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IT投資・コンサルティングの経営者インタビュー

LINE Growth Technology株式会社 取締役 片野 秀人 / 株式会社フィーリスト 代表取締役 吉野 俊文

環境の激変を前提にした協業体制が、IT開発の「新たな常識」になる

世の中を一変させた新型コロナウイルスの感染拡大。この影響で、多くの企業が生産活動の停滞に追い込まれているなか、この環境の激変においても従来の事業運営を実現している企業がある。IT大手のLINEだ。振り返れば、同社のコミュニケーションアプリ『LINE』が生まれたきっかけも、2011年の東日本大震災という未曾有の危機であった。非常事態においてもインフラとしての事業継続を使命とする同社において、その強靭な開発体制はいかにして構築されているのか。LINEの開発専門子会社、LINE Growth Technologyの片野氏と、その開発パートナーであるフィーリスト代表の吉野氏による対談から、これからの「ITビジネスのつくり方」を考える。

※下記は経営者通信54号(2020年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

変化に応じて開発途中で、要件定義を変えていく

―コロナショックのさなか、LINEの社内では従来と変わらぬ開発が進行していると聞きます。

片野:ええ、メンバーが在宅勤務に移行していますが、その際も特別な対応は必要ありませんでした。その理由は、「環境はつねに変わる」という前提が当社の事業にはあるからでしょう。もともと、コミュニケーションアプリとしての『LINE』が生まれたきっかけは、2011年の東日本大震災でした。「非常事態にこそ大切な人と連絡を取り合えるサービスが必要だ」という想いから生まれ、その後の普及につながりました。それだけに当社は、なにがあっても「止めてはいけないインフラ」として、「継続」することに強い使命感をもっています。

―そのLINEグループのなかで、LINE Growth Technologyの役割はなんですか。

片野:まさにこの「継続」を担う存在であり、生み出されたサービスを継続的に成長(Growth)させていくことにコミットしている組織です。新しいサービスが次々と生まれてくる昨今は、このGrowth段階の開発こそが、サービス成功のカギを握っていると言えます。

 われわれが担う開発で重要なポイントは、スピード感と柔軟性です。ユーザーの反応や競合の動向、市況の変化など、ローンチ後にも事業を取り巻く環境は日々変わり、それに応じて開発途中で要件定義を変えていくケースは少なくありません。そうした環境変化に強い開発が当社で実現できている理由のひとつは、社内のエンジニアと同じレベルでスピード感や柔軟性を発揮してくれる、フィーリストさんのような開発パートナーに恵まれているからでしょうね。

吉野:仕様書や設計書に縛られていては、LINEさんの開発パートナーは務まりませんね(笑)。LINEさんとの開発で特徴的なのは、大枠の方針は決まっているものの、細かな要素は固まっていない状態でスタートできるところ。開発を動かしながら要件定義を変えていきますので、その変更の意味や背景を理解し、ユーザー視点で開発を主導し、ときに改良を提案する能力がわれわれにも求められます。

片野:それができるかどうかは、開発品質の大きな差となって表れますね。

長期的な関係を考えるなら、パートナーにも成長を求める

―両社のあいだでは、どのような開発を進めているのですか。

片野:現在は、当社が運営するニュース系サービスの記事や広告に関する社内オぺレーションシステムを開発してもらっています。

吉野:事業サイドがどのようなニーズをもち、どういった課題を抱えているのか、そのためにはどのようなシステムであるべきか。たんにLINE社内でつくったシステムの保守ではなく、上流の要件定義の段階から入らせてもらっています。ですから、なかば自社のサービスだという認識で開発にあたっていますね。

―かなり入り込んでいるわけですね。

片野:開発会社のなかには、要件定義が細かく決まっていなければ動けないところも多いです。その場合、要件定義を決めるための工数やリソースは、全面的に当社から出さなければいけなくなる。

吉野:開発もどんどん遅れていきますね。当社には、進め方も考え方も異なるさまざまな顧客の開発案件を手がけてきた経験があり、決められたゴールに向かうのではなく、ゴール自体を一緒に決めていくような仕事も多く経験させてもらいました。そうした経験を通じて形成されたエンジニアたちの資質や主体性は、LINEさんとの仕事で活きているのでしょうね。最初から、厳しい条件や高いハードルを設定して、「できません」と言うのは簡単なことですが、それではエンジニアの成長の可能性を閉ざしてしまう。

片野:現場の成長は重要ですね。長期的な関係を考える当社としては、開発パートナーにも成長を求めたいですから。技術は経験を重ねれば向上します。ただし、決められたことをこなすだけならば、それは成長ではなく、慣れでしかない。一定の自由度と裁量をもって自分事として開発にあたることで、成長の機会は増えていく。そうしたパートナーがLINEの開発を支えてくれるのはとても頼もしい。

ニアショア拠点を活用し、柔軟性やスピード感を活かす

―数々の環境変化を乗り越えてきた立場から、コロナショックでIT開発はどのように変わるとみていますか。

片野:従来の労働集約型の開発モデルは大きく変革を迫られるでしょう。ここ数年、IT開発のプラットフォームは大きく進化し、少人数でもかなりのシステムが組める時代になっています。設計をきっちりと固めて大規模な開発陣を動かす従来のやり方では、変化に乗り遅れ、環境に淘汰されてしまう。そもそも、エンジニア不足が深刻化している東京で大規模な開発体制を組むのは難しく、今回のコロナショックをみてもリスクが大きい。環境変化を前提にした当社が、福岡市や札幌市に開発拠点を構えるのもそのためです。開発体制のムダをはぶき、外部リソース、特にニアショア拠点をうまく活用しながら、社内の柔軟性やスピード感をそのまま活かす。まさに、われわれがフィーリストさんとワンチームで行っている開発スタイルが、これからの時代の新しいIT開発のモデルになるかもしれませんね。

吉野:そうした新しい開発モデルには、「下請け」はもはや必要なくなるでしょう。一緒にサービスを考え、ときに顧客のアイデアを補う提案力と高いコミュニケーション能力をもった「パートナー」こそが求められるはずです。札幌市を拠点に、これまで多くの企業のニアショア開発を担ってきた実績を駆使し、これからもLINEさんとともに時代をけん引するサービス開発を手がけていきたいですね。




東京では決して実現できない、コストパフォーマンス

―システム開発をめぐり、いま経営者はどのような課題を抱えていますか。

 開発体制の見直しを考えている経営者は多いですね。すでに顕在化している、東京を中心とする大都市圏のエンジニア不足は、今後さらに深刻さを増していきます。そこにくわえて、今回のコロナショックです。多くの経営者が、東京一極集中のリスク回避や事業継続の備え、環境変化への柔軟な対応といった視点で、改めて強靭な開発体制を構築する必要性を実感しているようです。  これらの課題を解消する手段として、当社はニアショア開発の活用を強く推奨しています。

―その理由を教えてください。

 最大のメリットとして、東京では決して実現できないコストパフォーマンスの高い開発支援を享受できるからです。LINE株式会社さまをはじめ、多くの有力企業の開発パートナーを務め、新しい技術を実践してきた経験から、ユーザー目線をもったサービス開発を支援できる技術的知見やノウハウが社内に蓄積されています。こうした資産の担い手とすべく、いまや東京では難しくなった優秀なエンジニア人材の発掘・育成にも力を入れています。札幌に本社を構える当社ですが、東京、仙台、京都に拠点をもつほか、高知、福岡、沖縄などにも新たな拠点展開を積極的に進めるなど、いまも全国にニアショア開発網を拡張しています。地方の優秀な人材を背景にしたニアショア開発の活用は、東京一極集中のリスクを回避する手段としても、今後さらに注目を集めることになるはずです。

―開発体制の強化を考える経営者にメッセージをお願いします。

 当社は、「お客さまの満足」を最優先の価値に置き、お客さまの事業を成功させるための開発支援を追求してきました。ですから、われわれにとって技術それ自体は、お客さまのシステムやサービスを成功に導くためのひとつの手段にすぎません。お客さまの事業を成功に導いてこそ意味があると考えています。自社サービスを一緒に育て上げる開発パートナーとして、当社を活用していただきたいのです。自社のIT開発に新しい可能性を見出したい経営者のみなさんは、ぜひお問い合わせください。

吉野 俊文(きの としふみ)プロフィール

1981年、北海道生まれ。高校卒業後、公務員に。その後、飲食店勤務などを経たのち、IT企業でエンジニア経験などを積み、2015年に株式会社フィーリストを設立。代表取締役に就任。

片野 秀人(かたの ひでと)プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。2009年3月、株式会社ライブドア(現LINE株式会社)にサービスインフラ担当として入社、ライブドアブログや、LINEのファミリーサービスなどのサービス運営にかかわる。2013年より社内IT部門責任者を兼任。現在はLINE Growth Technology株式会社の取締役を務める。2019年1月、LINE株式会社の執行役員に就任。

株式会社フィーリスト

設立 2015年8月
資本金 1,000万円
売上高 6億5,000万円(2020年2月期)
従業員数 83名(2020年5月1日現在)
事業内容 ニアショア開発、受託開発、ホームページ制作、SES
URL https://feelist.co.jp/
お問い合わせ電話番号 011-252-9072(受付時間 平日9:00~18:00)
お問い合わせメールアドレス info@feelist.co.jp
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