「働き方改革」にともなう多様な経路検索にも対応
―消費増税を控えるいま、多くの企業が直面する問題はなんでしょう。
8%に増税された2014年を振り返ると、もっとも混乱したのが、運賃改定にともなう通勤費精算でした。今回 の増税でも、同様のことが予想されます。当時は鉄道会社によって運賃改定のタイミングがバラバラだったため、システムを導入していない企業の人事部門は、新運賃への切り替えにともなう定期券の精算業務に忙殺されたのは記憶に新しいところです。全社員分の定期券について、Web上のソフトや地図を使って運賃や通勤経路の妥当性などを一つひとつチェックしていくのは途方もない作業です。それを一定期間内に完了しなければならない。人事部門の負担はきわめて大きいといえます。
―社会的テーマとなっている「働き方改革」に逆行するような事態ですね。
ええ。人事部門の長時間労働につながるほか、膨大かつ煩雑な作業によって計算ミスが誘発される恐れもある。通勤費といえば企業にとっては固定費ですから、適切な管理で削減できればそのまま利益に直結します。企業収益に与えるインパクトはきわめて大きいはずですが、こうした状況では適切な通勤費管理などは難しいでしょう。
もっとも、通勤費管理は重要な仕事とはいえ、人材の採用や評価、育成などを担う人事部門にとって、中心的な仕事ではありません。煩雑な通勤費管理から解放し、本来の業務に専念させることで、人事部門の生産性は大きく高められます。
―「働き方改革」を実現しながら、通勤費を適切に管理する方法はありますか。
通勤費管理をシステム化することです。たとえば、当社が開発した通勤費管理システム『らくらく定期.net」で
は、地図情報と連動し、自宅住所と勤務先住所を打ち込むだけで、利用可能なすべての駅やバス停をピックアップしてくれます。複数の起点駅と複数の終点駅を組み合わせたすべての通勤経路が自動で一覧表示されるので、運賃や経路のチェックを瞬時に行えます。
最近では、「働き方改革」の影響から、通勤時間も労働時間の一部とみなし、通勤の負荷を減らすべく、最安経路のみならず最短時間経路や乗換回数の少ない経路の選択を許可・推奨する企業が増えています。『らくらく定期.net』では、価格や距離、乗換回数などの条件を設定すれば、その条件内での検索が可能です。ですから、社内規定に即して「最安価格+30%」といった範囲内での条件つき経路検索もできます。
―システム導入によって、通勤費管理の生産性はどの程度向上しますか。
当社の試算によると、社員1000名規模の会社であれば、従来330時間以上要していた作業が、わずか25分で完了させることができます。
申請者である社員がシステムを直接操作し入力。それを上長が承認し、人事部門が確認するという一連のワークフローをシステム内ですべてカバーしていることも特徴です。よって、従来の紙ベースのように、申請情報を管理システムに転記、再入力するようなムダな作業も生じません。
導入効果を享受するには一日でも早くシステム化すべき
―「働き方改革」や生産性向上に努める経営者にアドバイスをお願いします。
前回の消費増税の際、通勤費管理で大変な混乱に陥った企業はじつに多く、その反省からシステム化を決断した例も多数あります。とくに、社員数の多い企業や、拠点間の異動が多い企業では、定期券の精算、払い戻しなどの作業は日常的に発生するもの。この作業を効率化することで得られる効果は非常に大きいです。その意味では、消費増税は社内の業務効率を見直すとてもいい機会です。システム導入を急げば、そのぶん多く導入効果を享受できます。一日でも早くシステム化を決断すべきです。通勤費管理で生産性の向上や経営コストの削減を進めたい経営者の方はぜひ、当社にお問い合わせください。
多数の社員を抱え、全国に分散する拠点間での転勤や異動も多い。そうした通勤費管理の効率化を図れる代表的な業界のひとつに航空会社がある。同業界にあって、『らくらく定期.net』を導入しているのが、ソラシドエアだ。担当者の長谷川氏に導入効果を聞いた。
申請者1人あたりの作業時間は 約15分から2分に
―『らくらく定期.net』導入の経緯を教えてください。
きっかけは2014年4月の消費増税にともなう運賃改定への対応でした。紙ベースで全社員の通勤経路と運賃情報を回収し、確認する作業は予想以上に大変で、システム化の必要性をこのとき痛感したのです。
導入以前は、まず、通勤経路を決めて紙ベースで申請し、所属長の承認を経て人事がチェックする。適正でな
いと判断した場合は所属長や申請者に説明し、再申請をしてもらい、決定した通勤費を給与システムに入力するといったことを手作業でやっていたわけです。
―導入によって、業務はどのように 変わりましたか。
人事部の業務負担が劇的に低減しました。『らくらく定期.net』は、社員がWebブラウザで申請し、所属長と人事が承認するところまでワークフロー化されているので、通勤費の給与システムへの反映や転居後の新住所の人事システムへの反映なども自動で行われるように。また、これまで人事部が行っていた通勤経路の確認、最適経路の判断、通勤費の算出も自動化されました。その結果、人事部の作業工数は4分の1以下に、また作業時間は申請者1人あたり約15分から、わずか2分へと削減されました。
紙ベースの手作業で申請管理を行っていたときは、記入ミスや入力ミスが避けられず、その対応が大きな負担になっていました。そうした手間が解消されたことも大きいですね。
―そのほかに、実感した導入効果はありますか。
システムの導入を機に、通勤費申請のルールを整備できたことです。従来は「経路の最安値から25%以内な
らOK」としていましたが、「25%以上でも通勤時間が30分以上短縮できるならOK」というルールに変更しました。『らくらく定期.net』ではこうした条件をきめ細かく設定できるからこそ実現した変更です。
システム導入の効果を実感する今は、来年に予定されている消費増税にも不安はありません。むしろ運賃改定がどれだけスムーズにクリアできるか、今から楽しみなくらいです。
グループ従業員数は約5,500名を誇り、全国津々浦々に約300の支社支局を構える読売新聞グループ本社も、『らくらく定期.net』を導入し、通勤費管理を効率化した1社である。導入の経緯や効果について、読売新聞東京本社総務局人事部次長の野中氏と、同社の給与計算を受託する関連会社、読売プラスの業務ユニット計算センター課長、猪俣氏に聞いた。
こだわったのは「標準仕様での対応力」
―システム導入以前の通勤費管理をめぐる状況を聞かせてください。
野中:読売新聞は東京、大阪、西部の別法人による3本社体制であり、社員や定年後の再雇用者、契約スタッフなど合わせて約5500名が全国約300の事業所や関連会社で勤務しています。1年を通じて転勤を含む社員の異動が多く、それだけで年間1000件ほどを処理します。
猪俣:2013年ごろからは雇用形態が多様化し、契約スタッフなどで1ヵ月定期を使う人が急増。旧システムは6ヵ月定期券代の支給に特化しており、それ以外の定期券にはエクセルを使って手作業で処理するしかなく、担当者はつねに支給や精算、残高管理といった毎月数百もの手作業を抱える状態でした。
―『らくらく定期.net』導入のきっかけを教えてください。
野中:2013年当時、旧システムのサーバー更新時期が近づいており、さらに2014年1月には大手町新社屋の完成にともない、社員の通勤経路が一斉に切り替わることに。業務プロセスを抜本的に見直す必要に迫られ、システム導入を決めました。
猪俣:システム選定にあたっては、「標準仕様でどこまで対応できるか」にこだわって情報を収集。他社製品も検討しましたが、標準機能で『らくらく定期.net』以上に支給、精算、運賃改定処理をスムーズに行えるものはありませんでした。
―導入後の感想はいかがですか。
猪俣:思っていた以上に使いやすいですね。画面を見れば操作ができるので、入社直後の新人でも通勤費精算が行えます。仕事が属人化しなくなったことで業務効率が上がりました。社内のエンジニアはシステムトラブルの対応が不要になったため、その分は別の業務に当たれます。
野中:大幅なコスト削減にもつながっています。導入費用は自社システム開発の数分の1で、ひと月の保守料も半額ほど。業務効率化のおかげで、月2回の通勤費振込みが1回に減り、振込手数料も減少しました。『らくらく定期.net』の導入は、大変エポックメイキングな出来事になったと思います。