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GMOインターネット株式会社 グループ代表 熊谷 正寿

経営者は夢を掲げ仲間と一点突破せよ

1991年に設立され、1999年に独立系インターネットベンチャーとして初の株式上場を果たしたGMOインターネット。今や同社はグループ会社57社、従業員1,700名を擁する東証一部上場企業だ。同社はWebインフラ分野(ドメイン管理やレンタルサーバーなど)で圧倒的なシェアを誇っている。しかし、そんな同社もずっと順調な成長を続けていたわけではない。2006年から2年間にローン・クレジット事業で400億円もの損失を負い、倒産の危機に陥ったのだ。そのGMOインターネット最大の危機をいったいどうやって乗り越えたのか。代表の熊谷正寿氏に話を聞いてみた。

※下記は経営者通信8号(2010年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は創業19年目を迎え、現在は日本を代表するインターネット企業へと成長しました。成長の秘訣は何でしょうか。

熊谷:簡潔に言えば、3つあります。①会社の「夢」を明確にすること、②その夢を信じる「仲間」を集めること、③ひとつの分野に経営資源を集中させて「一点突破」を図ること。この3つが成長の秘訣だと思います。

―では、1つ目の成功の秘訣から詳しく教えてください。なぜ「夢」の明確化が必要なのですか?

熊谷:人の平均寿命は70~80歳。誰もが死へのカウントダウンの中で生きています。今ここで皆さんとお話ししている間も、そのカウントダウンは進んでいる。まさに"命を削って"仕事をしているわけです。だからこそ、時間の使い方は非常に大事です。自分の時間、つまり自分の人生をいったい何に捧げるのか。それを「夢」として明確に定めるべきなんです。

―熊谷さんの場合、どんな夢を掲げたのですか?

熊谷:21歳の時、「何かの事業分野で圧倒的ナンバーワンになる」という夢を掲げました。その時点では、まだ具体的な事業分野は決まっていなかった。だから、その後も人生を賭けるべき事業分野を模索していました。ただ、当時から自分の目指すビジネスについて、漠然としたイメージは持っていました。それは鉄道ビジネスのイメージ。鉄道ビジネスは、線路を引いて電車を走らせるだけではありません。鉄道会社は鉄道沿線に住宅地をつくります。またターミナル駅に百貨店、郊外の駅に遊園地や動物園などをつくる。そうやって自社のつくったインフラ上で様々なサービスを提供し、一大企業グループを形成できるんです。たとえば東急グループ。東急電鉄を軸に東急百貨店、東急ホテル、東急不動産など、幅広いビジネスを展開しています。鉄道というインフラを軸に、多数の関連事業を展開し、高い収益を上げているわけです。ですから、圧倒的ナンバーワンになるためには、まず鉄道のようなインフラを押さえようと考えました。そして1995年。僕はインターネットに出会い、大きな衝撃を受けました。インターネットは人々のライフスタイルを根底から変えると思ったからです。また当時、インターネットの分野は誕生したばかりの市場で、まだ僕らがインフラビジネスを手がけるチャンスがあった。そこで、僕は「インターネット産業で圧倒的ナンバーワンになる」という夢を掲げました。先ほど話した「鉄道」というインフラに相当するのが「プロバイダ」や「サーバー」。そして、これらのインフラの上に様々なネットビジネスが乗っかっていく。インターネット分野で一大企業グループをつくるイメージがわいたんです。

―では、2つ目の成功の秘訣である「仲間」について教えてください。熊谷さんは、どうやって優秀な仲間を集めたのですか。

熊谷:仲間の集め方は、ひとつしかありません。ひたすら周囲に夢を語る。ずっと語り続ける。それしかない。もちろん、経営者は心の底から夢を信じなければいけません。はたから見れば、「まるで気が狂っているんじゃないか」と思われてしまうくらい信じる。そうすれば、夢を語る言葉はやがて"信念"へと昇華します。そして、その"信念"は人の心に伝わり、人を動かすんです。僕は15年前から、ずっと同じ夢を語り続けています。「インターネットに命を賭ける。この分野で絶対にナンバーワンになる」と。この夢に共感して集まってきてくれたのが、今の幹部たちなんです。たとえば、専務の安田と西山。安田はもともと公認会計士として、大手監査法人に勤務していました。でも僕の夢に共感してくれ、監査法人から当社へと転職してくれた。西山は当社に入社する前、自分で会社を経営していました。でも、僕と一緒に夢を実現させるため、経営していた会社をたたんで、当社に参画してくれたんです。

―現在、御社はWebインフラの分野で、圧倒的ナンバーワンを誇っています。どうやって圧倒的ナンバーワンになったのですか?

熊谷:当初、GMOインターネットはプロバイダ事業からスタートしました。プロバイダ事業に一点集中してナンバーワンになろうと。実際、プロバイダ事業は順調に成長し、当社はインターネットプロバイダとして日本初の株式上場を果たしました。でも、上場前からプロバイダ事業には限界を感じ始めていたんです。プロバイダ事業は「人数×単価」の商売。そのため、いつかは人口という壁にぶつかってしまう。ビジネスモデル上、いつか成長の限界が来てしまうんです。そこで、次のビジネスを探すため、1997年に僕はシリコンバレーに飛びました。インターネットビジネスの本場は米国。中でも最先端を走っているシリコンバレーに行けば、何かヒントが見つかるんじゃないかと。そんな淡い期待を抱いて、シリコンバレーの起業家たちを訪れました。実際、シリコンバレーにはヒントが転がっていました。そのひとつがデータセンター。今でこそデータセンターといえば、強固なセキュリティの近代的な建物を想像するでしょう。しかし、当時はまったく違いました。木のテーブルの上に数台のパソコンが置かれ、そのまわりに鉄条網が張り巡らされているだけ。それが原始的なデータセンターだったんです。そしてシリコンバレーの起業家たちから詳しく話を聞くうちに、これは大きなビジネスチャンスだと気づきました。インターネット回線の数は人口に規定されますが、Webサイトの数は人口に規定されない。だからデータを管理するレンタルサーバーには成長の限界がない。Webサイトが増えれば増えるほど、無限にビジネスが広がっていくんです。

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