IPOの実現可能性は、相対的に下がっている
―IPO市場をめぐる現況を聞かせてください。
ベンチャー企業にとってIPOは年々、実現が難しくなっています。ITバブルを機に起業する人は増加傾向にありましたが、その一方でIPO社数はここ数年、横ばいで推移しています。そのため、新設企業数が増え続けるなか、上場を実現できる可能性は相対的に下がっていると言えるのです。
さらに最近では、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で経営環境は厳しさを増しています。実際に、株式市場の混乱を背景に上場承認が取り消された事例も多く起きています。上場準備中の企業も、業績に大きな打撃を受けていれば、この先、上場準備を再び軌道に乗せるのは厳しいでしょう。
―ベンチャー企業が取りうる選択肢はほかになにがありますか。
M&Aが、今後ベンチャー企業の成長戦略の主流となる可能性が大いにあります。たとえば、買い手となりうる大手上場企業は、厳しい経営環境のなかでも「より速く、より大きな成長」をつねに株主から求められています。新たな成長の柱を確立するために新規事業のタネをもつベンチャー企業の買収に積極的な企業が増えているのです。
そもそも、M&AはIPOよりも速く実現できるのがメリットのひとつ。買い手さえ見つかれば、数ヵ月程度の交渉で実現は可能です。成長戦略に遅れが出れば、設備投資や雇用拡大など事業全体の推進も減速してしまいます。ビジネスのスピードが加速している現在、よりスピード感をもって事業を成長させたいベンチャー企業にとって、M&Aは有力な選択肢になるのです。
「売り手専属」の、アドバイザーを活用せよ
―M&Aを成功させるポイントを教えてください。
まず、売り手目線に立ってM&Aを支援する「アドバイザー」を活用することです。買い手と売り手の双方と契約し、両者が顧客となる「仲介」はどうしても利益相反の問題が発生します。一方でアドバイザーは、売り手または買い手の片方のみと契約して交渉します。そのため、利益相反といった問題がない状態で、売り手または買い手「専属」の立場で交渉できるのです。
M&Aを成功させるには、さらに複数の条件を満たすアドバイザーの選定も重要です。たとえば、新しい技術を用いた事業を理解できること。昨今のベンチャー企業は、「○○×Tech」といったITを融合させた事業を展開していることが多い。こうした新しい事業モデルや業界動向、技術要素を理解できなければ、事業成長にマッチした買い手を見つけるのは難しいでしょう。
―そのほかにどのような条件がありますか。
売り手企業がより有利に交渉できる可能性を高めるため、買い手候補をより多く提示でき、さらに、売り手企業の価値を詳細に分析できることは優れたアドバイザーの条件と言えます。
M&Aアドバイザーである当社は、これらの条件を兼ね備え、企業の事業承継やEXITを支援してきた豊富な実績があります。社員は、財務諸表の分析や株式価値算定などの専門知識をもつほか、上場企業のCVC(※)でベンチャー企業への投資に携わった経験があるといった「Tech系」の事業や業界に明るい人材が多いのが強みです。こうしたメンバーが売り手専属のアドバイザーとなることで、売り手の満足度を最大化させたM&Aが可能となります。
※CVC:Corporate Venture Capitalの略。通常VCといった専門機関が広く資金を集めて行うベンチャー投資を、事業会社が自社の戦略目的のために行うこと
―事業を成長させたいベンチャー企業経営者にアドバイスをお願いします。
当社は、「企業の成長」を第一義に、顧客にとって最善の選択肢を示し、M&Aを支援します。そのため、場合によっては、「いまはまず自社で事業を伸ばすほうがよい」と判断することもあります。また企業の伸び悩みには、事業をリードする人材の不在が要因であるケースも多いので、当社は「CxO」や経営幹部候補などプロ人材を紹介するサービスも立ち上げています。「事業をさらに大きくしたい」「売却資金で新たな事業に挑戦したい」と考えている企業経営者の方は、ぜひ当社にお問い合わせください。