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株式会社エスティワークス 代表取締役 特定社会保険労務士 佐藤 貴則

労働時間をコントロールして未払い残業代を解消せよ

厚生労働省の資料によると、2011年度の未払い残業代の支払い平均額は1社あたり1,133万円。1社単独の最高支払額は26億8,844万円にのぼる。資金繰りに余裕のない中小・ベンチャー企業にとって残業代の未払いは非常に大きなリスクである。特定社会保険労務士であるエスティワークス代表の佐藤氏は「企業規模の大小にかかわらず、正確な勤怠管理が欠かせない」と断言する。経営者が留意すべきポイントについて、同氏に詳しく聞いた。

※下記は経営者通信26号(2013年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―中小・ベンチャー企業がもっとも注意すべき労務問題を教えてください。

佐藤:未払い残業代ですね。なぜなら、多額の支出が発生する労務問題だからです。紛争などで表面化していなくても、リスクを抱えている企業は多い。対策をとっていると思っていても、実際は未整備なケースもあります。 たとえば、年俸制を採用している企業には「みなし残業代が年俸に含まれているので、残業代を支払わなくてもよい」と考えている経営者もいますが、大間違い。年俸制でも残業代は必要です。

―残業代の未払いを放置しておくと、どのようなリスクにつながりますか。

佐藤:未払いが認定されると、過去2年にさかのぼって全従業員に支払わなければなりません。運転資金に余裕がない場合、経営に直接影響が出てしまうでしょう。さらに株式上場にも支障をきたします。5年ほど前から、証券取引所の上場審査が厳格化。当社にも、証券会社や監査法人を経由した相談が増えています。上場準備中に残業代の未払いが発覚すると、上場が延期されるケースがあるからです。

―そういったリスクを回避するには、どうすればいいのでしょう。

佐藤:まずはトップの意識を変えなければいけません。自身が寝食を惜しんで会社を大きくしてきた成功体験があるため、残業への意識が低い経営者もいます。しかし、「人を雇う」とは、従業員と労働契約を結ぶこと。未払いは労働観の問題ではなく、コンプライアンスの問題です。また、大手企業とは違い労務担当者の手がまわらず、未払いかどうか把握できていない場合も。対策として、中間管理職に部下の労働時間を把握させるべきです。そのうえで、正確な勤怠管理を行ってください。労働法は実態主義なので、裁判では物的証拠が求められます。したがって、就業規則や賃金規程の整備だけでは不十分。全従業員の労働時間を正確に記録し、管理する必要があります。

―しかし、勤怠を正確に管理するには手間がかかりますよね。

佐藤:使いやすいシステムを導入すれば、タイムカードよりも手間は削減されます。そのうえで運用を工夫すれば、生産性の向上にもつながります。 これまで私は「社労士の視点から推奨できる勤怠管理システムはないか」とたくさんの相談を受けてきました。さまざまなシステムを検討したのですが、太鼓判を押せるものはなかった。それならば、自分で開発するしかないと判断。基幹システムの開発で20年以上の実績をもつエイ・エヌ・エスさんと共同で「勤怠グリッパー」を開発したのです。

―他のシステムとの違いはなんですか。

佐藤:最大の違いは、社会保険労務士が企画・立案していることです。現場の業務を理解しているので、まずユーザーインターフェースが使いやすい。また、既存のシステムは「法令に準拠した労働時間の集計」にとどまっていますが、私たちのコンセプトは「労働時間のコントロール」。根本的な設計思想が違います。具体的には、事前に設定された労働時間を超過するとアラートが出る機能、在社時間と勤務時間の乖離をチェックする機能など、未払い残業代対策が随所にほどこされています。さらに、毎年改正がある労働法制にも対応。もし労働基準監督署に資料の提出を求められても、必要なデータがすべてそろっています。

―最後に、経営者へのアドバイスをお願いします。

佐藤:中小・ベンチャー企業にとって、未払い残業代は財務リスクです。管理部門まかせにせず、経営者が積極的に関与してください。問題が発覚してから後の祭りにならないよう、改めて自社の労務管理体制を見直してほしいですね。

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