―この不況下でも御社は着実な成長を続けています。その理由を教えてください。
子安:当社の成長の理由は"人づくり"にあります。当社は2001年から整体師やセラピストなどの養成スクールを運営し、人材育成に全力を注いできました。その人材育成の中で「コミュニケーション」と「ホスピタリティ」を最も大切にしています。整体の技術だけでなく、お客さまへの思いやりと真心を徹底して教えるわけです。整体はお客さまに対して1対1で行う究極のサービス業。お客さまの気持ちに配慮した細やかな心配りが大切なんです。このような"人づくり"を徹底した結果、当社は高いサービスレベルを保ったまま、店舗数を拡大することができました。実際、当社のサービスのリピート率は業界トップクラスを誇ります。
―御社は法人向けに新サービスを始めたそうですね。
子安:はい。法人向けに「ココカラ元気」という整体師の出張サービスを提供しています。経験豊かな整体師が企業を直接ご訪問し、施術を行います。価格は一人当たり20分3000円。入会費などは一切いただきません。施術台など、必要な器具は当社が用意します。お客さまに用意してもらうのは施術スペースのみです。
―具体的なサービス内容を教えてください。
子安:大きく分けて、1つあります。1つ目は整体サービス。まず整体師がお客さま一人ひとりの健康状態についてヒアリングを行います。そしてカラダのバランスをチェックした後、お客さまの症状に合わせた施術を行います。2つ目は生活改善のアドバイス。日頃の生活習慣についてヒアリングを行った後、ご自身で日常的に実践できるケアプランを提案します。ケアプランの内容は、休み時間にできる簡単な運動や食生活の改善などです。3つ目は情報のフィードバック。経営者や人事担当者に従業員さまの健康危険度をフィードバックします。従業員さまの心身の健康状態をお伝えし、日々のマネジメントに活かしてもらうわけです。
なぜ新たに法人向けサービスをスタートさせたのか
―御社は整体サロンの運営を中心に、目覚ましい成長を続けています。既存事業が順調に拡大しているにも関わらず、なぜ新たに法人向けサービスをスタートさせたのですか?
子安:当社の整体サービスを活かして、企業を元気にしたいと思ったからです。最近、仕事のストレスが原因で、うつ病や自律神経失調症を患う人が増えています。厚生労働省の発表によると、ビジネスマンの60%が自分の仕事や職業生活について、強い不安やストレスを感じているそうです。しかし、忙しいビジネスマンは心身をケアする時間がありません。病気ではなくても「なんとなくダルい」、「寝ても疲れがとれない」と感じている人は多いのではないでしょうか。この問題はマグマのように潜在しています。もし、この状態を企業が放置しておくと、業務効率が悪化するだけでなく、優秀な人材を失うことさえあります。最悪の場合、従業員から企業の管理責任を追及され、訴訟に発展するケースもある。従業員が病気になってからでは遅いんです。私はこの問題解決に当社の技術が活かせると考えました。そして2009年9月、満を持して法人向けに整体師の出張サービスをスタートさせたわけです。
―整体は身体のケアだけでなく、心のケアにも役立つのでしょうか?
子安:はい。ココロとカラダはつながっています。たとえば「軽度のうつ」の場合、身体的には「首の骨(第一頸椎)の歪み」という症状が表れていることが多い。この歪みを施術によって改善すると、うつ症状(自律神経失調症)も改善されるんです。最初はお客さまも半信半疑ですが、実際に施術を体験すると効果を実感していただけますね。
―最後に、御社の今後のビジョンを聞かせてください。
子安:整体サービスを多くの企業に普及させ、ニッポンを元気にしたいですね。従業員の健康管理が徹底されれば、企業の生産性向上にもつながります。そして将来は、産業医やカウンセラーのように専任の整体師が各企業のオフィスに置かれるようにしたいと考えています。