トヨタグループ 豊田 佐吉 (とよだ さきち)
1867年生~1930年没。静岡県浜松市生まれ。トヨタグループの創業者。日蓮宗の現世救済の精神や、国家主義的な教えに影響を受ける。佐吉の死後、長男の豊田喜一郎らが、「温情友愛の精神を発揮し家庭的美風を作興すべし」、「神仏を尊崇し報恩感謝の生活を為すべし」など、佐吉が残した遺訓を『豊田綱領』としてまとめた。後にその精神を引き継ぎ、現代の言葉に改められた『トヨタ基本理念』が、今なおトヨタグループで脈々と受け継がれている。(参考:トヨタ自動車 HP)
大同生命 広岡 浅子 (ひろおか あさこ)
1849年生~1919年没。大同生命の創業者の一人で、明治を代表する女性実業家。63歳でキリスト教の洗礼を受ける。梅花女子校校長でクリスチャンの成瀬仁蔵と出会い、共に日本の女子教育を発達させるべく、日本女子大学の発起人となった。(参考:大同生命 HP)
ライオン 小林 富次郎 (こばやし とみじろう)
1852年生~1910年没。埼玉県さいたま市生まれ。ライオンの創業者。30代半ばでキリスト教の洗礼を受ける。「そろばんを抱いた宗教家」と呼ばれたほど、熱心なクリスチャンだった。慈善事業として『ライオン歯磨慈善券付袋入』を販売した。顧客が袋に印刷された慈善券を孤児院などの慈善施設に贈ると、その枚数に応じてライオンが慈善施設に寄付をした。(参考:ライオン HP)
森永製菓 森永 太一郎 (もりなが たいちろう)
1865年生~1937年没。佐賀県伊万里市生まれ。森永製菓の創業者。25歳でアメリカ滞在中にキリスト教の洗礼を受ける。昭和のはじめ頃よりキリスト教団体を中心にささやかに行われていた「母の日」を、全国規模の行事にした。(参考:森永製菓 HP)
パイオニア 松本 望 (まつもと のぞむ)
1905年生~1988年没。兵庫県神戸市生まれ。パイオニアの創業者。幼少期からキリスト教の牧師だった父の影響を強く受ける。パイオニアの前身は、松本が設立した福音商会電機製作所であり、キリストの教えを意味する「福音」を社名としていた。(参考:パイオニア HP)
ヤマト運輸 小倉 昌男 (おぐら まさお)
1924年生~2005年没。東京都渋谷区生まれ。『クロネコヤマトの宅急便』の生みの親。結核を患い、20代でキリスト教の洗礼を受ける。ヤマト運輸退任後は、私財を投じてヤマト福祉財団を設立し、理事長として障害者の自立支援を行った。
ダスキン 鈴木 清一 (すずき せいいち)
1911年生~1980年没。愛知県碧南市生まれ。ダスキンの創業者。20歳で肋膜を患い、金光教に入信する。自身の著書に、鈴木清一著『ダスキン 祈りの経営―鈴木清一のことば』(致知出版,1997)がある。「道と経済の合一」を願う祈りの経営を生涯追求した。(参考:ダスキン HP)
山崎製パン 飯島 藤十郎 (いいじま とうじゅうろう)
1910年生~1989年没。東京都三鷹市生まれ。山崎製パンの創業者。新宿中村屋に丁稚奉公した際に、創業者で熱心なクリスチャンの相馬愛蔵に大きな影響を受ける。(参考:山崎製パン HP)
イエローハット 鍵山 秀三郎 (かぎやま ひでさぶろう)
1933年、東京都千代田区生まれ。イエローハットの創業者。仏教詩人の佐光義民氏に強く影響を受ける。自身の著書に、鍵山秀三郎著『掃除道 会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる』(PHP研究所,2005)などがある。山口県山口市に、佐光氏が朴の木をこよなく愛したことに由来して、『朴の森』という施設をつくった。(参考:朴の森 HP)
グンゼ 波多野 鶴吉 (はたの つるきち)
1858年生~1918年没。京都府綾部市生まれ。繊維メーカーであり、肌着などを提供するグンゼの創業者。32歳でキリスト教の洗礼を受ける。キリスト教の教えから「人間尊重と優良品の生産を基礎として、会社をめぐるすべての関係者との共存共栄をはかる」という創業の精神を掲げ、創業120年を迎えた今でも、その精神は脈々と受け継がれている。(参考:グンゼ HP)
アチーブメント 青木 仁志 (あおき さとし)
1955年、北海道函館市生まれ。人材教育コンサルティングを提供するアチーブメントの創業者。29歳でキリスト教の洗礼を受ける。クリスチャンのビジネスマンが集う、一般社団法人日本CBMCで理事長を務める。新約聖書のマタイによる福音書に記載された「何事でも人々からしてほしいと望む通りのことを、他の人々にもそのようにしなさい」という言葉に強く影響を受けた。(参考:青木仁志オフィシャルサイト)
まとめ
個々人によって信仰の度合は異なり、その解釈は千差万別である。また、企業経営における信仰の影響のみを切り取ることはできない。だが、信仰を理解すれば経済合理性の枠を飛び越えて、別の視点からその経営者の人間理解を深められるかもしれない。