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著名経営者の経営者インタビュー

株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長 澤田 秀雄

経営者は“カン”を磨きスピーディーに決断せよ

「経営は簡単。でも難しい」。インタビュー中、澤田秀雄氏はそう何度も笑顔で語った。澤田氏はエイチ・アイ・エスとスカイマークの創業者であり、数々の企業を再建した辣腕経営者でもある。その再建企業は、破綻した山一證券傘下の証券会社(現:エイチ・エス証券)、モンゴルの赤字銀行、産業再生機構が支援した熊本のバス会社など、業種も地域も実に幅広い。そして2010年3月、買い手がつかず閉園目前だったハウステンボスの社長に就任。18年間赤字を出し続けてきた同社を開業以来、初の黒字へと導いた。今回はその経営術に迫るため、澤田氏に話を聞いた。

※下記は経営者通信13号(2011年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―東日本大震災の影響で、日本全体の経済が悪化し始めています。今後の日本経済の展望を聞かせてください。

澤田:20011年3月期の決算では、多くの上場企業の業績が回復していました。ですから、経済的な影響はこれから大きくなるでしょう。この半年から1年は厳しいと思います。

―いつ頃、景気は回復すると思いますか。

澤田:それはリーダー次第ですよ。国家も企業もハウステンボスも経営。いかに早く立ち直らせるかはリーダーにかかっています。どこに早く手を打つかによって、景気も大きく変わります。たとえば、ハウステンボスは今年3月に売上が約1割、入場者数が約2割、前月から落ちました。大震災以降、海外のお客さんが激減したからです。しかし、素早く手を打った結果、4月には3割ぐらい伸ばすことができました。やり方次第で、すぐに数字は回復するわけです。ですから、もしリーダーがゆっくりやっていたら、日本経済は1年ぐらい落ち込んでしまうでしょう。しかし、スピーディーに手を打てば、半年で戻るかもしれません。

―大規模節電、放射能汚染、消費マインドの減退など、当分の間は不透明な経営環境が続きそうです。このような状況において、経営者はどのような考え方で経営にあたればいいのでしょうか。

澤田:こういう悪い時ほど、経営者は明るく元気にやらなきゃいけません。気持ちが暗くなると、業績もどんどん悪くなっていきます。だから、経営者は明るく、果敢に攻める。ポジティブにスピーディーに行動する。逆に調子のいい時は意識的に抑える。これが経営の基本です。

―現在のような不透明な時期こそ、積極性とスピードが大事だというわけですね。

澤田:ええ。やはり来月やるより、いまやった方がいい。成果が出るのが早いですから。ダメだったら、すぐにやめればいい。一番悪いのは、何もやらないこと。「ピンチはチャンス」ですが、ほうっておいたらピンチのままです。そもそも、経営の本質は変化に対応すること。経営環境はどんどん変化しているので、判断もスピーディーに変えるのは当然です。ずっと同じ状態が続いているわけがありません。 また、震災後は変化のスピードと複雑性がさらに増しました。だから、経営者は変化に素早く対応しなきゃいけない。「ダメだ、ダメだ」と嘆いていても、何も生まれませんよ。

―ここからはハウステンボス再建に関わる話を聞きたいと思います。ハウステンボスは1992年の開業以来、ずっと赤字を続けてきました。昨年に澤田さんが再建を引き受ける際は、周りから反対の声が多かったそうですが。

澤田:たしかに反対はありました。18年間ずっと赤字で、みんな失敗してきましたから。まず創業者が経営に失敗。次に日本興業銀行が立て直そうとしたのですが、赤字から抜け出せなかった。さらに野村證券グループのファンド(野村プリンシパル・ファイナンス)がプロの再建チームを送り込んでもダメ。各分野から一流の経営陣を集めたのに成功しませんでした。そして、誰も再建を引き受ける人がいなくなった。  そういう案件ですから、常識的に考えれば反対しますよ。ひとつ間違えば、何百億円も失った末、撤退することになりますから。

―なぜ、あえて火中の栗を拾ったのですか。

澤田:理由は3つあります。1つ目は、頼まれたから。長崎県の知事さん、佐世保市の市長さんに熱心に依頼されたのです。市長さんには3度もお越しいただき、熱いメッセージをもらいました。2つ目は、地域経済を再生したかったから。一時は「東のディズニーランド、西のハウステンボス」と並び称された長崎の象徴です。この誇るべきテーマパークを廃墟にしたら、地域経済にとっても、日本の観光産業にとっても大きなマイナスになると思いました。3つ目は、血が騒いだから。私はこれまで数多くの難しい案件を手がけてきました。航空業界に新規参入したスカイマーク、バブル崩壊後のオーストラリアのホテル、山一證券が潰れた後の山一グループの証券会社、モンゴルの赤字銀行・・・。難しかったからこそ、大きなやりがいがありました。

―澤田さんにとっては、3つ目の理由が一番大きいのではありませんか?

澤田:登山家は高くて険しい山があったら、登りたくなるでしょ?私は経営者だから、チャレンジャーだから、挑戦したくなりました。ハウステンボスは久々に高くて険しい山です。そんな案件はやってみたくなるじゃない(笑)。登っている途中で落ちる危険もありますが、地域のため、日本のため、自分のためにチャレンジすることを決めました。

―ハウステンボスは澤田さんが社長に就任してから、わずか半年で黒字に転換しました。経営を引き受けてから1年間の2011年3月累計では約10億円の経常利益を出しています。どうやって短期間で黒字化させたのですか。

澤田:1つ目は、従業員の意識を変えたこと。2つ目は、ムダな経費を削減したこと。3つ目は、お客さんを増やしたこと。つまり、従業員のモチベーションを上げて、コストを下げて、売上を上げた。そんなに難しくないよね。

―決して簡単ではないと思います。もう少し詳しく教えてもらえますか。

澤田:経費を2割削減して、売上を2割増やせば、上下合わせて4割変わります。すると、たいがいの企業は黒字になる。簡単ですよ。ただ、具体策は難しいけどね。まず売上を上げるポイントは差別化です。つまり、競合がやっていないことをやる。たとえば、東洋一のイルミネーション「光の王国」をつくったり、AKB48との共同イベントやガーデニングのワールドカップを開催したり。今年の4月からは人気マンガ『ワンピース』の大きな海賊船でハウステンボスの目の前に広がる大村湾をクルージングできるようにしました。ただし、大きなイベントを開催するにはお金がかかります。その場合、経費は1割だけ削減して、売上を3割上げればいいのです。実際、ゴールデンウィークの売上は前年より約6割もアップしました。

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