女性の「定着率」向上を目指すには
―業績が回復したために、大企業が募集人数を大幅に増やしました。中小・ベンチャー企業の採用に与える影響を教えてください。
「売り手市場」のために、中小・ベンチャー企業への応募が減少。大手に対抗できず、厳しい採用活動を強いられています。ほしい学生が集まらず、さらにはせっかく入社してもすぐに辞めてしまうという問題が発生しています。
―廣岡さんは女性の就職・採用を支援していますが、女子学生の採用でも同様の問題は発生していますか。
はい。採用に関する相談と人材定着に関する相談が増えています。採用に関しては「学生が集まってこない問題」と「学生は集まってくるものの、内定を出しても入社しない問題」の原因は分けて考えるべきです。
「学生が集まってこない」のは、企業のブランディングの方向性が間違っていたり、従来の方法を変えず、「今」に合った学生を集める方法に合わせていないことが原因です。
「学生は集まるものの入社しない」のは、ズバリ社内になんらかの問題があります。制度では女性の活用をうたいつつ、実際は活用されていないなどです。
また、「女性の定着率を高めたい」という相談もよく受けます。実際、女性の退職率は男性を上回るペースで高まっています。平成24年上半期と平成25年上半期の比較では、男性の離職率は3%増でしたが、女性は15.2%も増えています。
―よい解決策はありますか。
まず「学生を集める」ためには、企業の求める人物像をヒアリングして徹底的に掘り下げることです。当社は女子大生の就活支援プロジェクト「就活美人」を運営しており、そこからそれぞれの企業に合った基準を満たす母集団を、1年の間に形成いたします。
「入社させる」ためには、当社の人事のプロが専属担当者としてさまざまな課題解決のサポートをして、採用から入社までをフォローアップ。問題を解決する仕組みを構築していきます。
―定着率の問題解決はどうでしょう。
まずは「学生の質」を向上させることです。そうすれば離職率も低下すると仰る企業の方々はたくさんいらっしゃいます。学生の質を高めることは非常に重要で、仕事に対してだけでなくさまざまなことに関心をもち、積極的に取り組む意識の高い学生は、これまでのケースを見てもすぐに辞めてはおりません。
とはいえ、「学生の質」だけが問題ではなく、当社では問題は学生と企業の双方にあると考えております。
つまり、面接対策をいくらしても、学生の表面的な姿勢はすぐに見破られるのと同じように、企業にも女性を活用する意識や制度の運用がなければ、入社後すぐに実状を見破られてしまいます。女性は自分に合わない職場には執着しません。やはり長く働いてもらうには、人材側の努力も必須ですが、意識改革、制度改革、風土改革に取り組んでいく企業側の努力も必要になります。そのために当社は双方の「育成」のお手伝いを行っております。
女子学生に自信を与える 「就活美人」プロジェクト
―「就活美人」について具体的に教えてください。
意識の高い女子学生の就活を応援するプロジェクトが「就活美人」です。女子学生のなかには、自分の魅力に気づかずに自信がないという人がたくさんいます。その自信のなさはキャリア選択でも一歩踏み出す際の障壁となります。もともと意識の高い彼女らは自信さえもてば、どんどん輝いていきます。そこで当社では女子学生を対象にした自己成長につながるセミナーを開催し、強固な女子学生ネットワークを築いてきました。さらに今年度は「就活美人大学」を開校しました。
「就活美人大学」では当社講師に加え、第一線で活躍する業界のプロが「社会人の心構え」などを講義。女子学生のキャリア志向が形成され、自主性も強まるので多くの受講者が就職に成功しています。また、就職前の早期育成が入社後の定着と活躍へとつながります。「就活美人大学」において学生は無料でセミナーに参加でき、企業にとっては求める人材発掘の場となっています。
―今後のビジョンを教えてください。
当社は生涯にわたってキャリアを構築していく「女性」を育成し、企業の力となるべく輩出していくことで企業の成長を応援し、ひいては社会の発展に貢献していきます。