累計経営者300人に取材
経営者の経営力を上げるメディア
人事・労務の経営者インタビュー
[PR]

株式会社ベクトル 代表取締役社長 卜部 憲

アナログな人事管理が企業のアキレス腱になる

「急成長企業は人事労務分野の訴訟リスクを抱えがち。なぜなら、企業の成長に人事管理の整備が追いつかないからだ。もし裁判になれば、企業のブランドイメージの毀損だけではなく、組織が内部崩壊する危険もはらんでいる」。そう警鐘を鳴らすのはベクトル代表の卜部氏だ。同氏はダイエーで22年間、人事畑を歩んできた人事管理のプロフェッショナル。人事部長として、約10万名のパートタイマー・アルバイトの人事管理を手がけてきた。今回は卜部氏に、成長企業が注意すべき人事労務の問題とその解決法を聞いた。

※下記は経営者通信3号(2009年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―いま労働者派遣法が改正の方向に進んでいます。経営者が人事労務の面で注意すべきポイントを教えてください。

卜部:法改正されれば、派遣社員を活用していた企業は直接雇用に切り替えなければいけません。まず、その対応が必要です。

 背景としては、大手派遣会社の法令違反をきっかけに、2007年から日雇い派遣が社会問題化したことがあります。すでに自民党、民主党ともに原則禁止の方針を示しています。また2008年後半からは、製造業を中心とした「派遣切り」が世間の批判を浴びました。その影響で、現在は長期派遣を制限する法改正の動きが出ています。専門性の高い仕事以外は制限される可能性が高まっているんです。

―直接雇用により、どのような問題が生じるのでしょうか。

卜部:管理コストの増加です。たとえば、アルバイトという形で雇用する場合。正社員でなくとも、自社で人事労務の管理を行わなくてはいけません。人材の募集採用、労働契約の締結、給与管理、勤怠管理、社会保険の加入手続き、労災対応・・・。それまで派遣会社が全てやってくれていた煩雑な業務を自社で行わなければいけません。

 しかし、面倒だからといって人事労務の管理を怠ると、不当解雇などの訴訟リスクが格段に高まります。そして、1つでも訴訟を抱えることになれば、企業のブランドイメージを毀損してしまいます。そればかりか、訴訟対応や従業員のロイヤリティの低下など、組織がガタガタになりかねません。訴訟対応にも多額の費用がかかり、現場の人事担当者も疲弊してしまいます。さらに、裁判に敗訴した結果、多額の賠償金を支払うケースも少なくありません。

―特に人事労務の問題が起こりやすい業種、業態などはありますか。

卜部:小売や外食などのチェーンストアですね。ビジネスモデル上、急成長しやすく、企業の成長に人事管理のレベルが追いつかなくなるからです。

 多くのチェーンストアでは、労務知識のない現場の店長が人事管理をしています。そのため、初歩的なミスが起こりやすい。たとえば、不適性な人材を採用してしまったり、社会保険の加入手続きでミスしてしまう。

 また経営者の人事労務に関する意識も低く、そもそも法律を知らないことも多い。よくあるのが、アルバイトと書面で労働契約を結ぶ必要はないと思っているケース。そして訴訟を起こされて、初めて法律を知るわけです。

コストを抑えながらしっかりした人事管理を行う方法とは

―その他のリスクについて、具体的に教えてください。

卜部:全国に約200店舗を展開している小売チェーンの事例をお話しします。その小売チェーンは不採算店舗を整理し、パートタイマーのリストラを行いました。ただし、契約期間中の解雇はトラブルになると考え、契約期間満了と同時に「雇い止め」を行った。経営者はこれで法的には何の問題もないと考えていました。

 しかし、実際はそうではなかった。10名以上のパートタイマーから「不当解雇」の集団訴訟を起こされ、敗訴したんです。そして、企業は損害賠償を支払う結果になりました。

 敗訴した理由は、パートタイマーとの労働契約を❝自動更新❞にしていたからです。契約期間ごとの契約更改を怠っていた。自社にとって面倒な事務手続きを省いていたんです。そのため、裁判所には「実質的には期間の定めのない契約」だとみなされたわけです。つまり、正社員と同じ無期雇用の扱いになっていた。

 この事例で分かるように、企業はパートタイマー・アルバイトに対しても、必ず契約更改を実施する必要があります。そうしなければ、機動的な人員調整ができなくなります。実は従業員1000名規模の会社でも、契約更改をしていない企業があります。特に設立10年以内の企業は、契約すら結んでいないケースも多数見受けられます。非常に危険だと思いますね。この他にも、給与管理や労使問題の対応など、企業が抱えるリスクは数多くあります。

―訴訟リスクがあるとは言え、経営者はできるだけコストを抑えたいと考えています。コストを抑えながら、しっかりした人事管理を行う方法を教えてください。

卜部:ITシステムの導入とアウトソースを効果的に組み合わせることですね。その方がコストを抑えられますし、質の高い人事管理が行えます。

 たとえば、1000名の派遣社員を直接雇用に切り替える場合。パートタイマー・アルバイトとして直接雇用すると考えると、ざっと年間3000万円の人事管理コストが増加します。

 そこで、採用管理や雇用管理などの業務はITシステムを導入し、自社で効率的に業務を行う。そして、給与計算や勤怠管理など外部にアウトソースできる業務は、専門の会社にアウトソースする。そうすれば大幅なコスト削減が可能となります。ケースバイケースですが、約20~30%のコスト削減が実現できますね。

―御社は大手ドラッグストアチェーンや大手ゲームメーカーなど、錚々たる大企業の人事管理を手がけています。御社のサービスが利用されている理由は何ですか?

卜部:主に3つあると考えています。1つ目は、国内トップレベルの人事管理ノウハウを持っていること。特にパートタイマー・アルバイトの分野に強い。私は大手流通企業の人事畑を22年間歩んできました。2001年には人事部長にも就任し、10万人ものパートタイマー・アルバイトの人事管理に携わってきました。当時、国内最先端の人事制度を構築していたと自負しています。事実、社員とパートタイマーの垣根を無くした「契約区分制度」など、後に多くの企業でも導入された人事制度をいち早く構築しました。

 2つ目は、広範な人事管理業務を一気通貫で支援できること。採用管理から、契約更改、勤怠管理、給与管理、労務管理まで、煩雑な作業を全てサポートしています。特にパートタイマー・アルバイトの人事管理システムではオンリーワン。標準化させたシステムを独自開発し、ASP形式で提供しています。もし、各企業がオーダーメイドのシステムを開発した場合、何千万円というお金がかかるはずです。

 ちなみに、パートタイマー・アルバイトの人事管理システムは大手コンサル会社には開発できません。その理由は自分たちがアルバイトを雇ったことがないから。現場をまったく理解していないんです。

 3つ目は、人事のコンサルティング機能を持っていること。当社のコア事業は人事コンサルティングなので、人事戦略や人事考課の仕組みを設計できます。さらに法改正への対応、労務問題のアドバイスも行います。

 ちなみに当社では、この数年で上場企業を中心に30社以上の人事管理をサポートしてきました。クライアントは多店舗展開しているチェーンストアが中心です。事業所の数で計算すれば、1500店舗以上。パートタイマー・アルバイトの総数は3万名以上になります。

ベクトルから経営者へアドバイス

―御社の役割は「優秀な外部人事部」というわけですね。ASP形式の人事システムについて、もう少し教えてもらえますか。

卜部:代表的な人事システムとして、パートタイマー・アルバイト雇用管理システム「PAM」があります。特徴は大きく3つ。

 1つ目は、データの一元管理。求人応募者の管理から契約更改まで、一気通貫で行えます。また、本部が各店舗の状況を常にチェックして、問題店舗を重点指導することも可能です。さらに各店舗で実施していた人材募集をエリア単位で集約し、採用広告費を削減することもできます。2つ目は、適性検査の標準装備。コンピューターを用い、スピーディーかつ精度の高い採否判定をサポートしています。3つ目は、契約更改の確実な実施。システム上で進捗を管理し、契約更改の漏れが出ないようになっています。

―最後に人事管理のプロの視点から、経営者へアドバイスをお願いします。

卜部:成長企業の経営者は❝攻め❞は得意ですが、❝守り❞は不得意なケースが多い。今後、人事労務関係の法律はさらに厳しくなると予想されます。だから経営者は人事労務に対する意識を高めてください。訴訟リスクが顕在化してからでは遅い。守りをおろそかにすると、機動的な攻めの選択肢も減ってしまいます。その上でシステムを活用すれば、低コストで精度の高い人事管理ができます。本社の人事部は人事戦略などのコア事業に特化すべきです。人事管理はITシステムを活用して効率化し、煩雑なルーティンワークはアウトソースすることをおすすめします。

卜部 憲(うらべ けん)プロフィール

1956年、大阪府生まれ。大阪市立大学工学部を卒業後、株式会社ダイエーに入社。本社の人事畑を歩む。2001年に人事部長に就任。その後、日経連一般職員賃金制度部会委員、同・社会保障制度部会委員を歴任する。2003年に同社を退社し、株式会社ベクトルを設立。代表取締役に就任。著書に『稼ぎすぎて困る 熱血リーダー量産化計画』(幻冬舎メディアコンサルティング)、共著に『これからの一般職賃金』(日経連出版)などがある。『労政時報』、『商業会』、『人事マネジメント』などへの寄稿、コメントも多数。

株式会社ベクトル

設立2003年6月12日
資本金9,000万円
売上高4億8,340万円
従業員数38名
事業内容コンサルティング事業、ヒューマンリソース事業、アウトソーシング事業、キャリアサポート事業、ヒューマンディベロップメント事業、Web人事システム開発事業
URLhttp://www.vector-up.com
お問い合わせ電話番号03-6693-5220

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

月間人気記事ランキング集計期間:10/20~11/18

  • 海外で活躍する経営者のインタビューサイト Japan Business Headline
  • 海外で活躍する日本企業を増やす総合情報サイト ヤッパン号
  • ベンチャー支援のプロフェッショナル
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • INOUZTimes
  • THAI GOOD COMPANY 100

経営者通信メールマガジン

経営者通信注目の企業や、ビジネスニュースなど経営者のための情報をお知らせします。

ご登録はこちら

経営者通信

経営者通信
経営者に贈る、経営者の"経営力"を上げる情報誌

全国の経営者向けに発刊している情報誌です。

経営者通信への掲載・取材希望の方

経営者に直接アプローチできる雑誌、経営者通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

pagetop