Asana Japan株式会社 代表取締役社長 田村 元

テレワークで増加するムダを排除し、コア業務を着実に前進させよ

Asana Japan株式会社 代表取締役社長 田村 元

コロナ禍を背景に、リモートワークを実践する企業はいまや珍しくなくなり、多くの企業で働き方改革やDXが進んだかのように見える。しかし、こうした状況に対し、「仕事管理ツール」を提供するAsana Japan代表の田村氏は、「リモートワークの実践によりムダな業務が増える傾向があるため、企業は仕事の管理手法を根本的に見直す必要がある」と指摘する。ムダの生まれない効率的な管理手法について、同氏に聞いた。

※下記は経営者通信57号(2021年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

そのホウ・レン・ソウは、本当に必要な仕事か

―田村さんは「リモートワークによってムダな業務が増える傾向がある」と指摘しています。その理由はなんですか。

  従来、口頭で交わされていた多くの会話がチャットやメールに置き換わることで、文字として受け取る情報が膨大化するためです。チャットやメールが溜まると、それを読んだり返信したりすることに手一杯になってしまいます。そればかりか、大量のメッセージに必要な情報が埋もれ、仕事の全体感と優先順位を見失ってしまうこともあります。情報の膨大化は経営者を含む管理者側にも影響を与えており、チームの仕事全般の進捗が把握しづらくなる例が増えています。結果として、「ホウ・レン・ソウのための会議を開く」といった、本来必要のない業務が生まれてしまうケースは少なくありません。

―そうした状況はどのように改善できますか。

 仕事全体の進捗を見失うことなく、本来行うべきコア業務に専念できるような、仕事全般の新たな管理手法を取り入れる必要があります。まずは、仕事をめぐり必要な情報へすぐにたどれる仕組みをもつことが重要です。もし、必要な情報が大量のチャットやメールに埋もれていれば、時間をかけて過去の会話を遡ったり、メールボックスを整理したりするムダが生じます。こうしたムダを無くすには、タスクやプロジェクトに関する情報を一元的に集約できる仕組みが必要です。

 もうひとつのポイントは、人と仕事の関係を可視化できる仕組みをもつことです。あるタスクに遅延が生じたら、管理者はそのタスクを含む仕事全体の軌道修正を行う必要が出てきます。しかし、そのタスクにかかわる人たちや、その人たちが抱える別のタスクの状況を把握していなければ、目標やスケジュールの再調整は行えません。そのため、組織として仕事を進める以上、人と仕事のつながりを正確に捉えることが重要になるのです。

メンバーに尋ねることなく、仕事の進捗は可視化できる

―それらの仕組みはどのようにつくればよいのでしょう。

 個人レベルの仕事の管理と、組織レベルの仕事の管理を両立できる、管理ツールの導入を推奨します。たとえば、当社が提供する『アサナ(Asana)』には、個々のタスク管理から組織としてのプロジェクト管理まで、広い意味での「仕事」全般を効率的に進めるための仕組みが実装されています。

 『アサナ』には大きく2つの特徴があります。ひとつは、メッセージの送受信や資料の共有をタスク単位で行えること。これにより、各タスクに関連する情報は、おのずと1ヵ所に整理されます。また、各タスクには、担当者や期日、依存関係にあるほかのタスク、関連するプロジェクトなどを表示できます。これにより、タスクの完了に必要なあらゆる基本情報をメンバーに共有でき、タスクのゴールや責任の所在があいまいになることを防げます。

―2つめの特徴を教えてください。

 個人のタスクから、プロジェクトの全体像まで、ニーズに合った形式で簡単に確認できることです。たとえば、個々のタスクの担当者と期日を知りたければ、シンプルな「リストビュー」や「カンバンビュー」。タスク同士の関係性と各タスクの作業期間を知りたいなら、「タイムラインビュー」で表せます。これらの表示形式はすべてリアルタイムに連動し、たとえば、あるタスクの期日を変更すれば、すべての表示形式に変更が自動で反映されます。

―仕事の管理に悩んでいる経営者にアドバイスをお願いします。

 まずは、「ホウ・レン・ソウのための会議を無くす」といった、コミュニケーション上のムダを排除するだけでも、コア業務を着実に前進させられる効果を実感できるでしょう。『アサナ』は、そのような小規模の業務改善からも活用できるツールです。

 『アサナ』の有料プランは今年1月末現在、世界190ヵ国、10万超の企業・団体で導入されています。世界中の幅広い業界で認められているツールの提供を通じ、日本企業のさらなる成長を支援していきたいですね。

企業の生産性を向上させるには、仕事の管理手法を見直し、ムダなくプロジェクトを推進できる仕組みづくりがカギになる。総合水事業を手がける水inɡでは、DX推進プロジェクトの一環として、仕事管理ツール『アサナ』の活用を全社に広げ、生産性向上を図っている。取り組みの詳細について、プロジェクトマネージャーを担う同社の根本氏に聞いた。

新たに生まれたアイデアを、具体的な行動につなげられる

―水inɡでは、どのようにDXを推進しているのでしょう。

 当社では、「生産性向上」と「部門間連携の強化」を目的に、部署横断型のプロジェクトチームを2019年に立ち上げ、『Microsoft 365』の導入を含む、DXを推進しています。現在、特に力を入れているのは、『アサナ』の活用を広めることです。すでに情報システム部門の問い合わせ業務や事業部の一部案件に活用が広がり、今年度はアカウント数を1,000まで増やす計画です。

―『アサナ』の活用を広めているのはなぜですか。

 我々プロジェクトチームが実際に『アサナ』を活用し、生産性を高められると実感できたからです。メールやチャットは、必要な情報を過去のデータから探すのに時間がかかったり、ほかのやり取りに埋もれて見逃してしまったりすることがありました。その点、情報がタスク単位で集約される『アサナ』では、各人がやるべき業務を見失うことなく、確実な遂行管理ができています。また、タスクの進捗はリアルタイムに共有されるので、「管理者がメンバーに進捗を確認する」というムダも減らせました。ただなによりも、仕事の進め方に対する社員の意識が高まったことは最大の成果と考えています。

―仕事の進め方に対する意識を高められたのはなぜでしょう。

 『アサナ』にタスクを登録する際は、担当者や期日などの入力が求められるためです。これにより、新たに生まれた仕事やアイデアを放置することなく、具体的な行動につなげようとする意識が醸成されているのです。『アサナ』では、仕事のログもタスク単位で残るので、この情報を活用して仕事の進め方を見直すことで、今後は業務プロセスの改善にもつなげていきたいですね。

―生産性向上に向けた今後の方針を聞かせてください。

『アサナ』は、部署横断的な仕事を進めるにあたり、人や仕事の関係性が把握しやすいことから、DX推進プロジェクトの目的である「チーム間連携の強化」に大きく貢献しています。『アサナ』の活用で仕事の進め方を改善させるとともに、DXを推進することで、生産性の向上を実現していきたいと考えています。

水ing株式会社

設立 1931年(株式会社 荏原製作所として)
資本金 55億円
売上高 773億円(2019年度:連結)
従業員数 4,600名(2020年7月現在:連結)
事業内容 総合水事業、薬品事業、維持管理事業、建設事業、メンテナンス事業
URL https://www.swing-w.com/

仕事を効率的に管理することは、ムダな業務を減らすだけでなく、仕事の進捗を迅速化する効果も期待できる。各種部品加工を手がけるテック長沢は、社内のコミュニケーションに『アサナ』を導入したことで、プロジェクトの進行が加速し、経営課題の達成につなげることができた。どのような改善を行ったのか。同社の長澤氏に聞いた。

審査合格が危ぶまれていた、国際規格を無事に取得

―仕事の進め方において、どのような課題を抱えていましたか。

 社内のコミュニケーションが煩雑化し、業務遂行に弊害が生じていました。雇用の創出による地域貢献を理念に掲げる当社は、規模の拡大を経営戦略の重要テーマのひとつに掲げ、中国子会社の設立やM&Aに取り組んできました。しかし、社員数が増え、新たな部門も設けられてくると、指示命令系統が複雑に。その結果、役員会議で出された意見が実行につながらないケースが増え始めたのです。重要な指示を担当者に送っても、大量のメールにまぎれ、見落とされることがあったからです。

―そうした状況にどう対応したのですか。

 当初利用していたグループウェアのサービスが終了するのを機に、新たな情報共有手段として『アサナ』を採用しました。便利な機能が充実している点や、直感的に操作できる点が決め手となりました。『アサナ』では、必要な情報を探して整理し直す必要がないので、「指示が見落とされる」といったコミュニケーションの問題が、随所で解消されるようになりました。

 また、仕事が確実に実行されるだけでなく、プロジェクトの進行が加速するという効果も得られています。たとえば、進捗の遅れが原因で審査合格が危ぶまれていた国際規格「IATF16949」の取得準備も、各自が担当するタスクが明確化されたことと、上司がプロジェクト全体の進捗を確認しやすくなったことで急ピッチ化。半年で審査にこぎつけ、経営課題のひとつであった規格の取得を無事に実現することができました。

―今後の活用方針について聞かせてください。

 各プロジェクトの進捗を可視化し、加速させることで、現場のカイゼンや品質向上につなげていきたいですね。現在は、経営戦略の推進から5S活動、生産工程管理まで、幅広い分野で『アサナ』を活用し、取り組みをスムーズに進めるための基盤ができました。今後、社外とのコミュニケーションにおいて『アサナ』を活用できるようになれば、一層の生産性向上も図れると期待しています。

株式会社テック長沢

設立 1963年10月
資本金 2,000万円
売上高 14億円(2020年6月期)
従業員数 172名(2021年5月現在、パート・臨時社員含む)
事業内容 各種部品の切削加工・研削加工など
URL http://www.tec-naga.com/



田村 元(たむら はじめ)プロフィール

1968年、新潟県生まれ。30年以上にわたり、ビジネスアプリケーションの活用促進を通じた企業のパフォーマンス向上に従事。SAPジャパン株式会社のマーケティングバイスプレジデント、ネットスイート株式会社の代表取締役、株式会社パソナテキーラ(現:サークレイス株式会社)代表取締役、日本マイクロソフト株式会社の業務執行役などを経て、2019年7月より現職。

Asana Japan株式会社

設立 2019年3月
事業内容 国内における『アサナ』の提供、コンサルティング業務など
URL https://asana.com/ja
『アサナ』に関する
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