案件内容が多彩なため、多くの企業にチャンスあり
―中小・ベンチャー企業が、新しく公共事業市場に参入することは可能なのですか。
可能です。事実、国が中小企業・小規模事業者の官公需(※)における受注機会の増大を目的として、中小企業・小規模事業者向けの契約比率が半分以上になるよう設定しており、実績もその目標を達成しています(右図参照)。これは、「日本経済を引き続き発展させるためには中小・ベンチャー企業の受注数増加が重要である」という国の判断から行われているのです。
また、公共事業は「建築・土木系の事業が大半」だと思われがちですが、そうではありません。確かに公共事業の約半分が建築・土木系の「工事」ですが、残りの半分はパソコンや文房具などを調達する「物品」と、広告・システム開発などの「役務」に大別されるので、建築・土木に関係のない中小・ベンチャー企業にも十分参入の余地はあるのです。
※官公需:官公庁などが、物品の購入やサービスの提供を受けたり、工事の発注などをしたりすること
―近年はどのような事業が案件としてあがっているのでしょう。
たとえば、RPAやAI関連が注目されており、実証実験の案件があがっていますね。また時流としては、やはり東京オリンピック・パラリンピック関連事業ですね。建築・土木系は落ち着いたのですが、たとえば訪日外国人観光客を見込んだプロモーション動画や多言語翻訳機器といった案件もあがっています。公共事業全体の割合としては微々たるものかもしれませんが、市場規模が大きいぶん、売上は十分見込めるでしょう。
―中小・ベンチャー企業が落札するためのポイントはなんですか。
まずは、相場観を把握することですね。自社の事業に該当する案件をチェックして、過去にどのような仕様でどの企業がいくらで落札しているのかを検証すれば、入札する際の参考になるでしょう。次に、入札の専門ページ以外をチェックすること。多くの自治体は入札案件だけのWebページを用意していますが、たとえばHPトップ画面の「お知らせ欄」に掲載されていることも。こうした情報は見逃されがちなので、ライバルが少なくおススメです。
最後に、東京近県や外郭団体の情報をチェックすることです。案件数が多いことから、入札はどうしても東京に集中してしまいます。逆にそのぶん、東京近郊の自治体や知名度の低い外郭団体の入札競争倍率は低くなりがち。そうした案件を狙っていけば、落札できる可能性はアップするでしょう。
不景気になったときに、頼れるのは公共事業
―しかし、そうした情報をこまめにチェックするのは大変そうです。
入札に関連する情報を、網羅的に提供しているサービスを利用すればいいでしょう。たとえば当社が提供している『NJSS』は、全国約7,600の発注機関の入札情報を一括で検索できるサービスです。こうしたサービスでは、一般的にコンピュータのプログラムで案件を自動収集するのですが、そうした場合、入札の専門ページ以外の情報はもれてしまいます。当社の場合、数百名の在宅ワーカーを通じて、全国のあらゆる入札情報を細かくチェック。そのため、見落とされがちな案件もつぶさに掲載することができるのです。
―ほかに特徴はありますか。
入札の情報だけでなく、落札の案件情報も約1,000万件以上検索できます。これで相場観をチェックすれば、適切な入札金額で落札することができるでしょう。また、落札までの手順や落札後の管理もサポートするので、入札初心者でも安心して利用できます。
―さらなる成長のために、新たな取引先を開拓したいと考えている中小・ベンチャー企業の経営者にアドバイスをお願いします。
不景気になった際、安定した売上が見込めるのが公共事業です。今後は景気が後退していく可能性が高いと言われているので、いまのうちから準備する意味でも公共事業市場に参入しておくべき。『NJSS』を使って落札に成功した事例はたくさんあるので、ぜひ活用してほしいですね。
これまで公共事業に参加したことはなかったが、『NJSS』を導入して新たに参加することに。導入後、わずか1ヵ月で125万円の案件を落札。短期間で実績が出せたことで可能性を実感し、今後も継続して入札に参加していく予定。
以前は、独自で情報を入手し、入札に参加していたが落札はゼロ。『NJSS』を導入後はいままでリーチできていなかった案件にも参加することで、5件落札している。売上見込みは、約6,500万円。