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SBIホールディングス株式会社 代表取締役 北尾 吉孝

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SBIグループは日本を代表するインターネット総合金融グループだ。ネット証券で業界トップのSBI証券を筆頭に、グループ内に10社もの上場企業(内2社は韓国KOSDAQ上場)を擁している。さらに連結子会社は100社を超え、2008年3月期にはグループ売上2200億円を突破。2009年、2010年3月期は不況の打撃を受けたものの、徹底したコスト削減などにより経常利益を確保した。また、SBIグループは海外進出にも積極的だ。2005年から北京、香港、上海、シンガポールに現地法人や事務所を設置。2008年からはベトナム、カンボジア、ロシアの銀行への出資も進めている。このSBIグループを率いる北尾吉孝氏に、成長の要因、不況期の経営論、中国古典の造詣まで、大いに語ってもらった。

※下記は経営者通信7号(2010年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は1999年に設立され、2005年にソフトバンクグループから独立しました。設立10年目の2008年にはグループ売上2,200億円を突破し、現在は日本を代表するインターネット総合金融グループへと変貌を遂げています。わずか10年ほどで、ここまで成長することができた要因を教えてください。

北尾:一言で言えば、"時流"に乗れたからですね。私たちが乗った時流は2つあります。ひとつは金融ビッグバン。金融業・金融市場の大幅な規制緩和による一大変化です。1999年、証券の株式委託売買代金の手数料が自由化されました。この規制緩和がなければ、どの証券会社も手数料は同じまま。ネット証券の隆盛もなかったでしょう。もうひとつはインターネットの普及と進化。この10年間でインターネットは急速な普及と進化を遂げました。多くの人が日常生活の中でインターネットを使うようになった。また、金融業のコスト構造も劇的に変化しました。この2つの時流に乗れたからこそ、私たちは短期間で目覚ましい成長を遂げることができました。事実、SBI証券は2005年3月期の第4四半期に株式委託売買代金で野村證券を抜き、日本一になりました。

―どうすれば"時流"を予見できるのですか。

北尾:世の中の変化を掴むのは、それほど難しいことではありません。たとえば金融ビッグバンの場合、アメリカでは1970年代から始まっていました。イギリスでも1980年代に起こりました。つまり、世界を見ればいいのです。日本よりも進んでいる国で何が起こったのか。それを知ることができれば、遅かれ早かれ日本でも同じようなことが起きると想定できます。特にインターネットの分野はアメリカから学ぶことが多かった。そして私はアメリカのビジネスモデルを日本に持ち込み、「タイムマシン経営」を行ったのです。ソフトバンクの孫さんと同じですね。ちなみに、現在はほとんどの情報がリアルタイムで世界中に伝わります。たとえば、アメリカで「ツイッター」が流行ったら、いつの間にか日本でも流行っているでしょう?つまり、世界と日本のタイムラグが短くなってきている。だからこそ世界の流れをいち早く捉え、正確な経営判断をすることが今まで以上に重要になっています。

―しかし、単に時流を捉えるだけで御社のように目覚ましい成長ができるのでしょうか?

北尾:簡単ではないでしょうね。重要なのは、時流を捉えた後です。最も効果的に時流に乗るためにはどうすべきか。どのような戦略を立て、どのような組織を作るのか。ここがポイントとなります。私の場合、まず金融業の近未来像について仮説を立てました。その仮説とは、トリプル「ワン」時代が到来するという予測です。1つ目の「ワン」は「ワンストップ」。これは株式、銀行預金、保険商品など、すべての金融商品をひとつの窓口で取り扱うこと。  2つ目の「ワン」は「ワンテーブル」。これは株式委託売買代金の手数料など、各社の数字をひとつのテーブルに乗せて比較すること。3つ目の「ワン」は「ワントゥワン(1to1)」。これは一人ひとりのニーズに合わせた細やかなサービスを提供すること。このトリプル「ワン」の時代を前提に考えると、おのずと最適な組織形態も決まる。そう私は考えました。その組織形態とは、数多くの企業がシナジーを生み出す"企業生態系"です。金融関連の多様な事業に複数の企業がまたがり、シナジー効果を生みながら、それぞれのマーケットを相互に進化させていく。そんな企業グループです。だから、同時にたくさんの会社を育てようと考えました。銀行、証券、保険、決済サービス...。ピーク時には44社もの企業を同時期に設立しましたね。当時は「どの会社もまだ成功していないのに、無謀じゃないですか?」といろんな人から言われました。でも、私には自身の洞察に基づく信念がありました。だから、一切ブレませんでしたね。

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