「過剰支給」や「不正支給」はシステム化によって防げる
―企業では通勤費管理をめぐり、どのような問題を抱えていますか。
いまだに手作業で通勤費管理を行っている企業が多いことです。そのため、コストや作業時間のムダがきわめて多いのが現状です。具体的には、社員の通勤経路が適切かどうかを正確に調べられていない企業が多いです。それにより、利用可能な路線や駅がほかにあるにもかかわらず、「経済的かつ合理的な通勤経路」という規定に反した「過剰支給」と「不正支給」が一部で横行しています。一般的な企業では、その割合は当社調べによるとそれぞれ14%、8%となっています。経路を見直し、これらを是正するだけで、450万円、全通勤費の約5%を削減できるという試算があります。
―約5%の削減効果とは大きいですね。
ええ。また、転勤や異動が多い企業の場合、社員の通勤経路が変更になるたびに、新しい通勤費や適正経路を算出し直し、旧通勤費との差額を調整する作業がひんぱんに生じます。これを異動人数分、いちどに対応しなければなりません。もしも、交通機関の料金改定や消費税改正が行われれば、通勤費修正の対象は全社員となります。これらの膨大な作業が一時期に集中するわけです。人事担当者が一つひとつ手作業で対応し、情報を紙で管理していれば、どうなるか。計算ミスが誘発されるのは容易に想像できます。ましてや、社員一人ひとりの通勤経路が適正かをチェックする余裕などありません。
―どうすれば問題を解決できますか。
まずは、通勤費管理をシステム化することが先決です。たとえば、当社が開発した通勤費管理システム「らくらく定期.net」では、社員の自宅住所と勤務先住所を打ち込むだけで、利用可能な駅と通勤経路をすべて自動で収集し、最短経路や最安経路を算出してくれます。また、経路変更の際には、旧定期券の解約計算から新定期券の適正チェック、さらには課税額の計算なども自動で行ってくれます。
システムを導入することで、さらに大きなコスト削減効果も期待できます。それは、6ヵ月定期の導入による大幅な通勤費の抑制です。異動や転勤が多い企業では、通勤経路の変更に伴う管理業務があまりに煩雑なため、6ヵ月定期の導入に踏み切れないケースが多い。これを躊躇なく導入できるのです。
人事・総務部門の業務見直しで利益を生み出すことはできる
―どれほどの効果が期待できますか。
通勤費の平均年間支給額は一人当たり18万円といわれています。これを1ヵ月定期券から6ヵ月定期券へと移
行するだけで、年間2万7000円を削減できます。社員500人の企業で試算すると、じつに年間1350万円の削減効果があります。さらに、先ほどの経路見直し効果による約5%の削減効果も合わせると、なんと削減効果は1800万円にものぼります。これらの削減コストはそのまま利益に計上できるのです。しかも毎年です。
それだけではなく、システム化がもたらす業務効率化も忘れてはいけません。勤務先変更に伴う通勤費管理の作業時間は、システムの導入で1件あたり30分も短縮することが期待できます(下図参照)。かりに、こうした勤務先変更が月に30件発生している場合、年間180時間の業務時間が削減できる計算です。「働き方改革」が提唱される昨今、人事担当者の業務効率向上も大きな導入メリットになるでしょう。
―経営コストの削減に関心がある経営者にアドバイスをお願いします。
このシステムは2010年の発売以来、すでに600社で導入され、各社に大きなコスト削減効果をもたらしています。人事・総務部門でも、業務の見直しによって大きな利益を生み出すことは可能です。当社では、通勤費管理にくわえ、旅費経費や申請承認といった管理業務を自動化するシステムも用意。これらを統合ソリューションとしても提供しており、幅広く企業の管理本部の業務効率化を支援しています。経営コストの削減に関心のある経営者はぜひ、当社にお問い合わせください。