは、裁判の場に偽造証拠が提出されることがありますが、当事者主義(※)が原則である法廷では、弁護士が適切に指摘しなければ、裁判所がその証拠の真偽を職権で積極的に調査してくれるわけではありません。そのため、偽造証拠をもとにそのまま敗訴に至るケースも実際に多くあると思われます。つまり、M&Aトラブルの裁判では、そもそも相手の主張の前提や構造を含めて検討する能力が問われるというわけです。単に法務手続きを行うだけでは足らず、同じM&Aに携わる弁護士であっても、仲介や手続きを中心とする対応では足りず、紛争構造、証拠、株価評価、立証戦略、証人尋問、裁判戦略まで踏み込む必要があります。

 その点、当事務所には、過去数百件におよぶM&Aへの関与実績を背景に、M&Aや事業承継のトラブルを専門に扱ってきた豊富な実績があります。証拠や資料が偽装であることを立証するための手法や経験則を有していることも、当事務所の強みの1つでもあります。

※当事者主義 : 裁判や訴訟において、事案の解明や証拠の提出などの主導権を、裁判所ではなく、当事者に委ねる原則。

最高裁判所における株式買取請求裁判で逆転勝訴判決を獲得

―具体的に、これまでの実績を紹介していただけますか。

 代表的なところで言えば、当事務所として2023年10月、最高裁判所における株式買取請求裁判で逆転勝訴判決を獲得しているほか、今年2月には、株式買取業者の非弁行為が認定され、これを違法・無効とする画期的な逆転勝訴判決を獲得しています。

 これらの裁判実績が評価され、税理士や公認会計士など士業の方々や、経営者のみなさんからご紹介をいただくかたちで、数多くの相談事案が当事務所に寄せられています。「ほかの弁護士事務所では解決できなかった」として、当事務所を訪れる相談者もよくいらっしゃいますね。

―M&Aや事業承継でトラブルを抱える経営者にアドバイスをお願いします。

 M&Aや事業承継は、どのケースも会社の将来に影響を及ぼす重要局面の1つといえます。しかしながら、M&Aや事業承継後にトラブルが顕在化するケースも多々あります。当事務所は、交渉から裁判に至る一連の事案解決プロセスを一貫して対応してきた実務経験を背景に、裁判に発展する前の初期段階で、裁判手続きを使用することなく、交渉を通じて適切な解決へと導いていくことに注力しています。経営者の意思決定を支え、信頼されるパートナーでありたい。それが当事務所の願いです。M&A・事業承継・少数株主で不安を抱える経営者のみなさんは、ぜひご相談ください。

土屋 勝裕 (東京弁護士会所属・登録番号26775)(つちや かつひろ)プロフィール

1999年に弁護士登録。以来一貫して、M&A、訴訟紛争解決、M&Aトラブル、少数株主トラブル、事業承継トラブルなどの実務に従事。弁護士実務と並行して、慶應義塾大学大学院経営管理研究科や米国ペンシルバニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論・企業価値評価理論およびM&A、不動産投資、交渉理論を専攻。経営、投資、ファイナンス理論・企業価値評価理論を修得する。

弁護士法人M&A総合法律事務所

創業 2012年4月
従業員数 10名 (2026年6月現在)
事業内容 M&A、M&Aトラブル、事業承継トラブル、少数株主問題、株式買取請求、株式買取業者対応、企業間紛争への対応
公式サイト https://tokyo-malaw.jp/
M&Aトラブル専門サイト https://maトラブル.com/
少数株主対策スクイーズアウト専門サイト http://www.squeezeout.jp/
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