OCRというのは、手書きや活字などの文字が記載された書類や画像からテキスト情報を読み取り、データ化してくれるシステムです。
それに加えて、AIの学習機能を利用してさらに高い精度で読み取りが可能となったシステムが、AI OCRです。
AI OCRではディープラーニングを活用して、1度ミスした読み取りを学習してくれるため、これまで以上にデータ入力や確認業務の効率アップが期待できます。
この記事では、そんなAI OCRのおすすめや選び方、導入の注意点などについて詳しく解説していきます。
- 書類や画像を高い精度で読み取ることができる
- AIによる学習機能で、データチェック業務のコストが減る
- 様々な外部システムと連携して、会社全体の業務効率化が図れる
\おすすめの勤怠管理システムが気になる方はこちら/
勤怠管理システムのおすすめ比較ランキング優良10選!無料・有料別でメリットや機能を徹底比較
目次
AI OCR15選を一覧で比較
AI OCRシステムは様々な会社が提供しており、手書きに強いタイプや印字に強いタイプ、またはその両方をカバーしたタイプなどがあります。
加えて、システムの操作性や外部システムとの連携性、導入にかかる費用的コストなどにも違いがあります。
なので、まずはおすすめのAI OCR15選について特徴を交えながら一覧表でご紹介します。
AI OCRの一覧表は以下の通りです。
印字と手書きに強いAI OCRシステム
サービス名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
AnyForm OCR | 問い合わせが必要 |
|
CLOVA OCR | 月額料金:55,000円~ 初期費用:0円 |
|
eas | 月額料金:50,000円~ 初期費用:50,000円~ |
|
AIRead | 月額料金10,000円~ 初期費用:200,000円 |
|
DX Suite | 月額料金:30,000円~ 初期費用:0円(DX Suite Liteの場合) |
|
CaptureBrain | 月額料金:30,000円~ 初期費用:200,000円 |
|
書類チェッカー | 問い合わせが必要 |
|
AI よみと~る | 月額料金:33,000円~ 初期費用:0円 |
|
FlexiCapture | 問い合わせが必要 |
|
印字に強いAI OCRシステム
サービス名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
RICOH Cloud OCR シリーズ | 月額料金:15,000円~ 初期費用:問い合わせが必要 |
|
AIスキャンロボ | 問い合わせが必要 |
|
スマートOCR | 月額料金:30,000円~ 初期費用:100,000円~ |
|
【手書きに強いAI OCRシステム】
サービス名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
AI-OCRらくスルー | 月額料金:30,000円~ 初期費用:0円 |
|
Tegaki | 問い合わせが必要 |
|
DEEP READ | 問い合わせが必要 |
|
上記の表の中でも、手書きと印字両方に対応したCLOVA OCRは特におすすめです。
CLOVA OCRはLINE株式会社が提供するシステムで、非常に高いレベルで文字を読み込んでくれます。
形式が決まっている自社作成の書類だけでなく、レシートや名刺といったレイアウトが様々な書類の読み取りにも対応しています。
オプションである表抽出機能を活用すれば、表形式のデータ読み取りも可能。
多彩なフォーマットの読み取りに対応しているため、多くの企業で満足の行く効果を発揮できます。
初期費用が無料で、月額料金も55,000円~と比較的リーズナブルなので、気になる方は導入してみてください。
おすすめのAI OCR15選を解説
それでは、表で紹介した以下のサービスについて1つずつ、詳しく解説していきます。
スマートOCR
出典:https://www.smartocr.jp/
スマートOCRは、株式会社インフォディオが提供するシステムで初期費用は100,000円~、月額料金は30,000円~となっています。
AI文字列エリア認識エンジンとAI文字認識エンジン、そしてAI歪み補正エンジンと高機能な3種類のエンジンを搭載している点が大きな特徴です。
これにより請求書や決算書はもちろん、表形式の書類や源泉徴収票など様々なタイプの読み取りに対応しています。
また、白文字や網掛け文字といったあらゆる文字形式でも問題なく読み込み可能で、書類に歪みがある場合でも、自動補正して的確にデータ化できます。
レイアウトの違う書類を1度に読み込んだとしても、各項目ごとに正確にデータを集められるため、入力作業が大幅に効率化できます。
高度な機能があるからこそ、使いやすい操作性にこだわって設計されているため、使いこなせるか不安な方でも安心して導入できるでしょう。
AnyForm OCR
出典:https://www.hammock.jp/anyform/
AnyForm OCRは、株式会社ハンモックが提供するシステムで、料金については問い合わせが必要です。
AI型と非AI型という2種類のエンジンを搭載しており、WOCRという特許技術によって、人間が1枚1枚確認するのと同じくらいの読み取り精度を誇っています。
そのため、できるだけ高い信頼性のある読み取り機能を得たい方には、最適なシステムと言えます。
自社で作成した帳簿はもちろん、取引先から出力されたフォーマットなど、様々な形式の読み取りにも対応。
加えて、読み取ったデータの仕分け機能や他システムに合わせた出力機能など、あらゆる業務をシステム内で処理できます。
汎用性の高いシステムなため、大幅にデータ入力や管理業務のコスト削減が期待できるでしょう。
CLOVA OCR
出典:https://clova.line.me/clova-ocr/
CLOVA OCRは、LINE株式会社が提供するシステムで初期費用は0円、月額料金は55,000円~となっています。
フォーマットの決まっている帳簿の読み取りはもちろん、レシートや領収書、名刺などといったレイアウトが決まっていない書類や画像などの読み取りにも対応しています。
縦書き文章や傾きのある文章でも問題なく読み取りできる、柔軟性も持ち合わせています。
オプションである表抽出機能を活用すれば、特に設定などは不要で表形式のデータ読み取りもできます。
LINEの公式アカウントや外部システムとの連携性もあるため、LINE周りのシステムとの互換性も重視したい方にもおすすめです。
eas
出典:https://www.uluru-bpo.jp/eas/
easは、株式会社うるるBPOが提供するシステムで、初期費用と月額料金共に50,000円となっています。
AI OCRと人力であるクラウドワーカーを、帳簿の工程ごとに連携させたシステムを採用しており、迅速かつ正確な読み取り精度を誇ります。
手書きの文字のように、AI OCRに不向きな読み取りについてはクラウドワーカーがデータ化するなど、柔軟な設定にも対応。
作業配分を手軽にカスタマイズできる点も特徴と言えます。
クラウドワーカーは、eas専用の入力フォームにて作業を行い、情報の漏えいを防ぐ高いセキュリティシステムが設計されているため安心して任せられます。
また、画像読み取りの際はレイアウトの違いを自動的に判断し、事前に設定された分類ごとに画像を分けて処理する機能も搭載。
読み取り可能な帳簿レイアウトは様々で、取得したデータは他システムとのAPI連携が可能です。
AI OCRに頼り切ったシステムではなく、クラウドワーカーの人力も交えたシステムを導入したい方におすすめです。
AIRead
出典:https://airead.ai/
AIReadは、アライズイノベーション株式会社が提供するシステムで初期費用が200,000円、月額料金は10,000円~となっています。
フォーマットの定まっていない自由な手書きや書類の読み取りに対応し、ユーザーが読み取りたい項目をAIが自動的に判断してデータ化してくれる機能を搭載。
また、読み取り書類の傾き補正や自動回転、キーワードによる仕分けなど、有用な機能が充実しています。
間違った読み取りをした場合でも、それをマスターデータとしてAIに学習させることもできるため、使い込むことで更なる読み取り精度向上が期待できる点も魅力です。
導入形態はクラウド型だけでなく、オンプレミス型にも対応しているため、自社に合わせて選択しましょう。
DX Suite
出典:https://dx-suite.com/
DX Suiteは、AI inside株式会社が提供するシステムで初期費用は0円、月額料金は30,000円~となっています。
手書きや活字の書類はもちろん、FAXや画像などの読み取り可能で、あらゆる書類を簡単にデータ化できます。
また、レイアウトの違う帳簿をまとめてスキャンでき、罫線の入った書類であっても問題なく読み取ることができる点も魅力的です。
誤字があった場合でも、ディープラーニングに対応しているため、AIに学習させてさらに識字率をアップできます。
外部システムとの連携もできるため、効率良く書類をデータ化し業務全体の作業コストを下げたい方におすすめです。
CaptureBrain
出典:https://www.canon-its.co.jp/products/capturebrain/
CaptureBrainは、キヤノンITソリューションズ株式会社が提供するシステムで初期費用は200,000円、月額料金は30,000円~となっています。
帳簿の画像をOCRが読み取りやすい形に変更する独自技術により、高い精度でデータを読み取ることができます。
また、読み取ったデータと照合するための単語辞書を作成でき、情報の類似度を元に自動的に文字を補正してくれる機能も搭載。
データの確認時は、作業箇所を見やすく拡大できるため、人的ミスの防止に繋がります。
多彩な機能が充実しながらも、操作性も高い点が魅力的です。
クラウド型だけでなく、自社に合ったシステムを独自開発もできるため、最適化されたシステムを導入したい方には非常におすすめと言えるでしょう。
書類チェッカー
出典:https://aismiley.co.jp/product/checker/
書類チェッカーは、株式会社エーエヌラボが提供するシステムで、料金については問い合わせが必要です。
読み込み書類の記入ミスや漏れを自動的にチェックし、設定した項目に沿って仕分けまで行ってくれます。
そのため、確認業務も含めて書類作業にかかるコストを大幅に削減できます。
外部システムとの連携性も高いため、書類チェッカーを基盤にあらゆる面で業務の効率化が期待できるでしょう。
AI よみと~る
出典:https://business.ntt-east.co.jp/service/rpa_aiocr/
AI よみと~るは、東日本電信電話 株式会社が提供するシステムで初期費用が0円、月額料金は33,000円~となっています。
読み取り精度は手書き書類を含めて96.71%と非常に高く、自動読み取り後の確認作業もほとんど必要ありません。
手書きだけでなく印字書類、さらに外国語で記載されている書類にも対応しており、マウスのみで簡単に操作できる点も魅力的です。
あらゆる手作業をロボットによって自動化してくれる「おまかせRPA」との連携も可能なので、会社全体の作業効率アップが期待できるでしょう。
FlexiCapture
出典:https://www.abbyy.com/ja/flexicapture/
FlexiCaptureは、ABBYYジャパン株式会社が提供するシステムで、具体的な料金については問い合わせが必要となります。
最大200種類の言語読み取りに対応しているため、日本だけでなく海外支社などがある場合でも問題なく活用できます。
手作業を必要とする業務をロボットによって自動化するRPAや、会計ソフトとの連携もできるため、会社全体のシステム化ができるできます。
クラウド型だけでなくオンプレミス型もあるため、自社に合った導入形態で検討してみると良いでしょう。
RICOH Cloud OCR シリーズ
出典:https://www.ricoh.co.jp/service/cloud-ocr
RICOH Cloud OCRシリーズは、株式会社リコーが提供するシステムで月額料金は15,000円~、初期費用については問い合わせが必要となります。
請求書と納品書、それぞれに特化したサービスを展開しており、どちらもアップロードするだけで自動的にデータ化できます。
独自に開発した解析技術により、事前の読み取り設定は必要ありません。
的確にデータ化された帳簿はCSV形式のファイルに出力できるため、外部の会計ソフトと簡単に連携できます。
そのため、大幅にデータ入力業務のコスト削減が期待できます。
比較的リーズナブルに導入できるので、気になる方は初期費用など具体的な料金について問い合わせて、検討してみると良いでしょう。
AIスキャンロボ
出典:https://aiocr.ai/lp/?gclid=CjwKCAjw3cSSBhBGEiwAVII0ZwOClatofva1ue7C2Z2Q0WUmPn_c8yQJhulQuexq11UQIXJOS1JgchoCqDMQAvD_BwE
AIスキャンロボ®は、ネットスマイル株式会社が提供するシステムで、料金については問い合わせが必要です。
独自のOCR技術を採用し、ディープラーニングによって高精度な読み取り機能を誇っています。
また、複雑な設定をしなくてもAIが勝手に読み取り範囲を確認してくれる、オートセグメンテーション機能が搭載されています。
そのため、指定した範囲外に読み込むべき文字があった場合でも、自動的に判断してデータ化してくれます。
さらに、帳簿が複数ページに渡る場合でも、AIが自動的に感知して全て読み取ってくれます。
読み取ったデータは、ページ番号付きで1枚のCSVシートにまとめてくれます。
フォーマットの違う書類でもまとめてスキャンできるため、作業効率が飛躍的に向上するでしょう。
AI-OCRらくスルー
出典:https://www.kbinfo.co.jp/aiocr/
AI-OCRらくスルーは、関西ビジネスインフォメーション株式会社が提供するシステムで、初期費用は0円、月額料金は30,000円~となっています。
手書きの帳簿読み取りに特化したシステムで、ディープラーニングの採用により96%以上の識字率を誇っています。
マウスでドラッグ&ドロップするだけで簡単に書類をデータ化でき、読み込み範囲もシンプルな操作で設定できます。
また、指定範囲の読み飛ばしや、欄からはみ出してしまっている文字の読み込みなども行ってくれるため、データ入力や確認作業コストを大きく下げることができます。
オプションではありますが、帳簿の自動仕分け機能や、接続できるIPアドレスの制限といったセキュリティ機能も利用できます。
初期費用無料で比較的リーズナブルに導入できるため、気になる方は検討してみてください。
Tegaki
出典:https://www.tegaki.ai/
Tegakiは、株式会社コージェントラボが提供するシステムで、詳しい料金設定については問い合わせが必要となります。
手書き書類は読み取りが難しく、中々正確にデータ化できない傾向にあります。
しかし、Tegakiでは独自開発のシステムとディープラーニングを活用することで、高い識字率を叩き出しています。
ひらがなや漢字、アルファベットや記号などはもちろん、チェックボックスなども的確にデータ化してくれます。
設定によっては、多言語の読み取りにも対応できるため、海外支社がある場合でも問題なく有効活用できます。
クラウド型をはじめ、大企業向けなオンプレミス型も用意されているため、自社に合った導入形態で業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
DEEP READ
出典:https://doubleyard.com/deepread/jp/
DEEP READは、株式会社EduLabが提供するシステムで、具体的な料金については問い合わせが必要となります。
ディープラーニングを活用したAIにより、高い精度で書類を読み込んでくれるため、誤字チェック作業にかかるコストも心配いりません。
読み取ったデータはリアルタイムで表示されていくため、データ化が完全に完了するまで待つ必要がなく、時間的効率化も図れます。
読み取りたい画像をアップロードして範囲を決めるだけでスキャンを開始できるため、複雑な設定などは不要で多くの方にとって扱いやすいシステムデザインになっています。
そのため、手軽に高性能なAI OCRシステムを導入したい方に特におすすめと言えるでしょう。
AI OCRの仕組みや特徴
様々な形式の書類データの取得が可能なAI OCRですが、導入することでこれまで人間の労働力を必要としていた業務の効率化が期待できます。
そんな有用なシステムの仕組みや特徴について、以下のポイントに沿ってご紹介します。
- そもそもOCRとは?
- AI OCRとOCRの違い
- フォーマットの違う帳票に対応できる
そもそもOCRとは?
AI OCRを理解するためには、まずOCRについて知っておく必要があります。
結論から言うと、OCRというのは記載されているテキストデータを抽出するために、書類や画像データをスキャンするシステムです。
これまでも画像などをスキャンすることはできましたが、画像内にどういった情報が記載されているのかまでは認識できず、あくまで1枚の画像としてデータ化するだけでした。
そんな中、OCRシステムを利用することで画像内の文字情報まで簡単に取得できるようになり、単なる画像データではなくなったのです。
取得方法も簡単で、大まかな手順は以下の通りです。
- データ化したい帳簿の画像を用意
- 読み取り範囲や仕分ける項目を設定
- 画像をアップロードして取得スタート
- 取得したデータの確認や修正を行う
- 分析や他システムに連携して運用する
一方でデメリットもあり、手書きの書類や歪みのあるFAXなど、読み取れない形式もあります。
フォーマットの定まっていない書類などには対応しておらず、基本的には決まった形式しかスキャンできませんでした
そこで、さらに汎用性を高めるために。学習機能を搭載したのが、AI OCRというシステムという訳です。
AI OCRとOCRの違い
データを取得する手順自体は大きく変わりませんが、AI OCRには以下のような特徴があります。
- 文字の識別精度が高い
- 手書き文字も綺麗にデータ化できる
- 形式の違う帳簿にも対応
文字の識別精度が高い
これまでは、読み込みデータの状態によっても正しくテキスト化できるか左右されていたため、ある程度決まった形式の画像のみの対応となっていました。
一方で、学習機能を搭載しているAI OCRであれば、これまで以上に文字の認識度が大きく向上しています。
例えば、これまでは漢字の「工」とカタカナの「エ」を間違えてしまうことも多々ありました。
ですが、「工」の前に「加」という文字があれば「工」は漢字であると、AI OCRでは的確に認識できます。
このように、高い精度で識別可能なシステムに進化しているため、単純な文字情報の取得ではなく条件付けや規則性を見極めたデータ化ができます。
手書き文字も綺麗にデータ化できる
手書き文字の識別精度が非常に低いという問題点が、これまでのスキャン技術ではありました。
しかし、手書き書類であっても、AI OCRではあらゆる筆跡パターンを学習させることが可能なため、高い精度でスキャンしてくれます。
また、手書き文字の情報取得に特化したエンジンを搭載したサービスもあり、その場合は特に設定することなく、90%以上の読み取り精度を誇ります。
そのため、手書き書類が多く導入を断念していた企業でも、AI OCRであれば問題なく活用できるでしょう。
形式の違う帳簿にも対応
どの列の情報を取得するのかや、これはどの項目に仕分けるのかなど、従来のシステムではレイアウトの違う帳簿ごとに設定する必要がありました。
また、業務効率化を図るために導入したのに設定自体も中々複雑で、結局手入力の作業が増えている現象が多々起きていました。
AI OCRでもある程度の事前設定は必要なのですが、範囲設定や項目設定がスムーズに行えるよう、多数のテンプレートが用意されています。
さらに、書類の種類を選択するだけで、簡単にテキストデータ化できるタイプもあるため、フォーマットの定まっていない名刺やレシートなどでも問題なくデータ化できます。
サービスごとに得手不得手はありますが、より効率良くあらゆる書類をテキストデータ化できるシステムがAI OCRとなります。
フォーマットの違う帳票に対応できる
これまでは手書き書類や非定型書類のスキャンに不向きで、決まった形式の書類に限り高い精度の読み取り可能でした。
しかし、今ではフォーマットの違う書類を1度にスキャンしたとしても、的確に項目に分けてテキストデータ化できるAI OCRも登場しています。
また、従来では枠線を書いて読み取りやすい形式に揃えないと、手書き書類はデータ化が難しい傾向にありました。
ですが、膨大な文字データを元にディープラーニングしてくれるAI OCRでは、手書き書類であってもしっかりと判別してくれる点が魅力的です。
AI OCRの導入メリット
AI OCRでは、様々な書類のテキストデータ化が可能で、これまで人力が必要だった業務を効率化させられます。
特に以下のような点が、AI OCRの大きなメリットとなりますので、それぞれ詳しく解説していきます。
- 入力業務のコスト削減
- 確認・修正業務の軽減
- データ利用業務の効率化
入力業務のコスト削減
AI OCRでは、読み取りたい画像をシステムにアップロードするだけで簡単にテキストデータ化できます。
従来であれば、1項目ずつ手入力で仕分ける必要がある作業を、範囲や項目を指定してアップロードだけで済ませられるため、飛躍的な効率アップが期待できます。
また、OCRでは正確に読み取れなかった手書き書類や、レイアウトが決まっていない書類の読み取りにもしっかりと対応している点も特徴の1つです。
サービスの中には、読み取り範囲や項目の設定さえも不要で、あらゆる形式の書類を一括でスキャンし仕分けできるタイプもあります。
このように、AI OCRではあらゆる入力業務のコスト削減が期待できるでしょう。
確認・修正業務の軽減
AI OCRは、従来のOCRと比べても圧倒的な読み取り精度を誇っていて、サービスによっては95%以上を叩き出しているものもあります。
そのため、データ読み取り後にちゃんと狙い通りにテキストデータ化できているかという、確認作業に必要な時間を大幅に削減できます。
さらに、サービスの中にはAI OCRによる読み取りの後に、クラウドワーカーが目視で確認してくれるシステムを組んでいるものもあります。
あまりデータの確認作業に時間が割けないという方には、クラウドワーカーと連携しているサービスを選ぶと良いでしょう。
データ利用業務の効率化
AI OCRでは、取得したデータを会計ソフトなどの外部システムに移行させられるタイプも多くあります。
手入力業務を自動化するロボットを作成する、RPAツールとも連携できるタイプもあり、AI OCRで読み取ったデータを、他システムへ自動転載できます。
このように、データの2次利用に関しても無駄な手順が不要となるため、分析や管理面においても効率化が期待できるでしょう。
AI OCR導入の注意点
AI OCRでは書類読み取り業務のコストを大幅に削減できる一方で、導入する際の注意点もいくつかあります。
- 導入コストがかかる
- 高精度でも誤認識する場合もある
- 縦書きの読み取りに弱い
この項目では、上記の注意点について詳しく解説していきます。
導入コストがかかる
AI OCRはデータ業務の効率化は確かに可能ですが、システムの導入には費用的コストや馴染ませるまでの時間的コストがどうしてもかかります。
費用についてはクラウド型とオンプレミス型があり、できるだけコストを抑えて導入したいならクラウド型がおすすめです。
とはいえ、クラウド型は初期費用が安い傾向にありますが、毎月料金が発生するため、システム運用に対してランニングコストが発生します。
オンプレミス型であればランニングコストはありませんが、その分初期費用が多くかかりますので、自社に合ったタイプを選ぶ必要があるでしょう。
また、AI OCRに限らず新しいシステムを導入するには、馴染むまでの時間的コストがかかります。
慣れないシステムを活用することで、最初は逆に時間が多くかかってしまうケースもあれば、社員の心理的な負担にもなります。
そのため、スムーズに導入するためにも、分かりやすい操作マニュアルやフォローアップが重要となるでしょう。
高精度でも誤認識する場合もある
AI OCRは、非常に高い読み取り精度が特徴ですが、決して100%正確にデータ化できる訳ではないです。
精度の高いサービスでも95%ほどとなっているため、過信し過ぎるのはあまりおすすめしません。
AI OCRでは、間違えて読み取った経験を学習してくれるため、従来のシステムよりは正確性が増していますが、取得後に人間の目視が必要となる場面もあります。
一方で、サービスの中にはクラウドワーカーが目視で取得後のデータを確認してくれるシステムもあります。
どうしても確認業務に時間が使えない企業の場合は、こういったクラウドワーカーが介在しているタイプを検討すると良いでしょう。
縦書きの読み取りに弱い
AI OCRでは、様々な形式の書類データを読み取ることができますが、縦書きの帳簿が苦手なサービスも多数あります。
帳簿は横向きな形式になっていることが多いため、縦書きはある種例外的ではあります。
ですが、縦書きの帳簿を普段から活用している場合は、基本的にAI OCRが縦書き帳簿の読み取りに不向きであることを理解しておく必要があるでしょう。
一方で、データを蓄積させて学習させさせてしまえば解決できる問題ではあるため、あまり深刻に捉える必要はありませんが、導入前には対策を含めしっかりと理解しておきましょう。
AI OCRのタイプや種類
AI OCRの中には、得意とする読み取りタイプによって、以下の3つの種類に分けられます。
- 印字読み取りタイプ
- 手書き読み取りタイプ
- 印字・手書き両方に対応したタイプ
この項目では、上記の種類について詳しく解説していきます。
印字読み取りタイプ
AI OCRの中でも印字や活字の読み取りに強いタイプは、請求書や納品書などをたくさんデータ化したい企業におすすめです。
印字や活字に強いシステムの場合、読み取り書類の形式に関係なく一括でスキャンできるタイプが多いため、大量データの取得に向いています。
そのため、読み取り作業に必要な手順も少なく、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。
手書き読み取りタイプ
手書きに適したAI OCRの場合は、アンケートや申し込み書などといった形式書類をメインに読み取りたい企業におすすめです。
また、サービスの中には1人1人の手書きの癖を認識させられるタイプもあり、上手く活用することでさらに読み取り精度を上げられます。
そのため、従来のOCRでは出来なかった高精度な手書き読み取りを実現させたい方には、手書きに特化したシステムがおすすめです。
印字・手書き両方に対応したタイプ
取り扱う書類の中には、印字や活と手書きが混じったものもありますが、そういった書類をメインで読み取りたい場合は印字と手書き両方に対応したAI OCRがおすすめです。
また、現状は手書きが多いけど今後印字書類も多く取り扱う予定がある場合にも、印字と手書き両方に対応したタイプは適しています。
一方で、自社での運用目的がハッキリしておらず、どちらか片方に特化したシステムを選ぶことに抵抗感がある場合、印字と手書き両方に対応したタイプはおすすめしません。
導入目的がハッキリしないままシステムを運用しても、あまり効果的な活用ができないため、失敗に終わる可能性が高いです。
そのため、まずは導入目的をハッキリさせて、印字と手書きが混じった書類の読み取り業務を効率化したい場合に、このタイプを検討すると良いでしょう。
AI OCRの選定ポイント
AI OCRは多くの企業がサービス展開しており、どのシステムを導入すると良いのか迷う場合が多いです。
導入後に効果を感じられるシステムを選ぶためにも、以下のポイントを押さえておくと良いです。
- 自社の導入目的に合っているか
- 文字読み取り精度
- 帳票の仕分け機能の有無
- 多言語に対応しているか
- 外部システムと連携できるか
- 価格設定は適正か
この項目では、上記の選定ポイントについて詳しく解説していきます。
自社の導入目的に合っているか
AI OCRは様々ありますが、請求書や申込書などの基本的な書類についてはテンプレートが用意されているケースが多いです。
そのため、具体的な読み取り範囲や項目を設定することなく簡単に読み取り開始できるのですが、特殊な書類についてはサービスによって対応の有無が分かれます。
なので、自社に最適なシステムを選ぶためには、まず導入して何を効率化させたいのか、どういう効果を得たいのかなど目的を明確にしておく必要があります。
フォーマットの決まっていない書類を多く読み取る場合は、非定型帳簿に対応したシステムが必要ですし、表形式の書類を扱う場合はそれに適応したサービスを選ぶ必要があります。
システムの能力を最大限生かすためにも、導入目的に沿って選ぶようにしましょう。
文字読み取り精度
AI OCRの特徴に高い文字読み取り精度がありますが、サービスによっても当然差があります。
読み取り精度を公開しているサービスもあるため、可能であれば自社が求めている水準かどうかは確認しておくと良いです。
また、アルファベットや記号などの特殊文字への対応にも違いがあるので、読み取りたい書類の文字傾向に対応したシステムを選びましょう。
帳票の仕分け機能の有無
AI OCRの中には、アップロードした帳簿をキーワードを元に、自動的に仕分けてくれるタイプもあります。
帳簿の数が多くなると、どれがどういった帳簿なのかが分かりづらくなってしまいます。
そのため、帳簿の量が多い場合は、複数の帳簿を一括でアップロードでき、自動仕分け機能が搭載されたシステムを選ぶと良いです。
仕分け設定はサービスによって異なるため、自社で活用しやすそうな方法を事前に調べておくと良いでしょう。
多言語に対応しているか
AI OCRには対応言語があるのですが、サービスの中には日本語のみにしか対応していないタイプもあります。
基本的に日本を拠点としているのであれば特に問題ではありませんが、海外支社などがある場合には注意が必要です。
日本人社員以外も働く環境があるのであれば、必ず多言語に対応しているシステムを選びましょう。
外部システムと連携できるか
AI OCRで取得したテキストデータを効果的に運用したい場合、外部システムとの連携性にも注目して選定しましょう。
特に会計システムやRPAシステムなど、会社として頻繁に扱うものに対しての互換性は確認しておいた方が良いです。
せっかく効率良くAI OCRでテキストデータ化したとしても、外部システムとの連携性がないのであれば、そこで無駄な作業が必要となり本末転倒です。
なので、自社で頻繁に活用しているシステムとの互換性は、導入前に確認しておくことをおすすめします。
価格設定は適正か
AI OCRでは、読み取った箇所がどれくらいか、何枚の帳簿を読み取ったのかなどで料金が決まることが多いです。
そのため、導入コストを考えるうえで、自社ではどれくらいの帳簿を読み取のかを想定しておくと選定しやすいです。
自社に必要な性能を理解しておくことで、オーバースペックなシステムの導入や、オプションの必要性など運営側の営業に対しても冷静に判断できます。
具体的な料金イメージが付かない場合は、いくつかサービスをピックアップして見積もりを出してもらうのも1つの手です。
すると、自社で導入した場合にかかる全体の相場観が把握できるので、必要最低限な適正価格で導入できるでしょう。
最適なAI OCRを導入してデータ業務を効率化しよう
AI OCRは、従来のOCRに比べても圧倒的な読み取り精度を誇っているため、データ入力や確認などの業務コストを、大幅に削減できます。
一方で、多くの会社がサービスを提供しているため、どれを導入するべきか迷うケースも多いです。
どのサービスも高精度な読み取りは可能ですが、自社に合ったシステムを選ぶことが効果的な導入には必要不可欠です。
なので、まずは導入目的をハッキリさせてから、最適なAI OCRを選定すると良いでしょう。