社会人としての「しつけ」が、できていない新人が多い
―過去に抱えていた人材育成に関する悩みとは、どのようなものでしたか。
米川:誤解を恐れずに言うと、最近の新入社員を見て、本来家庭や学校で行うべき、社会人としての「しつけ」ができていないと感じていました。「会社で働く」「働いて成果を上げて給料をもらう」ということの意味から教えなければならないと感じることが多くなってきたのです。学校教育の影響もあるのでしょうが、最近の若者は努力の「プロセス」も大事にする傾向が強いですが、ともすればそれは自己満足に陥ってしまいかねず、「成果」はそれ以上に大事。「やりたいこと」や「自分らしさ」を大切にすることも必要ですが、一方でそれが社会に認められたり、価値を生み出したりしなければ、社会人として食べてはいけない。その厳しい現実を理解してもらうことが必要だと痛感してきたのです。
―そのような問題意識を抱くようになった背景を聞かせてください。
米川:当社は、グループ型派遣事業や障がい者雇用のコンサルティング事業を主力に、顧客の課題解決を支援する「社会課題解決企業」を標榜しています。ここで当社の社員には、リーダーとしてチームをまとめ、チームで成果を出す役割が求められます。仕事のなかには、障がい者や外国人の労働力を活用するような社会性の高い業務もあり、社員は業務にやりがいを感じやすい一方で、ビジネスとして仕事の成果・結果にこだわり、チームを導く姿勢が年々弱くなっている印象がありました。
これまでも当社では、リーダーとしてチームをまとめる能力を養うチームビルディング研修を行ってきました。しかし、それだけでは足りないと感じ、新しい研修を探していたときに出会ったのが、ディプレの「競争体感型」チームビルディング合宿研修でした。
ビジネスの本質とも言える「競争」が隅々まで貫かれた研修
―競争体感型の研修とは、どのようなものでしょう。
中西:研修当日に組成されたチームで、さまざまな課題に挑戦してもらい、ほかのチームとの競争を通じて、優劣という明確なカタチでチームや自分自身の成果を可視化することがコンセプトとなっています。まさにビジネスの本質とも言える「競争」が、研修の隅々まで貫かれているのです。メンバーの多様性を活かし、競争を通じて強いチームをつくることが、参加者の目標となり、この研修の成果になるのです。そのためには、参加者には自分自身やチームメンバーと本気で向き合い、何事にも全身全霊でのぞむ姿勢を強く求めます。
米川:研修には50名を超える全新卒社員のほか、数名の幹部候補生にも参加してもらっています。この3泊4日の研修には、ビジネスの基本スキルやチームビルディングのほか、ウォークラリーのような肉体を使う課題など、正直厳しい課題もあり、参加者が自分基準ではなく、他者が求める水準にまで自分を引き上げることを繰り返し学ぶように設計されています。課題のハードルがあがり、競争が厳しくなっていくなかで、チームであきらめずに挑み、課題をクリアしていった成功体験に、参加者は涙を流しながら感動するのです。その姿には、こちらも心を打たれますね。
―競争体感型研修には、どのような成果を実感していますか。
米川:参加者を見ると、結果や数字に対する意識は間違いなく高まりました。実際、研修参加者のひとりが先日、グループ会社の執行役員に抜擢されたのは、うれしい成果ですね。研修ではチームを勝たせるためのアプローチや、チームのボトルネックをどう解消していくかを学びます。その経験は、業務の現場で活かされており、仲間の成長を信じて厳しく指摘したり、愛情をもって伝えるべきことをしっかりと伝えたりできる自律的なリーダーが増え、会社のカルチャーを形づくってくれています。そうした人材が「失敗を恐れずチャレンジする」エスプールの価値観を受け継いでくれることを願っています。
中西:人材がどう育つかは、そのまま会社のカルチャーに直結します。エスプールのような成長企業は、特にそう言えます。カルチャーはお金では買えませんから、そこに一緒に携われるのは、大変うれしいことだと思っています。