―不況の影響で多くの企業が成長の踊り場で停滞しています。現状を打破するために必要なことは何でしょうか。
伊藤:多くの経営者が抱える悩みに、人材のミスマッチがあります。大学が輩出する学生と、企業が求める人材にギャップが生じている。その背景にはバブル崩壊以降、日本の経済情勢が大きく変動する一方で、大学教育は何も変わっていないことがあります。いま企業に必要なのは、時代に敏感に適応しながら、優れた事業実行力を発揮する人材です。つまり、0から1を創り出すような経営参謀が必要なんです。
―しかし、中小・ベンチャー企業の多くはそうした人材を育成するノウハウを持っていません。どうやって「新しい価値を生み出す経営参謀」を育成すればよいのですか?
伊藤:一般的な方法として、人材育成に資する教育機関や研修システムを利用することが挙げられます。ただ、ほとんどの教育機関が提供している研修には問題があります。たとえば一方通行で知識を詰め込むだけの内容、実践を軽視した座学だけの授業など、肝心のスキルアップにつながらない問題点が数多くあるんです。そこで本学では、事実に基づいた分析や現在進行形のケーススタディを行ったり、自分が経営層の立場になって経営判断をするなど、実行力を鍛える授業を展開しています。また、受講者が実際に勤務している会社の課題をテーマに企画書や提案書を作る業務直結の授業を行っています。だから、実践的な問題解決力が身につくわけです。 宇野:さらに、本学は講師陣のレベルが非常に高い。実際に企業の第一線で活躍する経験豊富なリーダーを揃えています。学長の大前研一を筆頭に、企業論の授業は日本サン・マイクロシステムズなどを立ち上げた松本孝利氏、ファイナンスの授業は日本で最も古いベンチャーキャピタリストの門脇徹雄氏など、著名な企業人や大学教授が名を連ねています。このような実践的な学びによって、経営参謀として業務に直結するスキルを身につけることができます。ちなみに、当校の費用は年間で約80万円。社員が将来の経営幹部に育つことを考えると、決して高いコストではないと思います。
―BBT大学は経営学士の学位が取得できる日本初のオンライン大学だと聞きました。どのような方法で講義を受けるのですか。
宇野:講義はオンデマンドによる動画配信で視聴します。本学ではパソコンだけでなく、iPhoneやiPod touch、iPadでも受講できます。また、その他のスマートフォンにも対応を予定しており、受講者は場所を問わず、空いた時間を有効に使って学べます。通勤中や昼休みなどのわずかな時間を利用して手軽に学習環境を作り出すことができるんです。また教室内の議論は「AirCampus®」というサイバークラスルーム(インターネット上の掲示板のような機能)で意見を戦わせ、内容を深めていきます。 伊藤:インターネットによるこうした学びのシステムは、単に便利なだけではありません。教育のあり方そのものを大きく変える可能性を秘めています。私たちの理念は、オンライン大学を通じて世界で活躍できる経営人を育てること。世界標準のスキルを身につけ、企業の成長に結びつく経営参謀を輩出したいと考えています。