―御社ではベンチャー企業に特化した経営サポートを行っているそうですね。具体的に、どのようなサービスを提供しているのですか。
小柳:「ペガサス3PL」というEC事業者向けの物流コスト最適支援サービスを提供しています。このサービスでは、まず、EC事業者に対し、当社が開発した業務診断プログラムを実施。その結果に応じて、物流コストの削減を実現できる倉庫会社を紹介します。ご紹介する倉庫会社は、当社の提携先である関東を拠点とする10社の中から選定。ただし、当社は契約成立時に、提携倉庫からの営業手数料を受け取るため、お客さまであるEC事業者から当社への支払いは一切発生しません。また、いずれの倉庫会社も、商品の倉庫への搬入、保管、梱包、出荷、配送などをすべて担当。これら一連の作業を標準化し、業務の効率化を図ることで人件費を抑えているため、お客さまにも低料金で倉庫を提供することができるのです。契約前には、倉庫の見学も可能。納得のいくかたちで決断できるため、提携倉庫を紹介したお客さまのうち約80%がご契約に至っています。
―なぜ、このようなサービスを提供しようと考えたのですか。
小柳:ベンチャー企業に特化した経営のサポートを行う会社として、EC事業者が必要とするサービスを、タイムリーに提供したいと考えたからです。なぜなら、EC事業を手掛けるベンチャー企業は非常に多いものの、彼らは売上アップばかりに気を取られ、物流コストの削減に対する意識が低いのです。また、当社は2004年にインターネット広告の事業者として創業したのですが、当時からお取引のある事業者の方々が、EC事業を立ち上げるケースが非常に多い。だから、当社がコスト削減の面から、ベンチャー企業をサポートするためのサービスを開発したわけです。
ビジネスパートナーでもあるベンチャー企業をサポートしたい
―ビジネスパートナーでもあるベンチャー企業をサポートしたい、という想いが強いのですね。
小柳:はい。同じ観点から、この6月には「E-1クラブ」というサイトを立ち上げました。「E-1クラブ」は、前年度よりも増収であると同時に、年商1億円以上をあげているECサイト事業者を100社集めたサイトです。
現在、原宿・渋谷・秋葉原などで流行している日本の若者文化が、アジアや世界から注目を浴びています。いまや日本の若者文化は、中国・台湾などをはじめとするアジアの国々のほか、ヨーロッパにおいても支持されているのです。たとえば「カワイイ」という言葉で表現される、F1層を中心とする若い女性向けの美容・健康・雑貨やファッション。また、マンガやアニメなどをはじめとするオタク文化が人気を博しています。そして、この中でもF1層(※)向けの商品をEC事業者が販売することが多くあります。だから、当社では「E-1クラブ」を立ち上げることにより、陰りの見えてきたECサイト市場の活性化をはかりたいと考えました。その中から、今後大きな飛躍が見込める新進気鋭のEC事業者を発掘し、彼らのビジネスをサポートしていきたいのです。
―どのようにビジネスをサポートしていくのですか。
小柳:日本の若者文化に関する商品を販売するEC事業者が、海外にビジネス展開をする際のバックアップをしたいと考えています。まずは、明確なビジョンや事業運営のこだわりを持つECサイト事業者の経営コンサルティングを行いたい。そして、彼らが海外に進出する際には、配送や物流のサポートを含めた海外マーケットの開拓支援を目指しています。また、共同で商品開発を行うなどのパートナーシップを組み、共に成長していきたいですね。日本の若者文化を海外に発信するサポートを行うことで、今後の日本経済を活性化する新たなビジネスモデルの立上げに貢献したいと思います。
※F1層:20~34歳の女性。比較的資金面に余裕があり、新しい商品への購買意欲が高い層のこと。