星野リゾート 星野 佳路 / 壱番屋 宗次 德二 / カインズ 高家 正行 / 亀田製菓 田中 通泰 / 高倉町珈琲 横川 竟

【特別企画】「新型コロナ」に立ち向かう、経営者たちへ

星野リゾート 星野 佳路 / 壱番屋 宗次 德二 / カインズ 高家 正行 / 亀田製菓 田中 通泰 / 高倉町珈琲 横川 竟

新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の危機が発生し、経済界は過去に経験のない深刻な痛手を負っている。第1波の収束がみえつつあるものの、企業業績への影響は深刻かつ長期化することが予想されている。そうしたなかでも、経営者はあらゆる手段を駆使して、企業の永続と成長を追求しなければならない。本誌『経営者通信』では、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう全国の経営者の奮闘を応援したいと考え、過去の巻頭インタビューに登場した経営者たちから力強いメッセージをいただいた。

※下記は経営者通信54号(2020年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

18ヵ月のスパンを設け、全体的な計画を立案

―「コロナショック」のなか、星野リゾートではどのような手立てを打っているのですか。

 まず我々は3月の段階で、「コロナショック」の対応をこの先1年半のスパンでとらえようと考えました。1年半に設定したのは、その時期には治療薬もしくはワクチンが登場しているだろう、と。それまでの18ヵ月間を「コロナ新環境」ととらえ、その期間内において全体的な計画を練ることにしたのです。

 4、5月は緊急事態宣言のなか、旅行需要はありませんでした。ただ、緊急事態宣言が徐々に解除されていくなか、私は6、7、8月の旅行需要はそれなりに戻ってくると考えています。しかし、そうやって緩和されると第2波、そして第3波が起こり得ます。そこで、医療崩壊が起こらないよう、感染拡大の防止と経済活動を両立させる18ヵ月になっていくでしょう。

 こうして、「自粛期」と「緩和期」が波打つようなカタチで繰り返されるうちに、私たちは新型コロナウイルス感染症対策に慣れていき、時間が経てば経つほどコントロールしやすくなっているはず、というわけです。

―全体計画のなかで、直近はどのような取り組みを行っているのでしょう。

 4、5月の自粛期は、6月以降の緩和期にそなえ、グループ全体で“開業準備”を行っていました。「コロナ新環境」のなか、旅行先を選ぶニーズは変わります。以前は食事やアクティビティなどが基準でしたが、いまはその前に「3密回避」がきます。そこで我々は「3密回避滞在」というテーマでサービスの改善を行っていました。

 たとえば、ビュッフェスタイルをやめて宿泊部屋に持ち帰れるテイクアウト方式を取り入れたり、アウトドア主体のアクティビティを取り入れたり。この18ヵ月を生き延びるには、いままで通りのサービスではいけませんし、同じようなコストをかけていてはもたないわけです。なおかつ、お客さまに対し以前と変わらぬ満足を得てもらうにはどうしたらいいか。従業員主体のもと、この2ヵ月はそうした準備を徹底して行ってきたのです。

少し楽観的なシナリオを、考えてもいい

―こうした非常時に、経営者はどのような経営判断を行っていくべきですか。

 やはり当社が18ヵ月と定めたように、「出口」までの計画を立てるべきです。18ヵ月というのが、正解かどうかは誰にもわかりません。ただ、なんらかの前提条件を置かないと戦略は立てられませんから。そして計画を立てたうえで「私たちはこう考えているから、こう対策を立てて生き延びていくんだ」という情報発信を社内でし続けていくことがすごく重要だと思っています。そうすれば、従業員に希望をもたせることができますからね。必要以上に心配を与えると、チームは機能しないですから。

―「コロナショック」と戦う経営者にメッセージをお願いします。

 4、5月だけの状況を見て、悲観的になりすぎないのが大事だと思います。18ヵ月という期間を考えれば、需要がない状態がずっと続くわけがないということです。よく「先が見えない」と言われていますが、治療薬やワクチンができれば解決するので、私はある意味先が見えていると思っているんですね。先が見えない状態というのは、バブル経済が崩壊したときの観光リゾート業のこと。「失われた20年」という言葉がありましたが、それにくらべると18ヵ月は長くはないだろうと。ですから、少し楽観的なシナリオを考えてもいいのではないでしょうか。

01

―現下の「コロナショック」を受け、自社の事業継続をにらみ、どのような施策を実行していますか。

いかなる事態が起きても、微動だにすることなく超現場主義を貫き続けるしかない。経営は “継栄”。日々変わらずできることを続ける。この継続力が重要かもしれません。

02

―未曾有の危機に立ち向かう経営者として、もっとも大事にしている経営姿勢とはどのようなものと考えていますか。

こうした世界的、全国的危機における経営姿勢は、「どうあるべきか」よりも、「平素の経営姿勢」が重要だと思うのです。予期せぬいかなる事態が起きようとも、自身を含め、かかわる人を不幸にしてはならない。現場第一・お客さま第一を貫く。この危機的状況だからこそ、経営の原点を見直す好機ととらえ、真摯に経営と向き合うべきなのです。

03

―今般の危機にともに立ち向かう世の経営者たちに、力強いアドバイスをお願いします。

この危機もいずれ必ず制圧されるでしょうが、「その時がいつなのか」がわからないことが、経営者にとっては不安の一つでしょう。しかしながら、経営は自己責任と肝に銘じて、どんな状況下でも目標を定め希望を強く持ち続けることです。そして、復活の時が来たならば、経営一途にまじめに取り組むしかないのです。

01

―現下の「コロナショック」を受け、自社の事業継続をにらみ、どのような施策を実行していますか。

まずは、潤沢なキャッシュをベースにしながらも、事業のボトムラインを意識し、既存事業(現場)の維持・向上施策を最優先に実行しています。その上で、“アフター コロナ” “ポスト コロナ”を見すえた施策を準備し、適切なタイミングで発動します。

02

―未曾有の危機に立ち向かう経営者として、もっとも大事にしている経営姿勢とはどのようなものと考えていますか。

今回のような危機下では、ステークホルダー間の究極の選択・判断を迫られます。その場合に、企業の本質的存在価値に立ち還ることが重要です。その軸をぶらさず、現場では臨機応変、時に朝令暮改を辞さない姿勢も必要だと考えます。

03

―今般の危機にともに立ち向かう世の経営者たちに力強いアドバイスをお願いします。

未曾有の危機、すなわち“経営の修羅場”では、経営者としての世界観・歴史観から、先を読む洞察力・論理力、そしてリーダーシップまであらゆる力が試されます。今を「自らを鍛える時」ととらえ、皆で乗り切りましょう。

当社は世界7ヵ国で米菓を生産していますが、すべての従業員に「無理をしないこと」「健康第一」というメッセージを送っています。 また、「今後世界が分断された場合、グローバリゼーションの取り組みについて変更・修正の必要があるのか」「経済の低迷に伴い、多くの人が収入減となった場合、消費マインドが低価格志向に行くのか」という二点を見極め、未来の変化に対応できるよう、企業として経営者として「変革」し続けることが大切だと考えています。

01

―現下の「コロナショック」を受け、自社の事業継続をにらみ、どのような施策を実行していますか。

本来の「楽しい店づくり」を忘れずに、オペレーションの見直し・営業時間の見直し・生産性の向上・資金調達に全力投球中です。

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―未曾有の危機に立ち向かう経営者として、もっとも大事にしている経営姿勢とはどのようなものと考えていますか。

大事なのは、経営の根本となる「軸」がぶれないこと。「こういう店・こういう会社にしよう」という思想が一旦凍結することがあっても、決して失われないこと。そうでないと再開後に崩壊してしまいます。

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―今般の危機にともに立ち向かう世の経営者たちに力強いアドバイスをお願いします。

困難続きでも、信念を貫き目標に向かって努力しましょう。自分だけではなく、仲間を増やして皆で、お客さまが喜ぶ、“今”と“これから”の「新しい価値」を創れば道は開けると思います。

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