自分の強みを知れば 人は成長していく
―中小・ベンチャー企業における社内研修にはどのような課題がありますか。
研修が人材育成に結びつかないことです。
人材育成や組織力の強化に悩みを抱える経営者の多くが、対策として研修を実施しています。しかし、知識や業務スキルの習得に重きを置いた社内研修の場合、期待どおりの成果にいたるケースは少ないといえます。
では、どのような研修が成果を上げるのかといえば、社員の「自己基盤」を育てる研修です。優れた能力と行動力で実績を築いてきたリーダー層は、自分と同じやり方をすれば部下も成果を上げられると考えます。しかし自己基盤ができていないところに、知識や業務スキルを教えても、行動には結びつきません。予期せぬトラブルも起きるビジネスの場では、自己基盤がなければ適切な行動に向けた判断ができないからです。
次に必要なのが、現在いる人材を活かす研修であること。個を活かしてチーム内のパフォーマンスを最大化させることです。
―自己基盤の形成につなげ、個を活かすために、適している研修を教えてください。
だれしもが持っている「行動の癖」「思考の癖」「感情の癖」を「才能」と定義し、自分の才能の把握を目標におく、SF研修が適しています。才能は全部で34種類に分類されています。研修前にWebサイトで180個の質問に答えていくと、上位5種類が個人の持つ才能として特定されます。
才能は使い方次第で強みにも弱みにもなりえるので、SF研修では、各メンバーが自分の才能を理解し、強みとして使いこなす方法を身につけます。自分の才能を把握し、自己基盤を構築すれば、「仕事ができない→落ち込む→自信をなくす→行動・努力が不足する→仕事ができない」といった負のスパイラルに陥ることがありません。
才能を知った個が 組織を活性化する
―SF研修には、ほかにどのような特徴がありますか。
多様性を受け入れるプログラムです。メンバーが多様性を受け入れ、互いの才能を認めて活かし、相互補完によってチームを活性化していきます。
―研修によって得られる効果を教えてください。
メンバーを変えずに、チームをポジティブで生産的なパワーチームに成長させる効果です。
SFで才能と強みを把握すると、メンバーが互いの才能を理解した補完関係が構築されます。
このような関係が築けると、チーム内に「共通言語」が生まれ、コミュニケーションが増え、互いの悪口やグチを言わなくなります。また、マネージャーもメンバーの強みを活かした人材育成方法を身につけるにつれて、よりメンバーのメンタル面をサポートできるようになるのです。
―SF研修で効果を上げた事例はあるでしょうか。
大手保険会社での例を紹介しましょう。営業所長、マネージャーを含め11名の営業グループ。個々のメンバーの裁量にまかせた営業をしていましたが、つねに成績が低迷。あるとき、「もはや個人の力では売れない」と所長が決断し、SF研修を受けたのです。結果、メンバーの強みに応じた役割を決めてチームで成果を上げるように。全国トップの成績を上げるまでになったのです。
また、大手IT企業では、マネージャー層を対象に研修を実施。SFの基礎知識を習得した後に、コーチングの研修を行いました。それにより、各メンバーの強みを把握しながらコーチングする、新たなマネジメントの仕組みを部署ごとに構築できました。「どんなに美しい靴でも自分の足にあっていなければ、疲れ、歩くことすらできなくなる」。これは私が米国でSFの指導を受けた際の、トレーナーの言葉です。SFは「自分の足にあわせられる靴」。人は自分の才能に気づくだけで驚くほど輝き出し、行動を起こせるようになります。継続的な成長のためSF研修を試してみてください。
後見管理業務における関西最大手の法務事務所のひとつ、司法書士法人おおさか法務事務所。平均年齢32歳という若さを活かし、個人から企業まで幅広い法務に対応。財産管理件数は法定後見だけで100件に迫る。そんな同所が2014年、チーム力を強化するためにさまざまな方法を模索した結果、マーブルのストレングスファインダー(以下、SF)研修を実施した。研修導入の経緯やその成果について、代表社員の川原田氏に聞いた。
相互理解が進まず チーム力向上に限界
―SF研修導入前の課題はどこにありましたか。
当所では長年に渡り、一体感の醸成が組織づくりの課題となっていました。事務所開設直後の約3年間は数名の所員が力を合わせて事務所を支えていました。しかし、所員が10数名に増えた5年目頃から個人プレーが目立って、チームとしてのまとまりが失われていると感じるようになりました。
士業は労働集約型で残業が多く、仕事帰りに飲みに行くこともあまりない職業。忙しい毎日のなかで、お互いに無関心で十分なフォローができないような雰囲気になっていました。チームマネジメント向上策の一環として、マネージャー層を対象としたMBO(目標管理)研修を導入しましたが、課題解決には至りませんでした。
―SF研修を導入したきっかけを教えてください。
木村氏が講師を務めるセルフマネジメント研修の導入がきっかけです。
それ以前のMBO研修では、チームが一体となって組織のミッションや理念、ビジョンを実現していく重要性に対する認識が社内に生まれましたが、具体的な行動には繋がりませんでした。
木村氏と出会ったのはそのようなときでした。「自己理解が深まれば、周囲が変化してもブレない自分をつくることができる。それにより部下とのコミュニケーションも安定する」という木村氏の話に感銘を受け、リーダー研修の一環としてセルフマネジメント研修を導入しました。
その結果、参加メンバーの間ではコミュニケーションが活発になり、それまでにない一体感が生まれたのです。そこで得た効果を一般所員にも広めるため、全員を対象とするSF研修の導入に踏み切ったのです。
所員が能動的に考えて動く組織づくりのきっかけに
―SF研修のいちばんの成果はどこにあったと考えますか。
狙いどおり、メンバー間の相互理解が深まった点です。
たとえば、従来は所内のイベントの準備でも、役割分担がうまくいかず、メンバー同士で大きなストレスを抱えていました。しかし、研修後は、互いの資質を意識して、相違点を受容しあい、適切に役割を分担してスムーズに準備を進められるようになりました。
また、多くのメンバーにポジティブな変化が起きました。従来は消極的だった所員が自分から進んで発言するようになったり、プライベートでも「なかなかできなかった禁酒に成功した」、あるいは「恋人ができた」といった変化もあったのです。
実際にSFのテストを受けてみると、私自身も意外な資質が自分に備わっていることがわかり、とても新鮮でした。新しい自分を知り、それを公表し合うことで相互の理解も深まります。全員で取り組むことで、チームがまとまる効果がより高まったのです。
―その他にどのような効果がありましたか。
普段したくてもできない、業務には直接関係ない話をする機会を得たことです。経営者として創業時の想いや理念、ビジョンを共有したいと考えていても、普段はなかなかそういう機会は得られません。
今回は、SFによって自己理解や自己肯定感が高まった状態で、各自のミッションや組織のゴールなどについて時間をかけて議論しました。そのなかで、自然に私の想いを語ることができ、事務所がめざす理念やビジョンを全員に無理なく浸透させられたのです。
―組織力の向上に悩む経営者へのメッセージをお願いします。
さまざまな市場が成熟している現在、放っておいても成長できるマーケットは限られています。そんななか、社員が能動的に考え、自ら課題を解決していく、風土の形成が組織づくりには必須です。
当所では今後、事業計画も所員が中心となって作成することを検討しています。それを可能にする風土が生まれたきっかけは、自主性を重んじながら組織を伸ばしていく研修でした。
理念やビジョンを浸透させ、個々のメンバーと組織を同時に伸ばすうえで、SF研修は有力な方法のひとつだと考えています。