経営のプロフェッショナルたちによる
「経営力を上げる」メディア ❘ Since2009
Web強化の経営者インタビュー

ゼイリブ株式会社 代表取締役 辻󠄀本 侑平

肉眼で見えない現場の問題点は、デジタル空間で可視化できる時代に

製品の品質改善やリードタイムの短縮を目指し、多くの製造業が現場改善を進めている。ただ、精密な動きが要求される現場においては、予測できない不具合やムダが起こりえる。そこで求められるのが、いかにそうした事象を事前に防ぐかだ。こうした課題について、デジタルコンテンツの開発を手がけるゼイリブ代表の辻󠄀本氏は、「起こりえる問題点をデジタル空間上で可視化すれば、製造業の改善活動は効率化できる」と指摘する。その具体的な方法について、同氏に聞いた。

モノが動く限り生じる、時間や意思伝達の「ロス」

―まずは、製造業における現場改善の推進状況を教えてください。

 限られた人手で、より良い品質の製品を効率よくつくる施策として、製造工程の自動化が多くの現場で進んでいます。製品や部材を保管する倉庫でも、RFID(※)を使った在庫管理の効率化や、無人搬送車でモノの搬送を自動化するといった施策が行われています。

 しかし、いくら自動化が進んでも、人手をまったく介さずに現場を回すことは難しいのが現状です。実際の現場には、機械や部材、製品といったさまざまなモノが存在します。そうしたモノが複雑に連動する現場を自動化すれば、予想もしなかった不具合やムダが生じてしまう可能性が十分あります。そのため、結局は人が介入して対処しなければならないのです。

 しかし、人が介入した際にも問題がつきまといます。

※RFID:radio frequency identifierの略。電波を用い、非接触でデータを読み書きする技術

―どんな問題ですか。

 たとえば、作業員は不具合に気づいてから現場を確認するため、当然のことながら事後の対応になります。くわえて、管理者が現場から報告を受ける際に、「説明が正確に伝わらない」「報告が遅れてしまう」といったコミュニケーションロスが起こることもあるでしょう。

 「それならば」と、事前の対応策として、製造工程の不具合やムダを探して改善を行うにしても、人間が目に見える範囲だけで気づくには限界があります。

 このように、「モノ」が精密に動くことが必要な製造業においては、不具合の原因や製造工程のムダを、「目視」だけにとどまらないチェックを行うことで、いかに早く見つけて対処できるかが課題となります。

―どのようにすれば解決できるのでしょう。

 実際の現実空間をデジタル空間に再現する、「デジタルツイン」の導入を私は推奨します。デジタルツインとは、文字通り「デジタルの双子」という意味。デジタルツインではまず、現場に設置されたセンサーが、モノの位置情報や加速度などのデータを収集します。このデータをもとに、現場環境をグラフィックとしてリアルタイムでデジタル空間に再現するのです。そのため、「機械や作業員の動線」や「接触事故が起こる危険度」といった、肉眼で見えない情報を「見える化」できます。さらに、過去に蓄積したデータをデジタルで分析することで、今後起こりうる事象の予測をグラフィックで表現することも可能。これにより、管理者は、現場に潜んだ見えない問題点を視覚的に把握でき、現場での対処を早められるのです。

 デジタルツインは、IoTとともに、ここ数年で広まっている概念で、大手メーカーを中心に実用に向けた研究開発が進んでいます。

デジタルによる描画で、危険予測も可能に

―デジタルツインの具体的な活用事例を聞かせてください。

 当社の顧客である、大手電機メーカーの例を紹介しましょう。そのメーカーは、倉庫内の無人フォークリフトにトラブルが起きた際の迅速な原因究明や、トラブルの再発防止が課題でした。当社は、フォークリフトの稼働状況を可視化する、3Dコンテンツによるデジタルツインを作成。さらにAIベンダーと協働し、危険予測機能の実装も提案しました。そうすれば、フォークリフトの進行先で、障害物と接触しそうな場合に、その車体を色つきで描画すれば、管理者はそれを見て未然に事故を防げます。過去に接触事故が多発している場所にヒートマップを描けば、通路の幅を広げるといった再発防止策に活かせるのです。

―実際にデジタルツインを導入するには、どうすればよいですか。

 デジタルツインの導入には、問題点を可視化するのに必要なデータの種類の見極めや、それに合ったセンサーの設置などが必要となります。そのため、まずは、現場課題のヒアリングから3Dコンテンツの描画まで、導入にかかる全工程を包括支援できる企業の支援を得ることですね。たとえば当社は、技術面では3Dコンテンツの制作を手がけていますが、センサーメーカーやAIベンダーと連携し、デジタルツイン導入の窓口として支援することができます。

 私はもともと、ゲーム業界で3Dコンテンツの制作に携わっていましたが、「デジタルツイン」という言葉が広まる前の2016年頃から3Dコンテンツのビジネスへの活用に着目。ゲーム向けの描画エンジンによって、スムーズで豊かに動く3Dコンテンツが、産業界の課題解決に活かせると考えたのです。以前に在籍したコンサルティング会社では、DXの研究部門で、大手企業のデジタルツイン導入に向けた実証実験を支援しました。

 こうして、早期からデジタルツインの研究開発を重ねてきた実績があるため、包括支援を行える当社の事業基盤を確立できたのです。

―製造現場の改善に課題を抱える経営者にアドバイスをお願いします。

 「第4次産業革命」の柱に位置づけられる「IoT」の概念はこの数年で大きく広まりました。しかし、実際にそれをどのように応用できるかがわからないという方は多いでしょう。デジタルツインは、IoTで得たデータを、現場で働く人に可視化して伝えるための重要なインターフェースとなります。労働人口が減少していくなか、市場で生き残っていくには、新たなテクノロジーを積極的に活用していくべきでしょう。

 当社は、デジタルツインの開発を通じ、日本における産業革命に貢献したいと考えています。ぜひ、気軽に相談してほしいですね。

辻󠄀本 侑平(つじもと ゆうへい)プロフィール

1985年生まれ。大阪府堺市出身。2008年、関西学院大学を卒業後、WEB広告制作会社、ゲーム開発会社勤務を経て、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社に入社。コンシューマー向けからエンタープライズ向けの3Dコンテンツの開発に携わる。2019年、ゼイリブ株式会社(設立当時:theylive合同会社)を設立し、代表取締役に就任。

ゼイリブ株式会社

設立 2020年10月(2019年10月にtheylive合同会社として創業)
資本金 100万円
従業員数 4名(2021年1月15日現在、(アルバイト、業務委託含む))
事業内容 デジタルコンテンツの開発
URL https://www.theylive.co.jp/
デジタルツインに関する
お問い合わせはコチラから
03-6450-8563 (平日9:00~18:00)
info@theylive.co.jp
肉眼で見えない現場の問題点は、デジタル空間で可視化できる時代に

この記事が気に入ったら
いいねをお願いします!

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

経営者通信

経営者通信
経営者に贈る、経営者の"経営力"を上げる情報誌

経営各分野における、プロフェッショナルたちのインタビューを掲載。 雑誌とWEBで、約60,000名の経営者へ経営のヒントとなる情報をお届けしております。

経営者通信メールマガジン

経営者通信注目の企業や、ビジネスニュースなど経営者のための情報をお知らせします。

ご登録はこちら

pagetop