株式会社ストライク 代表取締役社長 荒井 邦彦

M&Aを活用した成長加速化は、これからの時代の有力な選択肢になる

株式会社ストライク 代表取締役社長 荒井 邦彦

近年、経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業承継の受け皿としてM&Aの活用が急速に増えている。そのM&A市場にも、コロナ禍の影響が直撃。これまで堅調だった推移は落ち込んでいるのかと思いきや、様相はまったく異なるという。「すでにコロナ禍の収束後を見すえた成長戦略が動き始め、M&Aの活発化の兆しが見え始めている」。こう語るのは、M&A仲介業務で国内トップクラスの実績を誇るストライク代表の荒井氏だ。いま、同市場でなにが起こっているのか。今後の見通しとともに、同氏に聞いた。

※下記は経営者通信56号(2021年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

顕著になる業界の寡占化と、新ビジネスの台頭

―近年、事業承継の受け皿として堅調な推移を見せてきたM&A市場に、いまなにが起こっているのでしょう。

 大きくふたつの現象が顕著になろうとしており、それらがM&A市場のさらなる活性化につながると見ています。

 ひとつは、市場の上位企業への「事業集約」です。コロナ禍によって投資に及び腰になる企業が増える反面、収束後を見すえた成長戦略に着手する企業が出始めているのも事実です。特に、相対的に体力がある各市場の上位企業にその傾向が顕著であり、M&Aによって中堅・下位企業から事業を集約する動きが見え始めているのです。コロナ禍は必ず収束するわけで、その時に現在の投資姿勢が、企業の競争力に大きな差をもたらすものと見ています。

―もうひとつの動きとはなんですか。

 混乱のなかで生まれるビジネスチャンスを活かし、多くのスタートアップ企業が新たな事業を次々と生み出しています。それらをM&Aによって伝統的な大手企業が取り込み、社内にイノベーションを起こそうと試みる動きが見られているのです。金融機関やメディアといった、これまでM&Aにさほど縁のなかった企業が買い手になる事例が出てきたのはその証左です。

 一方のスタートアップ側でも、不透明な市場環境のなかでいち早く主導権を握るため、事業ノウハウや潤沢な資金といった大手企業の経営資源を活用して、「成長スピードを高めたい」という想いは強い。M&Aによるイグジットで資金を得て、「次なる挑戦をしたい」という経営者も少なくありません。

―コロナ禍が売り手、買い手双方のM&Aに対する意識に影響を与えているわけですね。

 政府も国内企業の生産性向上を促すため、中小企業から中堅企業、大企業へと規模拡大を働きかける各種支援を打ち出しています。この政策実現は、M&Aを抜きにしては考えられません。

 もともと日本のM&A市場は成長途上にあり、対GDP比でM&A取引金額が7.5%に達するアメリカに対し、日本は1.8%にとどまっています。アメリカではITバブル崩壊によるIPO市場の低迷が、M&A拡大のきっかけになりました。その後、10年ほどの期間を経て投資銀行やコンサルティング会社といった専門機能が育ち、ファイナンスの仕組みや法制度などが成熟し、M&A市場が成長していきました。

 現在の日本は、まさにそうした環境整備が進み、M&A市場はさらなる活発化が準備されている状況と言えます。

業界に先駆けて、ベンチャー専門チームを組成

―環境整備が進んだとはいえ、M&Aを成功させることは簡単ではありません。重要なポイントはなんでしょう。

 売り手と買い手双方の要望を正確に理解し、最適なマッチングへと導く仲介会社の選択は、M&Aを成功させるためにもっとも重要な要素のひとつです。優秀な仲介会社を見極めるうえでは、いくつかのポイントが存在します。

 ひとつは、卓越した専門性です。近年のM&Aでは会計や税務の分析やリスクの洗い出しといった場面で、財務や法律分野の高度な専門知識が求められます。たとえば、当社では公認会計士や弁護士のほか、税理士や金融機関出身者といったそれぞれの領域で卓越した人材を結集した業界トップレベルの専門家集団を構成しています。

 また、相手先の探索精度を高めるマッチング手法の先進性も、ぜひ見極めるべきです。インターネットの活用はその一例ですが、匿名性を担保した譲渡企業情報を掲載し、マッチングをリードするインターネットM&Aサービス『SMART』を日本で初めて提供したのは、当社です(※)。現在ではインターネット経由の成約率が30%に達するほど活用が広がっています。

※ストライク調べ

―ほかにポイントはありますか。

 より良いマッチングを実現するためには、豊富な情報量が必要となるため、外部機関とのネットワークの広さは重要ですね。特に全国の地域金融機関や会計事務所との関係性は重要となりますが、当社の場合、100以上の金融機関と提携を結んでいます。

 さらに、今後増えてくるベンチャー企業のM&Aでは、いかに業界に精通しているかが問われてくるでしょう。

―どういうことでしょう。

 ベンチャー・スタートアップ企業には、業種の枠を越えた横のつながりが密接であるという特徴があり、これらの企業のM&Aを手がけるには、従来のような業種別の専門知識だけでは十分ではありません。ベンチャー・スタートアップ企業の情報や市場の動向をいち早くつかめる、業界に精通したコンサルタントの存在が不可欠になります。そこで当社では、5年ほど前から業界に先駆けてベンチャー・スタートアップ企業の案件に特化したM&A専門チームを組成し、増加するM&Aニーズの受け皿となっています。最近では、保険代理店を展開するスタートアップ企業と金融機関とのM&Aや、医療系IT企業同士のM&Aをはじめ、規模や業種が多岐にわたるスタートアップ企業のM&Aを手がけています。

M&A文化が経済を活性化する

―成長を模索する企業経営者に向けて、アドバイスをお願いします。

 現下のコロナ禍は一過性のことであり、いつかは必ず収束します。その先の成長を見すえた場合、売り手、買い手双方にとって、M&Aは成長戦略の有力な手段として検討していただきたいと思います。特に売り手となる中小・ベンチャー企業のあいだでは、不透明な時代を生き抜く方法論として、また起業家・経営者が正当な経済的果実を得る手段として、M&Aが社会的にさらに浸透していくことでしょう。そうした文化が起業家を育て、経済の活性化を促していくはずです。実績に裏打ちされたノウハウによって、そのお手伝いをしていくことが当社の責務と考えています。

イベント情報

ストライク社主催
オンラインセミナー

毎回、多彩な登壇者を迎え、IT・ベンチャー・スタートアップに向けて、
M&Aを活用した「成長戦略」の事例などを紹介する。
詳細はコチラ https://www.strike.co.jp/seminar/2021/

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荒井 邦彦(あらい くにひこ)プロフィール

1993年に太田昭和監査法人(現:EY新日本有限責任監査法人)に入所。公認会計士として勤務後、1997年に株式会社ストライクを設立し代表取締役社長に就任。以来、数多くのM&Aを成約に導いてきた。2016年6月に同社株式を東証マザーズに上場。2017年6月に東証一部へ市場変更した。 

株式会社ストライク

設立 1997年7月
資本金 8億2,374万円(2018年8月31日現在)
売上高 69億1,600万円(2020年8月期)
事業内容 M&Aの仲介、企業価値の評価、企業価値向上に関するコンサルティングなど
URL https://www.strike.co.jp/
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