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著名経営者の経営者インタビュー

澤田ホールディングス株式会社 代表取締役社長 澤田 秀雄

運をコントロールして時代の変化を味方につけろ

1980年にエイチ・アイ・エスを創業し、売上高4,300億円超の企業グループを築き上げた澤田氏。さらに、格安航空の先駆けとなる第3の国産航空会社、スカイマークを1998年に就航。旧山一証券系の証券会社を立て直し、エイチ・エス証券として2004年に株式上場。開業から18年間赤字続きだったハウステンボスを、2010年の社長就任から1年で黒字化――。これまでさまざまなビジネスに挑戦し、成功を収めてきた。昨年9月には、ビジネス書『運をつかむ技術』を上梓。自ら運を呼び寄せる方法、バランス経営の重要性など、自身の豊富な経験に基づいた経営の要諦を披露している。33年にわたって経営の最前線で豪腕を振るってきた同氏に、経営の極意を聞いた。

※下記は経営者通信25号(2013年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―アベノミクスの効果で円安と株高が進んでいます。景気回復ムードが生まれる一方、設備投資や人材採用など、攻めの経営に慎重な企業が多い状況です。経営者は、どのように景気動向を判断して会社の舵取りをすればいいでしょうか。

澤田:株価は景気の先行指標なので、将来の見通しが少し明るくなったといえるでしょう。大規模な公共投資など、政府が積極的にいろいろ取り組んでいるので、よい方向へ進んでいると思います。しかし、中国経済の成長が減速するなど、世界情勢も楽観視できません。だから、1、2年先はまだまだ不透明ですよ。ただ、いつの時代も景気のよいときと悪いときは繰り返しやってきます。時流を読んで、攻めるべきときは果敢に攻め、守るべきときは慎重に経営を進めればいいのです。

―「景気のよいときは慎重に経営を行い、景気の悪いときは攻める。また、会社の業績がよいときは慎重に経営を行い、業績の悪いときは攻めるべき」というのが澤田さんの持論です。

澤田:ええ。景気も会社の業績も同じ。調子のよいときは、脇をしっかりしめる。反対に調子の悪いときは、明るく元気に、思いきって挑戦しようという方針ですね。景気のよいときに調子に乗りすぎると、つい驕りが生まれて、ドボンと急落してしまう。当社でもバブルの時期など、さしたる努力をせずとも前年比60、70%と伸びていました。そのとき、喜ぶより「これはおかしい」と警戒心をもった。そこで当時は、いっさいの拡大策をストップ。地価が高騰していた新宿から本社機能を浅草に移し、“緊急避難”をしました。おかげで、同業他社がバブル崩壊の打撃を受けるなか、まったく影響を受けませんでした。

―慎重に取り組んだ結果、業績悪化を回避できたのですね。逆に景気が悪いときに攻める利点はなんでしょう。

澤田:景気が悪いときは、他社が守りに入るぶん、積極的に攻めれば大きく躍進しやすい。誰も取り組まないことを実行すれば、注目度も高まりますから。ただし、会社の業績が好調なときは注意が必要。特に、絶好調の後に揺り戻しが必ずやってきます。エイチ・エス証券がライブドア事件のあおりを受けたのも、まさに業績が絶好調のときでした。すべてのものごとには「陰」と「陽」の二面性があります。ガマンするときなのか、それとも攻めるべきか。冷静に状況を分析して、判断しなければならないのです。

―経営のバランスをとることが大切なんですね。

澤田:そうです。人間でたとえると、栄養のバランスが崩れると病気になるじゃないですか。運動しすぎてもケガをするし、ずっと寝たままだと次第に身体が動かなくなる。経営も一緒。やりすぎても、やらなさすぎてもダメ。経営がうまくいっていない理由は、会社全体のバランスが悪くなっているからなのです。

―そうなった場合、どう対処すればいいでしょう。

澤田:まずは、貸借対照表やプロジェクト単位の損益計算書など会社の数字をチェックすべきです。会社は「ヒト・モノ・カネ」で成り立っているもの。そのバランスが崩れているから、おかしくなる。人のやる気がないのか、商品が悪いのか、財務体質が弱いのか。必ずどこかに原因がある。その原因さえ取り除いたら、たいがいの企業は黒字になるんです。人から話を聞く場合、ごまかす可能性があります。その点、数字はウソをつかない。どこにムダがあるのか、どこが弱いのか、どこを強化したらいいのかがわかる。万年赤字のハウステンボスを1年で黒字化できた理由も一緒ですよ。

―ハウステンボスのケースでは、どのように経営のバランスをとったのですか。

澤田:売上が上がらないのに、経費が高い。バランスが悪い状態でした。そこで、まずは経費を大幅に削減しました。ハウステンボスの敷地面積は、ディズニーランドの1.6倍。単純に考えると、光熱費や人件費も1.6倍かかる。しかも開業から18年が経過しているので、修理などの設備投資も必要。だから、まずは敷地の3分の1を入場無料のフリーゾーンにして開放。維持・運営費を2割削減することから始めました。では、売上が上がらない理由はどこにあるのか。それはお客さまが喜ぶようなイベントがないからで「100万本のバラ祭り」や「光の王国」など、魅力的なイベントを行ってお客さまを増やす。お客さまが増えることで、赤字続きでやる気をなくしていたスタッフのモチベーションを上げる。そんなに難しくないよね(笑)。

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