この記事を読んでいるあなたは上記のように考えているかもしれません。
近年、コロナ禍によるリモートワーク導入を機に、書面契約に代わる電子契約システムが注目されています。
「ペーパーレス化」や「脱判子」など、国が推進するデジタル化を本格的に進めるためにも電子契約システムの導入を検討している人は多いのではないでしょうか。
この記事では「電子契約システムの基本的なメリット・デメリット、導入時のポイントやおすすめの電子契約システムと導入成功例」をお伝えしてきます。
- 電子契約とは電子データに電子署名することで締結するシステム
- 電子契約システムのメリットは業務の効率化、経費削減など
- 電子契約システムのデメリットは業務フローの変更など
- 導入時のポイント・電子契約システムの比較検討方法
- おすすめ電子契約システム5選ドキュサイン、クラウドサインなど
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目次
電子契約システムとは
まず初めに「電子契約システム」とは何なのか、詳しく解説していきます。
電子契約システムとは何か
電子契約システムとは電子データに電子署名、または電子サインを行うことで契約を締結できるシステムのことを言います。
しかし、電子署名や電子サインだけでは改ざんやなりすましのリスクがあるでしょう。
そのため、証拠機能として使われているのが、いつ押印されたのかを記録する「タイムスタンプ」や契約を締結したのが本人であることを証明する「電子証明書」です。
法的効力に関しては、民事訴訟法第288条により、本人の署名または押印があるものについては本人の意志によるものと推定されています。
電子契約においても、電子署名法第3条によって、本人による電子署名が付与されていれば、同様の効力を持つと認められています。
電子契約と書面契約の違い
電子契約と書面契約は大きく異なり、両者の違いは以下のようになっています。
電子契約 | 書面契約 | |
---|---|---|
形式 | 電子ファイル(PDFなど) | 紙の書面 |
証拠力 | 電子証明書、タイムスタンプ | 印鑑証明書、契印・割印 |
送付方法 | インターネット上 | 優勝または持参 |
保管方法 | サーバー保管 | 書棚保管 |
印紙税 | 不要 | 必要 |
上記から電子契約の特徴としてインターネット上で完結できるため、印紙税などのコストや郵送の手間がかからず、管理も容易になるでしょう。
電子契約システムの機能
電子署名 | 紙文書の印鑑やサインと同様に、正式文書であることの証明を担うもの |
---|---|
電子サイン | 電子署名も電子サインの中に含まれ、電子署名よりも広義の意味で使われる |
電子証明書 | 指定認証局が発行する証明書であり、「この電子署名は実在する人物が署名した正式なものである」ということを証明する |
タイムスタンプ | 第三者機関「時刻認定局」によって署名した時間などの操作日時を記録することで、改ざん防止の役割を持つ |
ワークフロー機能 | システム上で承認・稟議ができる機能 |
保管機能 | 締結した契約書を保管すると共に、サーバー上で検索・管理ができる |
セキュリティ機能 | 暗号化・データのバックアップ・ID、パスワードによる認証など |
電子データとしての契約書は、電子署名・タイムスタンプ・電子証明書が揃ってより法的効力を発揮します。
また上記の他にもシステムによっては契約書のテンプレートを提供しているものや、他システムと連携できるものもあります。
電子契約システムのメリット6つを紹介
電子契約システムのメリットを大きく6つに分けて紹介していきます。
業務の効率化が図れる
まず、電子契約システムの導入にあたって最大のメリットは業務の効率化でしょう。
書面契約では契約書の印刷・製本・郵送など契約締結までにかかる業務が多くあります。
また、契約書の保管などが全てアナログで行われ、契約更新時期などを把握・管理する必要もありました。
電子契約では全てがインターネット上で行われ、契約締結までにかかる時間や管理の手間が大きく削減できます。
契約更新時期のアラート設定もできるため、電子契約システムの導入は業務の大幅な効率化に繋がります。
印紙税・経費削減に繋がる
電子契約システムを導入することで、印紙税の他に各種経費削減にも繋がります。
従来の書面契約では契約した金額が大きくなるほど高額になる印紙税が発生していました。
しかし、電子契約は国税庁の見解で印紙税のかかる「文書」に該当しないため、大幅な経費削減になるでしょう。
他にも契約書を印刷・製本する際のインク・コピー用紙代や印刷代、書類やり取りの際にかかる郵送代、また、書類の保管場所も必要なくなります。
書類のやり取りで発生する宛名書きや投函など人的コストも、電子契約ならインターネット上でファイルを送るだけですむのです。
コンプライアンス強化が可能
書面契約の方が信頼性が高いと思われる方もいるかもしれませんが、書面では改ざんが疑われた場合、証明が難しいという問題がありました。
しかし、電子契約であれば人や時間がログで残り、署名の本人証明も備わっているため、不正な変更があっても一目で把握できます。
さらに、ID・パスワードなどセキュリティ対策をした上で、閲覧権限を厳重に管理することで、紛失や漏洩のリスクが低くなります。
バックアップを取れば改ざんや紛失などトラブルが発生しても復旧が容易なため、コンプライアンス強化に繋がるでしょう。
契約締結のリードタイムを短縮できる
書面契約の場合は、契約書を印刷、製本、押印をした上で郵送する手間がかかります。
こちらでは手元に戻ってくるまでに7日以上、手続きに時間がかかると数週間かかる場合もあるでしょう。
電子契約では電子データを使用するため、メールなどで即時送信することができ、印刷・製本・押印・郵送の手間が一切なくなります。
また、相手方の進捗も確認できるため、作業の遅延や漏れも防止できます。
リモートワーク対応が容易になる
コロナ禍で急速に進行したリモートワークも、電子契約であれば容易に対応できます。
書面契約ではリモートワークを導入したにもかかわらず、押印や契約書の印刷のために出社する必要がありました。
これでは完全にリモートワークに切り替えることは不可能ですし、効果も半減してしまうという問題があります。
電子契約を導入することでオンライン上で契約の締結が可能になれば、今後のフレキシブルな働き方にも対応できるでしょう。
契約書管理・検索性が向上する
紙の書類では契約書の確認が必要な際に保管庫から該当する契約書を探す必要がありました。
その場合ファイリングにかかる手間や、書類のリストを作成し、種類別に保管する手間がかかります。
電子契約の場合、サーバー上にデータで保管するため、契約期間や種類、キーワードによって検索することが可能です。
インターネットに接続できる環境であれば閲覧可能なため、保管庫など場所を移動せずに検索することができます。
また、既存の書面契約もスキャンして電子化することで、より有効に活用できるでしょう。
電子契約システムのデメリットを5つを紹介
電子契約システムのデメリットを大きく5つに分けて紹介していきます。
電子契約に対応していない書類がある
契約にも様々な種類があり、一部電子契約に対応していないものもあります。
- 定期借地契約・定期建物賃貸借契約
- 宅地建物売買等媒介契約
- 訪問販売等特定商取引における交付書面
紙面での交付を義務付けられている書類は、現状双方が電子契約システムを導入したとしても契約を結ぶことはできません。
しかし、今後法改正に伴い、電子契約が認められる範囲は増えていくでしょう。
導入時に社内や取引先の理解が必要
電子契約システムの導入には社内や取引先の理解が必要です。
電子契約システムにメリットがあるとはいえ、導入によって業務フローや今までの契約管理形態が変わることに抵抗感がある人もいるでしょう。
また、自社で電子契約システム導入したとしても、契約においては取引先の同意がなければ電子契約を行えません。
もし取引先の同意が得られなかった場合は、紙面契約と電子契約の使い分けを検討する必要があります。
既存業務フローの変更を伴う
電子契約システムを導入することで、従来の業務フローを変更する必要があります。
しかし、既存の業務フローに対応してきた社員の中には、電子契約への不安や新しい業務フローへの抵抗感がある人もいるでしょう。
電子契約システムのメリットや紙面契約とは異なる電子契約の作業方法や手順を、きちんと社員に説明しなくてはいけません。
電子契約をスムーズに導入するために、あらかじめマニュアルやルールを制定し、説明会を行うなど導入後のイメージを共有することが大切です。
サイバー攻撃の可能性
電子契約はインターネット上にデータが保管されるため、サイバー攻撃を受ける可能性があります。
紙の書類を使用した際も起こりうることですが、情報漏洩のリスクをゼロにすることは難しいでしょう。
近年、電子契約システムのセキュリティ機能は向上し続けています。
電子契約システムを選ぶ際にセキュリティ機能がしっかりしているソフトを選ぶことが大切です。
電子帳簿保存法に基づいた運用
電子契約システムは電子帳簿保存法という法律に則って運用しなければいけません。
電子帳簿保存法では「保存場所」「保存期間」「真実性要件」「検索機能」などに関する細かいルールがあります。
取引先でもこれらの要件を満たさなくてはいけない他、システムの選定でも重要なポイントになってきます。
規定に基づいた税務調査が行われることもあるため、正しい方法でデータの管理を行いましょう。
電子契約システム導入時のポイント
電子契約システムを導入するにあたって、気を付けなくてはいけないポイントが4つあります。
契約業務の整理と課題の確認
導入にあたって、今までの契約や今後電子契約システムを導入するにあたって課題となる部分を確認する必要があります。
【確認事項の例】
- 年間の契約数や契約業務のコスト
- 取引先の電子契約システムを導入状況
- 導入後の運用方法
- 導入後の担当者や工数
現状整理を行い、導入に向けて期間や具体的なコストを想定する必要があります。
また、導入目的や導入後の懸念などを明確にすることで、電子契約システムをよりスムーズに導入できるでしょう。
導入目的に合った電子契約システムの比較検討をする
電子契約システムを比較検討する上で確認すべき点は多くあります。
【電子契約システム比較検討にあたって】
- 自社が取り扱う契約に対応しているか
- 導入費用
- セキュリティ・サポート機能
- ユーザー数や導入実績など
「書類をクラウド上で管理したい」「海外と電子取引を行いたい」など導入目的は企業によって異なります。
システムによって機能や使いやすさなども変わってくるため、自社の目的に合ったシステムを選ぶことが大切です。
社内起案と電子契約システムの運用ルールを制定する
電子契約システムを比較し、絞り込んだら社内起案を行いましょう。
社内関係者に電子契約システムのメリットを説明するとともに、懸念点や具体的な導入効果まで記載すると良いでしょう。
導入費用やスケジュールなど、担当者とあらかじめ確認しておくことも必要です。
業務フローの変更にあたって、どの範囲まで変更可能なのか、事前に判断することも必要になります。
導入の目途が立ったら、システムの担当者、電子署名の捺印者など誰でもわかるようにすることで運用がスムーズになるでしょう。
社内外へのアナウンスが必要
電子契約システムを導入したら、社内外に向けてアナウンスをします。
操作方法のレクチャーや相談者を設けることでより効果的に運用できるようになるでしょう。
使い方に慣れるまでは不便な部分もあるかもしれませんが、一定期間は必ず社員のフォローを行うことが大切です。
取引先にも必ず新しい電子契約システムを導入したことを伝えましょう。
おすすめの電子契約システム比較表
おすすめの電子契約システム5つの機能を以下の表にまとめました。
テンプレート表 | 連携機能 | ワークフロータスク管理 | 当事者型 | 立会人型 | 紙面契約の電子化 | 対応言語 | 無料トライアル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ドキュサイン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | 英語など43言語 | 〇(30日間) |
クラウドサイン | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | クラウドサインscanと連携で可能 | 英語 中国語 | 〇 |
ジンジャー(jinjer)サイン | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 要問合せ | 〇 |
電子印鑑GMOサイン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 英語 | 〇 |
freeeサイン | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 | 英語 ベトナム語 | 〇 |
電子契約システムのおすすめサービス5選
【海外シェアNo.1】ドキュサイン
ドキュサインは180カ国以上にサービスを提供するDocuSign lnc.が運営するサービスです。
導入実績は75万社におよび、海外との取引を想定する際におすすめする電子契約システムになります。
文書への署名のみが必要な場合は無料のプランを使用することも可能です。
- 支払いがドル計算
- 世界基準のセキュリティ機能とプライバシー
- 印影の捺印のように日本独自の機能もある
初期費用 | 無料 |
---|---|
参考料金プラン | Personal:月額10$(シングルユーザーのみ) Standard:1ユーザーあたり月額25$ Business Pro:1ユーザーあたり月額40$ 高度なソリューション:要問合せ |
HP | https://www.docusign.jp/ |
【国産システムのトップクラス】クラウドサイン
クラウドサインは弁護士ドットコム株式会社が運営する、国産電子契約システムの代表的なサービスです。
導入実績130万社以上を誇り、必要な機能が一通り揃っている高機能なシステムになっています。
オプションで紙の契約書をスキャンし、電子データとして保存することも可能です。
- テンプレートが10種類と豊富
- 契約締結から保管まで一元化できる
- 合意締結証明書が発行されるため安心
初期費用 | 無料 |
---|---|
参考料金プラン | Light:月額10,000円~ Corporate:月額28,000円~ Enterprise:要問合せ |
HP | https://www.cloudsign.jp/ |
【抜群のサポート体制】ジンジャー(jinjer)サイン
ジンジャーサインはjinjer株式会社が提供する電子契約システムです。
捺印稟議、契約締結、送付、進捗確認、フォルダ管理、書類検索など契約に関わる業務をフローの変更をすることなく実現したサービスです。
使いやすいUIとサポート体制で安心して利用できるシステムになっています。
- 一般財団法人日本データ通信教会認定のタイムスタンプを自動付与
- 保管・管理は電子帳簿保存法に対応している
- 導入後のマニュアル作成支援や勉強会を開催
初期費用 | 要問合せ |
---|---|
参考料金プラン | 初期費用 要問合せ |
HP | https://hcm-jinjer.com/sign/ |
【あらゆる電子印鑑に対応】電子印鑑GMOサイン
電子印鑑GMOサインは国内インターネット大手GMOグループのGMOグローバルサイン・ホールディングスクラウドが運営するサービスです。
「立会人型」と「当事者型」がセットになったプランが用意されているため、契約書の種類に応じて使い分けることができます。
また、電子契約書の管理や、電子契約書作成ソフトなど他ソフトとの連携も可能です。
- トップレベルのセキュリティ機能を誇る
- 手書きサイン機能や3社間契約など豊富な機能を備える
- 印鑑の使い分けが可能
初期費用 | 無料 |
---|---|
参考料金プラン | 契約印&実印プラン:月額8,800円~ 契約印タイプ送信料:1通110円~ 実印タイプ:1通330円~ |
HP | https://www.gmosign.com/price/ |
【料金で選ぶなら】freeeサイン(旧NINJA SIGN)
freeeサインは株式会社サイトビジットが運営する電子契約システムです。
契約数に関係なく月額料金が低額なため、維持費を抑えやすいのが最大のメリットになっています。
取引先がfreeeサインを導入していなくても署名ができるため、導入依頼をする必要もありません。
- 画面上で契約内容の修正ができる
- 契約書のワークフローを可視化できる
- 送信料0円
初期費用 | 無料 |
---|---|
参考料金プラン | スタータープラン:月額980円~(シングルユーザーのみ) Lightプラン:月額4,980円~ Light Plusプラン:月額19,800円~ Pro Pro Plusプラン:月額50,000円~ |
HP | https://www.ninja-sign.com/ |
電子契約システム導入の成功例
実際に電子契約システムの導入により、業務の効率化に繋がった事例を見てみましょう。
株式会社東急ハンズ
株式会社東急ハンズは東急ハンズ65店舗に加え、ライフスタイル提案型店舗「ハンズビー」や地域共創型店舗「プラグスマーケット」などを展開しています。
電子契約システム導入のきっかけはコロナ禍で出社率を下げるためでしたが、契約フローを電子化したいという思いは以前からあったそうです。
書面契約における課題として、社内決済が完了しているにもかかわらず総務部に書類が届かないことや、書類が行方不明になっていることなどでした。
現在では法律で書面が必須になっている契約以外は全て電子契約システムに切り替えているそうです。
以前は1週間ほど時間がかかっていた契約も、早いときでは当日か翌日に締結するため業務の効率化が図れています。
テレワーク中心の働き方に対応し、ペーパーレス化も促進できています。
[引用]cloudsign公式サイト 「契約締結が1週間から1日に。」-東急ハンズ導入事例より
アソビュー株式会社
アソビュー株式会社は全国の遊び・レジャー・体験を検索・予約できるオンライン・プラットフォーム「asoview!」を運営しています。
契約先は主にプロモーションや地域創生活動などを行う企業や行政との契約、「asoview!」に掲載するプラン紹介ページや機能開発業務の委託です。
事業の展開が早いベンチャー企業なため、スピードや効率を求めていたそうです。
アソビュー株式会社では電子契約システムを導入にあたり、法務担当者が直接システムを経由して契約書を送信することで一元管理をしています。
電子契約システム導入による効果は印紙代の削減だけではなく、効率化によって求めていたように業務スピードが上がりました。
[引用]cloudsign公式サイト 「業務効率化・費用節約に直結する電子契約」-アソビュー株式会社導入事例より株式会社サカイ引越センター
株式会社サカイ引越センターは引越専業会社として全国に180社以上の支社を展開し、全国を結ぶネットワークを活かしたサービスを提供しています。
長期の引越の際に行われる運送業務の外部委託を行う際に発生する利用運送契約書において電子契約システムを導入しました。
以前は各拠点において運送委託先の選定を行った後、所属長や本社で確認を行っていたため時間がかかっていたそうです。
しかし、電子契約システム導入によって社内の都合で必要だった再契約200件を電子契約で締結し、作業時間を大幅短縮できました。
[引用]GMOサイン公式サイト-株式会社サカイ引越センター導入事例よりメリット・デメリットを踏まえて電子契約システムの導入を検討しよう
電子契約システム導入のメリットは多く、業務の効率化やコスト削減は大きな効果が見込めるでしょう。
しかし、導入にあたって社内外の理解を得ることや、導入時の注意点を理解することは必要です。
また、自社に合った電子契約システムを選定することでより運用時のリスクを下げることができます。
リモートワークが普及し、フレキシブルな働き方が求められる今だからこそ電子契約システムの導入は増加しています。
ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。