―御社は8年にわたって、数多くのWebサイトを制作・運用してきたそうですね。Webサイトの活用において、企業が失敗しがちな点を教えてください。
梅本:もっとも重大な失敗は、「事業戦略とWeb戦略をリンクさせていない」というもの。これは、Webサイトが本来持っているポテンシャルに気づいていないことが原因です。経営者の多くは、Webサイトを単なる「会社案内」や「24時間稼働の営業スタッフ」程度に見ている。Webサイトには、事業戦略を左右するほどの可能性があるのに、それをフルに活かすことができていないのです。
―では、経営者は自社のWebサイトにどう取り組むべきですか。
梅本:まず第一に、「Webサイトは経営者のビジョンや経営戦略を実現するためのツールである」という認識を持つことです。たとえば、これまでBtoBの金属加工業を中心としてきた企業が、現在の製造設備向けだけでなく「将来的に自動車などの他業界や一般消費材向けの加工サービスを展開したい」というビジョンを持っていたとします。そのビジョンを実現させる過程において、Webサイトは「一般消費者はどのようなサービスを求めているか」を調べるテストマーケティングツールになり得ます。あるいは、その会社の技術力やサービスを一般消費者に知ってもらうための広報ツールとしても使えるのです。Webサイトがこうしたポテンシャルを持っていると分かれば、自ずと経営者のWebサイトへの向き合い方も変わりますよね。そして第二に、中長期の戦略的なWeb活用計画をしっかりと持つことです。たとえば「最初の1年目は、リサーチを目的としたSNSサイトを展開する。そして2年目以降に、リスクの低いサービスの受注をWebサイトで始める」など、具体的に中長期の計画を立てることが大切です。
Web制作の常識を覆す!SQIP流・戦略的Webサイトの考え方
―しかし、「Webサイトによる戦略の具現化」や「中長期計画のWeb活用の策定」を自社で行うのは難しくありませんか?
坂井:たしかに自社だけで行うのは厳しいでしょう。そこで、当社ではそういう企業向けにWeb戦略のサポートを行っています。具体的には、当社は「顧客経営戦略室」という部署を設け、6つのステップでお客さまの事業に寄り添ったWeb活用を提案しています。その6つのステップとは、①ヒアリング、②お客さまの強みの整理と見える化、③競合他社との比較、④現状のWebサイトの診断、⑤Web3ヵ年プランの策定、⑥毎月の定例会議です。特に力を入れているのが⑤と⑥のプロセス。ここでお客さまの事業を深く理解し、広報・マーケティング戦略の外部ブレーンとしての役割を果たせるように心がけています。
橋本:もちろん、すべてのお客さまが最初から戦略的に活用できているわけではありません。初期段階では予算に合わせて小さく始めて、次第に大きな活用へと展開する。そうした低リスクな始め方もできるのがWebサイトの特徴です。
梅本:これまで当社では過去8年間、300社以上のWebサイトを改善してきました。製造、食品、エレクトロニクスの分野など、主にBtoBビジネスを展開している企業のWeb戦略を得意としています。私たちプロから見れば、Webサイトが戦略的に活用できているかどうか、どのように改善すればよいかはすぐに分かります。Webサイトを戦略的に活用したい企業は、お気軽に声をかけてもらいたいですね。