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オフィスの経営者インタビュー

株式会社MJE 代表取締役・CEO 大知 昌幸

多様なキャリア形成を後押しできる会社が社員から選ばれる時代に

「働き方改革」の実践が叫ばれる昨今、社員の生産性を高める一環として、好立地のシェアオフィスを活用する企業が増えている。その多くは、移動時間の短縮や業務効率の向上に活用の主眼があるとされる。これに対し、「施設の選び方次第で、シェアオフィス活用の効果は次元の違うものになる」と語るのは、大阪・東京でシェアオフィスを展開するMJEの代表、大知氏だ。同氏に、その真意を聞いた。

※下記は経営者通信50号(2019年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

大手企業でも利用が進む昨今のシェアオフィス事情

―「働き方改革」に取り組む企業がシェアオフィスを活用する例が増えているようですね。

 ええ。従来はシェアオフィスといえば、起業家やフリーランスの方々が利用するイメージでしたが、最近では大手企業による利用も増えています。業務中の社員の移動時間をできるだけ削減し、業務負荷の低減や生産性の改善を図る目的で、好立地のシェアオフィスを活用するケースが多いですね。その背景には、シェアリングエコノミーの台頭が生み出す「所有から活用へ」という昨今の流れがあります。サテライトオフィスや支店といった働く環境さえも、「必要な場面でのみ活用する方が資産効率がいい」という理解が、大手企業でも浸透している結果だと思います。

―企業はシェアオフィスにどのようなものを求めているのですか。

 大きく4つの要素があります。それは、「立地」「コスト」「空間」「機会」です。立地とコストについては、説明は不要でしょう。空間とは、使う人や用途、それぞれのニーズに応じた空間設計がなされているかどうか。単に海外のサービスをそのまま導入するだけでは、日本のビジネス環境や文化に適応することは難しい。

 それに対して、当社が展開するシェアスペース『billage』は、OA機器をはじめとするオフィスソリューションを長年手がけることでオフィスを知り尽くした当社が、あらゆる利用シーンを想定して空間設計を施しています。

―4つ目の「機会」とは、どのような意味でしょう。

 シェアオフィスに集うヒトやモノ、情報との出会いを、新たなビジネスやイノベーションの機会につなげたいというニーズが高まっています。どれだけ多くの機会を創出できるかは、シェアオフィスの活用効果を判断する際の重要な指標。『billage』がもっとも力をいれているのも、ここなんです。

キャリア形成にとって重要な「計画的偶発性」

―『billage』が機会の創出に力を入れている理由はなんですか。

 もともと、当社が『billage』を開業した理由に、欧米の半分にとどまる日本の低い起業率に対する問題意識がありました。くわえて、日本には「起業してから10年以内に94%が廃業する」といわれる経営環境の厳しさもある。この環境を改善するにはなにが必要か。成功した多くの経営者が語るのが、「出会い」なんです。実際、私自身も設立当初の事業計画がそのまま実現したケースなどほとんどなく、偶然にも思えるヒトや機会との出会いに事業が救われてきました。これは、スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱するキャリア形成論そのものなんです。

―計画的偶発性理論(※)ですね。

 そうです。そこで、シェアスペース事業を通じて社会課題を解決しようと考え、「機会の創出」を『billage』の基本コンセプトに据えたわけです。同時に、キャリア形成にとって「計画的偶発性」が重要であるならば、それは起業家に限らず、大手企業の社員がキャリア形成を図るうえでも、「機会の創出」は有益であるはずと考えました。そこで、「働き方改革」に力を入れる大手企業に対しても、積極的に「機会の創出」によるキャリア形成の効果を伝えているのです。

※計画的偶発性理論:個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定されるとし、その偶然を計画的に設計して、自分のキャリアを形成していこうとする考え方

多彩な人材との偶発的な出会いが生まれる場

―具体的に、どのような機会を提供しているのですか。

 たとえば、大阪にある『billageOSAKA』では、ビジネスやテクノロジーの勉強会や、起業家によるピッチコンテスト、入居者同士の交流会など、年間100回ほどのペースでイベントを開催しています。「企業やサービスの成長につながること」と、「オープンであること」を開催条件に、一定の集客を見込めるイベントであれば、だれにでも無料で施設を開放しています。多岐にわたる業界のビジネスパーソンや起業家、学生など属性の異なる人材が年間延べ5000人以上集いますが、これほどの規模で起業支援のエコシステムが形成されている例は大阪ではほかにありません。随一のインキュベーション・ハブとして金融機関から注目を集め、市からは「ベンチャー育成のためのイノベーション拠点」の認定も受けています。

「働き方改革」とはすなわち「やりがい改革」

―最後に、「働き方改革」に取り組む経営者にメッセージをお願いします。

 さまざまと取り沙汰されている「働き方改革」ですが、その本質を理解するためのキーワードは、「価値観の多様化」だと思います。

 昨今の情報革命によって社会構造が大きく変わり、企業の主権は雇用主から社員へと移っていると私は考えます。旧態依然とした会社の論理だけでは経営は立ち行かず、社員から選ばれる会社にならなければ、存続もままならない現実を理解すべきです。

 では、どうすれば社員に選ばれる会社になれるか。それには、働く環境の自由度を上げ、価値観の多様化に対応していきながら、どれだけ社員に「やりがい」を提供できるかが、もっとも重要な指標となるでしょう。

 換言すれば、社員に多様なキャリア形成の機会を提供できるか。その意味では、「働き方改革」とは、「やりがい改革」だといっていい。経営者がこの変化を理解し、社員に支持される会社をつくりあげることが、「働き方改革」の本質なのではないでしょうか。

―『billage』を利用した経緯を教えてください。

 東京本社の移転で、都心部のお客さまを訪問する際の利便性が悪化したことがきっかけでした。移動が業務時間の多くを占めるなかで、営業やサポートに従事する社員たちの負担を減らしたかった。それ以前は自社で数ヵ所のサテライトオフィスを設けていましたが、契約の手間や初期導入コストが高いうえ、昨今は不動産市場が活況で、かならずしも満足のいく立地条件を得られない。ほかの大手企業と同様に当社も「所有から活用へ」のシフトを考えていた折、『billage』を知りました。

―どのような活用効果を実感していますか。

 これまで移動にとられていた時間を有効に活用できるようになり、社員たちの生産性が格段に向上しています。「働き方改革」とは、言葉を変えれば「生産性改革」。その意味では当社の「働き方改革」の実践につながっていますね。

 なによりも、ドキュメントビジネスを通じて「オフィスから日本を元気にする」というビジョンを掲げるMJEさんとともに、当社の社員も、「こんな便利な働き方がある」という経験をし、ビジネスの提案力が高まるとするならば、それがいちばんの効果ではないでしょうか。いま、多くの企業が悩んでいる「自由な働き方の導入」にいち早く取り組み、社員の満足度や生産性を引き上げている事実は、採用面でのアピールにもなると期待しています。

―『billage』をどのように活用しているのでしょう。

 おもに定期的に開催するメンバー研修や勉強会の会場として利用しています。SIerである当社の場合、お客さま先で仕事をするメンバーが多いため、「理念の共有」や「帰属意識」の醸成を重視しています。ですから、メンバーが集う大小のイベントは特に大切です。方々で仕事をするメンバーたちが一堂に集まれる立地のよさはもとより、『billage』のような洗練された空間は、イベントが目的とする効果を高めるうえで重要な要素だと実感しています。

―このサービスを今後、事業にどう活かしていきたいですか。

 いつもと違う場所で、新しいモノや人に触れることで、メンバーたちの感性が豊かになってくれることを期待しています。それが、エンジニアとしての高い企画力やアイデアにつながってくれることを願っています。

 また、『billage』では、起業家を輩出するためのイベントが数多く開催されています。新しいテクノロジーやビジネスを学ぶ機会も多い。そうした場から多くの刺激を受けて、社外の人々とも交流するなかで、メンバーが視野を広げてくれることも期待しています。

 いずれはそこで発表できるような若手メンバーが当社でも育ってほしいですね。開かれた世界に触れたうえで、結果として「自分の会社はいいな」と思ってもらえるようにする。それが、私の責務だと思っています。

大知 昌幸(おおち まさゆき)プロフィール

1978年、奈良県生まれ。2002年、大学を卒業後、株式会社光通信に入社。ヤフーグループへの出向などを経て、2006年に株式会社グッドライフOS(現:株式会社MJE)を設立、代表取締役・CEOに就任。現在に至る。

千原 資(ちはら たすく)プロフィール

1960年、東京都生まれ。1985年、早稲田大学商学部を卒業後、京セラ株式会社に入社。京セラミタ株式会社の海外営業を経て、京セラ ドキュメントソリューションズジャパン株式会社に入社。2018年より現職。

株式会社MJE

設立2006年12月
資本金7,900万円(資本準備金1,200万円)
従業員数230名(2018年4月現在:グループ会社含む)
事業内容オフィスソリューション事業、ストアソリューション事業、シェアスペース事業、Web制作事業
URLhttps://mjeinc.co.jp/
お問い合わせメールアドレスinfo@billage.space.

京セラドキュメントソリューションズジャパン株式会社

設立2000年10月
資本金11億円
従業員数838名(2018年4月1日現在)
事業内容モノクロおよびカラーのプリンターと複合機・広幅複合機・複写機、およびサプライ製品などの販売・メンテナンス・レンタルなど
URLhttps://www.kyoceradocumentsolutions.co.jp/company/japan/

株式会社システナ

設立1983年3月
資本金15億1,375万円(2018年10月1日現在)
売上高543億2,000万円(2018年3月期:連結)
従業員数3,238名(2018年10 月1日現在:連結)
事業内容ソリューションデザイン事業、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業、ソリューション営業、クラウド事業
URLhttps://www.systena.co.jp/

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