売上だけにとらわれて見落とされるトラブル
―なぜ、売上が伸びているときに組織の見直しをする必要があるのですか。
売上だけに意識が向くあまり、会社全体のバランスがとれなくなってしまうからです。とくに資金収支。経営者は、全体の売上数字を把握しているのですが、えてして資金収支がおろそかになってしまう。業績が横ばいであればそんなこともないでしょうが、取引規模が急に増えると、資金がひっ迫することがあります。 たとえば、原価60円の商品を100円で売っていたとする。ひとつ売れば40円の利益です。しかし、入金が3ヵ月先で先に仕入れ代を払っていると、その時点での会社の収支はマイナス。これが拡大すると、たちまち資金繰りに窮することに。最悪の場合、黒字倒産にもつながりかねません。
―ほかにどんな問題が起こりえるでしょう。
さまざまな社内整備のほころびが露呈していく可能性があります。忙しくて売ることだけに意識が向いていると、細かい取り決めも「このままでいいか」と考えがち。それが後になってトラブルに発展する。 取引先との契約条件があいまいな場合、問題が起こっても「そんな話ありましたっけ」と顧客がいえば泣き寝入りになる。また、就業規則や評価制度が適切でないと「売上が上がっているのに、正当に評価されない」と従業員が辞める危険性が高まります。 そのほか、書類や帳簿の不備など経営者が知らない間に法律に違反していることが露呈するケースもあります。いずれにせよ、経営者は対応に多大な時間と労力を払うことになるでしょう。
社内整備から資産運用まで さまざまな経営課題に対応
―トラブルを未然に防ぐにはどうすればいいでしょうか。
まずは月次決算を行い、少なくとも月単位で財務や資金の状況を把握する。そして、ただちに社内の制度や組織体制を見直し、速やかに改善を図ることですね。ただ、忙しくてなかなか取り組めない場合は、専門家のサポートを受けることをオススメします。 その場合、月次決算でいえば、単純に記帳代行を依頼しても根本の解決にはなりません。試算表をもとに経営改善策のアドバイスを行う専門家を選ぶべき。くわえて、経営課題は税務、財務、労務、法務と多岐にわたります。各分野の専門家が集まったチームなら、トータルサポートが受けられるうえに効率的です。 当社の場合、各専門家が綿密に連絡をとりあい、情報を共有しながら対策を提案します。そのため、こまやかな経営支援が可能。さらに、社内整備から資産運用まで幅広く相談に応じます。
―しかし、さまざまな専門家の支援を受けるとコスト面が心配です。
コストではなく、成長するための投資と考えるべきです。確かにひとりの専門家に依頼するより費用はかかります。しかし、会社が急激に成長していくときには、どこかでひずみが出てきます。 突然、退職した従業員から残業代の支払い請求がきたり、税務署や労働基準監督署、年金事務所などから指摘を受けて早急に対応を迫られたり。そうすると、会社のダメージや経営者の苦労は大きい。そうならないためのリスクヘッジなのです。
―社内整備の改善が後回しになりがちな経営者にアドバイスをお願いします。
できるだけ早い段階で、改善に着手してください。当社でも「相談が早ければ、損害を回避できたのに」というケースはひんぱんにあります。対応の遅れが会社の不利益に直結するのです。 経営者の方は攻めには強いですが、バックオフィスに関しては目が行き届いていないことが多い。ただ、限られた時間を本業に集中したいのであれば、専門家の知恵を借りるべき。当社としても、そのサポートは惜しみません。