株式会社丸の内アドバイザーズ 代表取締役/公認会計士 岩松 琢也

売上好調な会社に潜むリスクを 「専門家チーム」の活用で回避せよ

株式会社丸の内アドバイザーズ 代表取締役/公認会計士 岩松 琢也

次々に取引先を開拓し、急速に売上を伸ばしている―。経営者にとっては願ってもない状況だ。しかし、丸の内アドバイザーズ・代表の岩松氏は「そんなときこそ、中小・ベンチャー企業は早急に組織を見直す必要がある」と警鐘を鳴らす。専門の税務だけに限らず、さまざまな経営サポートを行っている同氏に、売上好調時の課題を聞いた。

※下記は経営者通信34号(2015年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

売上だけにとらわれて見落とされるトラブル

―なぜ、売上が伸びているときに組織の見直しをする必要があるのですか。

 売上だけに意識が向くあまり、会社全体のバランスがとれなくなってしまうからです。とくに資金収支。経営者は、全体の売上数字を把握しているのですが、えてして資金収支がおろそかになってしまう。業績が横ばいであればそんなこともないでしょうが、取引規模が急に増えると、資金がひっ迫することがあります。  たとえば、原価60円の商品を100円で売っていたとする。ひとつ売れば40円の利益です。しかし、入金が3ヵ月先で先に仕入れ代を払っていると、その時点での会社の収支はマイナス。これが拡大すると、たちまち資金繰りに窮することに。最悪の場合、黒字倒産にもつながりかねません。

―ほかにどんな問題が起こりえるでしょう。

 さまざまな社内整備のほころびが露呈していく可能性があります。忙しくて売ることだけに意識が向いていると、細かい取り決めも「このままでいいか」と考えがち。それが後になってトラブルに発展する。  取引先との契約条件があいまいな場合、問題が起こっても「そんな話ありましたっけ」と顧客がいえば泣き寝入りになる。また、就業規則や評価制度が適切でないと「売上が上がっているのに、正当に評価されない」と従業員が辞める危険性が高まります。  そのほか、書類や帳簿の不備など経営者が知らない間に法律に違反していることが露呈するケースもあります。いずれにせよ、経営者は対応に多大な時間と労力を払うことになるでしょう。

社内整備から資産運用まで さまざまな経営課題に対応

―トラブルを未然に防ぐにはどうすればいいでしょうか。

 まずは月次決算を行い、少なくとも月単位で財務や資金の状況を把握する。そして、ただちに社内の制度や組織体制を見直し、速やかに改善を図ることですね。ただ、忙しくてなかなか取り組めない場合は、専門家のサポートを受けることをオススメします。  その場合、月次決算でいえば、単純に記帳代行を依頼しても根本の解決にはなりません。試算表をもとに経営改善策のアドバイスを行う専門家を選ぶべき。くわえて、経営課題は税務、財務、労務、法務と多岐にわたります。各分野の専門家が集まったチームなら、トータルサポートが受けられるうえに効率的です。  当社の場合、各専門家が綿密に連絡をとりあい、情報を共有しながら対策を提案します。そのため、こまやかな経営支援が可能。さらに、社内整備から資産運用まで幅広く相談に応じます。

―しかし、さまざまな専門家の支援を受けるとコスト面が心配です。

 コストではなく、成長するための投資と考えるべきです。確かにひとりの専門家に依頼するより費用はかかります。しかし、会社が急激に成長していくときには、どこかでひずみが出てきます。  突然、退職した従業員から残業代の支払い請求がきたり、税務署や労働基準監督署、年金事務所などから指摘を受けて早急に対応を迫られたり。そうすると、会社のダメージや経営者の苦労は大きい。そうならないためのリスクヘッジなのです。

―社内整備の改善が後回しになりがちな経営者にアドバイスをお願いします。

 できるだけ早い段階で、改善に着手してください。当社でも「相談が早ければ、損害を回避できたのに」というケースはひんぱんにあります。対応の遅れが会社の不利益に直結するのです。  経営者の方は攻めには強いですが、バックオフィスに関しては目が行き届いていないことが多い。ただ、限られた時間を本業に集中したいのであれば、専門家の知恵を借りるべき。当社としても、そのサポートは惜しみません。

岩松 琢也(いわまつ たくや)プロフィール

1970年、千葉県生まれ。公認会計士、税理士。1993年に一橋大学を卒業後、監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)に入所し、公開支援業務、法定監査などの経験を積む。1994年より、石津・野口会計事務所および千葉第一監査法人にて、法人・個人の税務に携わる。2001年、株式会社ストライクの設立に参画し、中小・中堅企業のM&A仲介業務や企業価値算定、デューデリジェンス業務などを担当。2009年、株式会社東京MAパートナーズ(現:株式会社丸の内アドバイザーズ)を立ち上げ、代表取締役に就任。2010年に税理士法人丸の内アドバイザーズを設立。

株式会社丸の内アドバイザーズ 

設立 2009年7月
資本金 1,000万円
事業内容 各専門家との連携による税務相談、企業評価、事業承継(相続・M&A)、金融・保険サービス、不動産コンサルティング(鑑定)、登記、人事・労務コンサルティングなど
URL http://www.m-adv.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-6721-5157(受付時間 平日9:30~18:00)
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