株式会社LIFE FAB 代表取締役   石川 泰

思い描く人生プランを支えるために、社員の将来収入を「見える化」すべし

株式会社LIFE FAB 代表取締役 石川 泰

昨今の日本では、「老後2,000万円問題(※)」や「老後破産」などが話題となっており、老後のお金に対する不安を抱えながら日々働いている人は少なくない。そうしたなか、法人向けに福利厚生や金融教育に関するサービスを開発するLIFE FAB代表の石川氏は、「企業が社員に対して将来の収入や年金額を『見える化』すれば、社員のお金に関する不安を解消でき、企業にとってもさまざまなメリットがある」と話す。「見える化」する方法や、それによって期待できる効果について、同氏に詳しく聞いた。

※老後2,000万円問題 : 金融庁が公表した「老後30 年間で生活資金が2,000 万円不足する」という試算を発端とする、老後に向けた資産形成をめぐる問題

老後資金への不安が、集中力低下や離職につながる

―社会で働く人たちは、どういったお金の不安を抱えているのでしょう。

 「いまの会社で最終的にいくら稼げるのか」「このままで老後資金は足りるのか」「給与が高い会社に転職するべきか」など、老後の資金不安をきっかけとして、いまの仕事にまで不安を抱えている人が非常に多いと感じています。私はこれまで年金にかかわる事業に携わってきたなかで、さまざまな企業の経営層や管理部門の人たちから、「お金に関して、漠然とした不安を抱えている社員は多い」という話をよく耳にしてきました。そうした不安があると、「隣の芝生は青く見える」ではありませんが、「ほかの会社のほうがいいのではないか」「もっといい給料を出してくれる会社があるのではないか」といった考えに陥りがちです。そうなると、目の前の仕事に集中できなかったり、本当に離職してしまったりするケースが少なくありません。逆に、そういった不安がなくなれば、社員は業務に集中できるようになるはずです。その結果、より高いパフォーマンスを発揮し、周りの社員にも良い刺激を与えることもあるでしょう。そうした社員が増えれば、企業の業績アップにつながるかもしれません。つまり、お金に関する社員の不安を解消することは、企業にとっても大きなメリットがあるのです。

 一見すると、「お金に関する不安の解消」は、難しい問題であるように感じるかもしれません。しかし、実は不安の原因はいたってシンプルです。

―なにが原因なのでしょうか。

 将来の収入や年金額が不透明で、明確なライフプランを描けないといったことです。将来の収入や年金額、必要な資産が不透明だと、「子どもを塾に通わせたい」「55歳で退職して、田舎で悠々自適な生活を送りたい」といったライフプランを描いても、それを実行できるのかがわかりません。また、将来に必要な資産がわからないまま、とりあえず投資をして不安を払拭している人も多いと感じます。しかし、将来の収入や年金額、必要な資産の目安を知ることができれば、それに応じたライフプランを立てられます。仮に老後資金が不足しているならば、自身の目標達成のためにはいくら必要で、どう行動すべきかが明確になります。収入の目安がわかることで、「不安」が「目標」に変わるのです。そこで当社は、一人ひとりの社員の将来収入や年金額、必要な資産額を「見える化」する「年金ダッシュボード」を法人向けサービスとして開発(※)をしています。

※開発 : 2023年7月中にトライアル版のリリースを予定

―サービスの内容を具体的に教えてください。

 いまの会社に勤め続けた場合に、「何歳でいくらの収入を得られるか」「就労期間に応じた国の年金額や会社の退職金額、資産形成で備えるべき必要資産額」などを「見える化」します。特徴は、多くの事業者が手がけている個人向けのサービスと異なり、「確度の高い将来予測」が可能な点です。私が年金財政や退職給付債務の計算業務にかかわってきた知見を活かし、システムを開発しています。また、法人向けの福利厚生サービスとして提供するので、利用者が所属する企業から情報を得ることができ、複雑な制度の退職金や年金を一定の正確性を担保して「見える化」することが可能です。個人向けのサービスでは、企業の協力を得にくいため、正確な予測が困難です。社員の不安は、そもそもが「情報の不確かさ」からくるものなので、それを解消するには「確度の高い予測」が必須だと、私は考えています。

老後資金に不安があれば、資産形成のサポートも

―将来の収入が正確に「見える化」されることで、かえって不安が大きくなるという心配はありませんか。

 その心配は、あまりないと考えています。なぜならば、いまの会社に勤め続けていれば、老後資金が十分に足りる人が多いからです。負債を抱えておらず、生活水準を現状から上げない前提ならば、7割ほどの人は老後資金への不安が杞憂に終わると、私はこれまでの経験や調査から予想しています。「老後2,000万円問題」は特定の条件のもとでのシミュレーションであり、すべての人に当てはまるというわけではないのです。それでも、仮に老後資金が足りないということがわかった場合のために、資産形成をサポートするサービスも用意しています。

―具体的には、どのようなサポートを行うのでしょう。

 老後に必要な資産額を確保できるように、企業型DC(※)やiDeCoなどを活用した資産形成手段を提案します。その際にはより適切な提案のために、どのくらいの確率でどの程度の資産を形成できるのかについて、複数のアセットアロケーション(※)ごとに1万回程度のシミュレーションを行います。その後は出てきた結果に対して、利用者自身がポートフォリオを選択する必要がありますが、意思決定のサポートを行うための学習動画コンテンツも用意しています。利用者ごとに最適な動画コンテンツを自動で提案するので、学習の面でも実践の面でも効果を期待できます。このことは導入企業にとってもメリットがあります。なぜなら、企業型DCを実施している事業主には、社員に対して「継続的な投資教育」を行うことが努力義務になっているからです。

※企業型DC : 企業が毎月積み立てる掛金を、従業員が自身の年金資産として運用する制度。企業型確定拠出年金とも呼ばれる
※アセットアロケーション : 株式や債券といった投資資産の配分

―企業の経営層や管理部門の人たちに向けて、メッセージをお願いします。

 社員の将来のお金を「見える化」することは、本人が安心して働き続けるうえで非常に重要です。また、社員のみなさんはお金について考える機会が増えることになるので、金融リテラシー向上のきっかけにもなります。「金融リテラシーが高い社員はエンゲージメントが高い」という調査結果(※)もあり、パフォーマンスの向上も期待できます。そのほかにも、通常は退職しなければ実感しにくい退職金制度のメリットを、社員が現役のうちに示せる効果があります。退職金は長く勤めるほど得をするように設計されているケースが多いため、退職を抑制する効果も見込めるでしょう。

 当社は「人生にお金の見通しを。」というビジョンを掲げており、サービスの提供を通じてお金に関する透明性の高い社会の実現を目指しています。それをやり遂げられれば、より多くの人が充実した、思い通りのライフプランを歩めるようになるはずです。そこに共感いただける経営者の方々、社員のマネーリテラシー向上や確定拠出年金の投資教育に力を入れたい経営者の方々は、ぜひお問い合わせください。

※調査結果 : MUFG資産形成研究所が2020年1月に実施した「金融リテラシー1万人調査」の結果

石川 泰(いしかわ たい)プロフィール

1991年、愛知県生まれ。2015年に東京理科大学を卒業後、株式会社IICパートナーズ、野村證券株式会社、SBIベネフィット・システムズ株式会社にて、年金数理、確定拠出年金にかかわる営業、監督官庁等との確定拠出年金法案の折衝業務など一貫して年金関連の業務に従事。その後、2021年に株式会社LIFE FABを立ち上げ、代表取締役に就任する。そのほか、SBI大学院大学にてMBAを取得。元プロボクサーとして1戦1勝1KOの実績も持つ。

株式会社LIFE FAB

設立 2021年1月
従業員数 5名
事業内容 法人向け福利厚生・金融教育サービスの開発
URL https://lifefab.co.jp/
お問い合わせメールアドレス info@lifefab.co.jp
お問い合わせURL https://lifefab.co.jp/contact/
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