―国内市場の成長が見込めない今、日本企業の中国進出が盛んです。ただ、進出してうまくいっている企業もあれば、そうでない企業もあります。その差はどこにあるのでしょうか。
西川:中国の人口は公称13億人。戸籍のない人も含めれば、15億人とも言われています。単純計算をすれば、日本の10倍以上の需要が見込めるわけです。実際、都市部の生活水準はどんどん上がっており、中流層の購買力も高まっています。こういった状況を踏まえ、日本の大手企業の多くはすでに中国に進出していますが、すべての企業が成功しているわけではありません。同業種で同規模の会社でも明暗が分かれているのです。ビジネスは複雑ですから、ひとつの要因に単純化はできませんが、欠けている可能性が高いものはあります。それは信頼できる人的ネットワークです。
―人的ネットワークの有無がもたらす一番の違いはなんですか。
森:ビジネスに必要かつ有益な情報を入手・交換できるかどうかです。経営者が自国以外で適切な意思決定をするうえで、情報の重要性は言うまでもありません。事業推進のスピードから事業そのものの成否にまで、大きく影響をおよぼします。中国では、重要な情報、必要な権限が特定の人に集中していることが多く、人的ネットワークなしでそこにたどり着くことは非常に難しいと思います。
―具体的には人的ネットワークをどのように活かせばよいのでしょうか。
森:1つめは、適切な提携先候補をいくつかリストアップしてもらい、その候補先とのアライアンス交渉をサポートしてもらうことです。私が代表を務めるHenri & M.C. International Development(以下、HMC)は、中国で有力なポジションにある人たちとの特別なネットワークを築いており、日本企業と現地パートナーとのマッチングにおいて、豊富な実績を持っています。さらに、私たちから、提携・合併・合弁・外注など、適切な協力形態のご提案をさせていただくことも可能です。2つめは、新たなビジネスチャンスに関わる情報を提供してもらうことです。発展著しい中国においては、日々様々なビジネスチャンスが生まれています。そのような情報をいち早く入手することで、既存ビジネスの枠にとらわれない大きな成功を得られる可能性が出てきます。そして3つめが、許認可などの問題をクリアする支援を依頼することです。海外でビジネスを展開するためには、数多くの許認可が必要になることがあります。こうした問題をどのような形でクリアしていくかが、ビジネスの成功を大きく左右すると思います。ここでも、当社が持つ人的ネットワークを活かすことができます。
西川:当社は北京にオフィスを構え、中国の主要都市に独自のネットワークを構築しています。加えて副社長の森が代表を務めるHMCの強力なネットワークを活用することで、さまざまなニーズを持つ日本企業の中国ビジネス推進をサポートできます。
―ネットワークの活用について、注意する点はありますか。
森:やはり人的ネットワークを長く維持するためには、互いにメリットを享受できる互恵関係を構築することが大切です。一方的に依存するだけの関係では長続きしません。
―マッチングの他に、御社はどのような支援をしているのですか。
西川:商品・サービスの販売促進です。中国ではプロモーションがうまくいっている日本企業が、まだまだ少ない。当社が現地のネットワークを活用することで、デパートやスーパーなど集客力の高い場所での催事や、さまざまなイベント企画なども可能になります。さらに、企業ブランドの構築、クライアントの要望に応じたオリジナルお菓子を中心とした商品企画・制作、なども手掛けています。これらをワンストップで提供することで、大手広告代理店にもひけを取らない総合的なプロモーション展開ができるのです。これからも私たちのプロモーション力とネットワーク力を組み合わせ、日本企業の成長をサポートしていきたいですね。