「二極化」と「早期化」という2つのキーワード
―今回の「コロナショック」は新卒採用市場にどう影響しますか。
多くの企業が新卒採用枠を絞っていくのは間違いないでしょう。じつは、営業職を中心とする文系総合職は、コロナショック以前から有効求人倍率が下落し始めていました。その背景には、実務経験のない学生を春に一括採用し、総合職としてじっくり育てる従来の採用・育成スキームが、時代のスピード感に合わなくなっている現実がありました。海外のように、実務経験を重視した即戦力人材の採用に舵を切ろうとする動きは、すでに広がっていたのです。
そこに今般のコロナショックが重なったことで、この傾向はより一層強まると予想されます。そうしたなか、採用市場から熱い視線を集めているのが、企業での長期インターンシップを経験した学生です。
―長期インターンシップを経験した学生の実務能力を評価していると。
それだけではありません。長期インターン経験が、若くて優秀な人材層を見極める重要な条件になりえるからです。就職活動に臨む学生の資質を見極めるうえで、2つのキーワードが顕著になっています。それは「二極化」と「早期化」です。
いまの時代、学生でも行動力さえあれば、貴重な経験をいくらでも積むことができる環境に恵まれています。そうしたなかで、社会に興味をもって行動する学生とそうでない学生が二極化し、その経験値の差が年々大きくなっています。経験やスキルアップを望む学生が集まる長期インターンシップはまさにそうした機会の入口といえるのです。
―もう一方の「早期化」とは、どういうことですか。
就職活動の動向も相まって、行動力をもった学生の動き出しが早期化しているのです。実際、当社が運営する『キャリアバイト』に登録する5万人以上の会員学生をみても、会員数自体の増加にくわえ、昨今大学1~2年生の登録が急増しており、その数は全体の3分の1を上回っている状況です。
学生が成長を実感できる、業務設計があるか
―そうなると、結果としてインターンシップは長期化し、成長の機会も豊富になるわけですね。
そのとおりです。長期のインターンシップ経験で磨かれた学生の成長は目覚ましく、実際、当社の分析では、実務能力はもとより、「アントレプレナーシップ」や「チャレンジ精神」といった、企業が採用時に求める資質が高まる傾向がわかっています。さらに、インターンシップ経験で磨かれる「主体性」や「ストレス耐性」は、その後の社会人人生で長期にわたって活躍するための必須条件となり、特に営業職のような厳しい現場では、顕著な差としてあらわれることがわかっています。
ただし、これらの成長の度合いは、良質な育成環境に恵まれるかどうかで、大きく左右されますね。
―どのような育成環境が良質といえるのでしょう。
学生の成長を見すえた育成カリキュラムがあるかが重要です。学生を単に安い「労働力」ととらえ、目先の成果だけを追っている環境では、学生の成長は限られたものになります。逆に、ひとりの貴重な戦力として位置づけ、学生が成長を実感できる業務設計を行えば、自ら成長の機会を求めて参加する学生は非常に純粋で意欲的ですから、そのぶん成長は早い。このような仕組み化ができる会社は決して多くはないですが、そのなかの1社として私が注目しているのは、Step Houseです。同社が輩出するインターンシップ経験者は、就職後、各企業で目覚ましい活躍を遂げていると伝わっています。
https://biz.careerbaito.com/seminar/hiredallyear/
ここまで見てきたように、いま新卒採用市場では長期インターンシップ経験者の存在に注目が集まっている。そうしたなか、アイタンクジャパンの藤原氏が「良質な育成環境を提供している」と指摘するのが、Step Houseだ。同社ではいかにして学生を育成し、即戦力人材として社会に輩出しているのか。同社で長期インターンシップ業務を統括する執行役員の西森氏に聞いた。
ポテンシャル採用の終わり
―長期インターンシップを活用し、優秀な人材を育成していると聞きます。詳しく教えてください。
当社は「人を創る会社」を理念として標榜し、設立当初から学生の長期インターンシップ制度を設け、多くの学生を受け入れてきました。現在、主力の住宅設備関連機器事業を中心に、約200名の営業が在籍していますが、そのうち8割以上は長期インターンシップの学生です。長期インターンシップに参加する学生は、授業のない週末などを使ってスキルアップを求める熱意のある人材ですから、成長が早く、多くが優秀な営業担当者に育ってくれます。長年、社内で培ってきた営業ノウハウを体系化し、それらを当社独自の育成プログラムで教え込むことで、なかには月間1,000万円以上を売り上げる学生も少なくありません。
―卒業後は、優秀な営業として各方面で活躍されているそうですね。
ええ。卒業生の多くは、業種を問わず、営業力を求める国内外の企業に採用されています。ありがたいことに、当社を卒業した人材に対する評価はとても高く、卒業生の人脈を通じて、「在籍者を紹介してほしい」というニーズも高いです。くわえて、近年では長期インターンシップを経験した学生に対する企業の採用意欲がより一層高まっているのを感じます。
―その理由はなんですか。
学生のポテンシャルを重視し、長い時間をかけてじっくりと社内で育成する従来の新卒一括採用に対し、多くの経営者が限界を感じているためです。企業の将来を託せる若くて優秀な人材を採用したいものの、新卒学生の退職リスクが高まっている昨今、社内での育成はコストやリスクが大きいです。特に営業のようなメンタルの強さが求められる職種では、長期インターンシップで実務経験を重ね、一定程度の適性が見込まれる人材を採用したいというニーズにつながっているのです。
そこで当社ではこうしたニーズに応えるべく、当社において長期インターンシップを経験した新卒人材を「即戦力人材」として企業にご紹介する新事業を立ち上げました。すでに、多くの問い合わせをいただいています。
―具体的にどのような育成プログラムを設計しているのですか。
まず、学生が業務を通じて成長実感を得られるように、6階層からなる組織設計をしています。参加した学生はすべて「アポインター」から経験し、住宅への訪問販売を通じて商談を獲得します。この商談をまとめるのが「クローザー」の役割で、半年から1年をかけて、アポインターをクローザーに引き上げていきます。
当社は実践に重きを置いているため、研修やロールプレイングをこまめに行いながらも、当初から単独で現場に入ってもらいます。この孤独でつらい経験のなかで成果を得ることで、営業の喜びを感じるとともに、強いメンタルが鍛えられます。当社の場合、学生が主体となった営業組織なので、トップダウンで指示を出すのではなく、チームで営業戦略を案出するといったボトムアップでメンバーの主体性を育んでいます。当社で営業実務を経験した人材ならば、業種を問わず多くの現場で活躍できる一人前の営業といえるはずです。
「営業の本質」を理解し、人間力も身につける人材へ
―その後は、どのように成長していくのでしょう。
「チームリーダー」や「チームマネージャー」に昇格した人材は、チームとして成果を出すことを学び、メンバーの育成も経験してもらいます。隔月でキャリア面談を行い、5~10年後の人生設計を視野に入れた日々の業務設計を行うキャリアコンサルティングの機会も設けています。さらに、数十人規模のメンバーを統括する「支部長」、その支部長をまとめる「エリアマネージャー」という役職も用意されています。
この育成プログラムにおいて、当社がもっとも重視しているのは、「営業の本質」をしっかりと理解してもらうことです。それは、商品を通じて顧客の課題を解決すること。そこを深く浸透させるからこそ、当社から巣立つ人材は、単に営業力だけではなく、マネジメント力や人間力も身についていくのだと自信をもって言えます。
―新卒採用を成功させたいと考える経営者にメッセージをお願いします。
今回のコロナショックを機に、新卒採用の対象を少数精鋭の即戦力人材へと舵を切る経営者は多いと思います。当社が紹介する人材は、営業力を通じて組織を活性化させることができるチカラをもっています。ぜひお問い合わせください。
訪問販売で、数百万円単位の商材を売る力が身につくと言われるStep Houseの長期インターンシップ。「即戦力人材が育っている」と、企業の人材採用担当者からの注目を集めている。ここでは、同社の長期インターンシップを経験し、卒業後に企業で活躍する3名の精鋭たちを取材。Step Houseの長期インターンシップを通じてどのような成長を遂げたのか、話を聞いた。
考え抜き、行動できる力がついた。自分こそが成長する会社の原動力に
―Step Houseのインターンシップに参加した理由はなんでしょう。
大学3年生に進級した際、「就職活動でアピールできるなんらかの力を身につけたい」と思ったのが理由です。インターンシップ先を探すなかで、Step Houseのインターンシップは、半年以上のプログラムを通じて、個人としての販売能力が身につくと聞きました。「単に電話でアポイントを取るだけ」というインターンシップとは違うと。
―実際に経験した感想は、いかがでしたか。
大学3年生の6月からスタートし、訪問販売で次の商談を約束する「アポインター」、その商談を契約に結びつける「クローザー」を経て、「チームリーダー」として合計6名のインターンシップ生のマネジメント業務も1年間経験させてもらいました。学生の私にとっては訪問販売は過酷でしたが、この経験によって、一営業としての実力だけではなく、チームで結果を出すことの難しさと責任の重さを学びました。
―その経験は、いまどのように役立っていますか。
今年4月に企業に入社したばかりの私ですが、インターンシップでマネジメント経験もできたおかげで、以前よりも物事を俯瞰的にとらえ、広い視野で考える習慣が身についたと感じています。そのせいか、入社後も上司がなにを考えているのか理解できることが多いんです。だから、自分がなにをしなければいけないのか、主体的に考え、行動できていると評価されています。「新入社員は受け身が多い」と言われますが、私は「自分が率先してみんなを引っ張り、会社の成長の原動力になる」と誓っています。
入社時にはすでに、訪問販売への苦手意識がなくなっていた
―業務内容を教えてください。
入社2年目の現在、新卒採用業務を担当しています。当社では、1年目の個人向け保険契約獲得件数で上位10名ほどが、2年目の夏まで新卒採用に携わる習わしとなっています。私は1年目に、58名いる同期のなかで最初に契約をあげ、年間契約件数でも2位を獲得しました。
―なぜ、いきなり好成績をあげられたのでしょう。
Step Houseでのインターンシップ経験の成果です。私は「入社直後からバリバリと働いて契約を取りたい」と思い、就職が決まったのちに、インターンシップ先を探していたところ、就職先の先輩から、「Step Houseなら、社会で通用する営業力が身につく」と紹介されたのです。
―どのような成果が得られましたか。
訪問販売に対する苦手意識がなくなりました。「1日100件の訪問」を目標に、くじけそうになりながらもとにかく場数を踏み、商談を獲得する成功体験を味わってきました。入社後、同期から「訪問販売はつらい」と嘆く声が聞かれるたびに、自分の成長を実感しています。今年の夏からは法人向けの保険セールスを担当します。次は、必ずトップセールスを狙います。
「結果を出さないと認められない」学生時代に実感できた社会の厳しさ
―インターンシップに参加した理由を教えてください。
卒業までの間に、「自分は果たして社会で通用するのか」を確かめたくて、大学4年生の8月から、インターンシップに参加しました。自分の実力を測るには、より厳しい環境でのインターンシップの経験が必要だと考え、完全歩合制の訪問販売を行うStep Houseの門をたたきました。
―インターンシップで得た成果とは、どのようものですか。
当初掲げた目標を上回る、トータル2,000万円以上の売上を達成しました。これまでのアルバイトと比較して10倍近い報酬を受け取り、「結果を出した対価なんだ」と、自分に自信がもてました。一方で、周囲のインターンシップ生との差を実感するケースもあり、「結果を出さないと、社会では認められない」という厳しさも味わった経験でした。
―今後の目標を聞かせてください。
現在、ヤフーで広告営業を行っていますが、インターンシップで厳しい経験ができたおかげで、結果に対する執着は人一倍強くもてています。四半期ごとの目標も「必ず達成できる」と確信をもって営業できています。100名いる同期の間ではもちろん、近いうちに全社でトップの営業成績を達成してみせます。