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株式会社SOOL(スール) 代表取締役 深澤 祐馬

「プル型採用」が抱える課題とその解決策

新卒採用がうまくいっていない中小・ベンチャー企業からは「知名度がないから集まらないし辞退される」といった嘆きがよく聞かれる。しかし、SOOL代表の深澤氏は「時代に合った適切な方法を取り入れれば、中小・ベンチャー企業でもほしい人材を効率的に採用できる」と指摘する。同社は100社以上の企業に中核人材を送り込み、その後の急成長を支援している。日本の採用活動の課題、新卒採用で成功している会社の共通項などを同氏に聞いた。

※下記は経営者通信28号(2013年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―現在どのような採用活動が一般的なのでしょうか。

深澤:現在、日本の新卒採用は主に2つのメジャーな活動パターンがあります。まずはじめにリクナビやマイナビに代表される大手就職ナビサイトがあります。企業情報を掲載し、掲載内容を見て気に入った学生が企業にエントリーできる仕組みです。これによって企業と学生が出会うきっかけが生まれ、その後の説明会や選考会で接触、適性試験や面談を経て学生が絞り込まれていきます。もう一つの活動パターンは「就職合同セミナー」です。学校や生協、民間会社主催で行われるイベントで、出展した企業が各ブースでPRや呼び込みを行い、それを見て気になる企業に学生が足を運ぶことで企業と学生が出会うきっかけを作る。規模も大きく1,000人以上の規模のものもあります。このように、就職ナビサイトやイベントといった手法を通して企業に採用選考のための母集団が形成されるところから採用活動がスタートする手法を「プル型採用」と言い、新卒採用をしている企業ならば、そのほとんどが当たり前のように取り入れているスタンダードな採用手法になります。

―「プル型採用」の中でも多くの企業が利用している「就職ナビサイト」はどういった特徴があるのでしょうか。

深澤:学生がオンライン上で、容易に企業エントリーできることや、会社名や詳細情報に目を通さずとも、例えば「商社」や「営業職」等のキーワードに引っかかる企業をまとめてエントリーできる「一括エントリー」という機能が備わっていることもあり、学生が短時間で100を超える会社に登録できることで、学生と企業が効率よく出会えるという特徴があります。しかし時代の変遷とともに、簡単に大量の企業にエントリーできてしまう便利な時代になったと喜んでいるだけでは済まされない課題が出てきているのです。

―どのような変遷と課題があるのでしょうか?

深澤:ここに至るまでの歴史を少しおさらいしてみましょう。明治・大正を経て高度成長期に至るまでの日本の新卒採用は、いわゆる大学が学生に就職先をあっせんする「学校推薦」が主流でした。それが60年以降の学生運動で学校推薦が機能不全に。学生が自力で活動する「自由応募」が一般化します。そのころから「リクルートブック」等の就職情報産業が産声を上げ、80年代のバブル景気とともに巨大産業となります。その後インターネットの出現により97年に就職ナビサイトが登場、情報誌がネット化され、かつて学生が「はがき」で企業にエントリーしていた時代から、ボタン一つで一括エントリーできる等、大量の企業へのアプローチが可能になり、企業もまたたくさんの学生と会えるようになってきました。しかし同時にこうした「プル型採用」は、主に二つの課題を抱えているのです。

1、 ミスマッチの発生はなぜ起きるのか?

深澤:ここでいうミスマッチとは、採用初期段階におけるミスマッチのことをいいます。母集団が集まっても「ほしい人材に出会えない」のです。なぜこのようなミスマッチが生まれてしまうのか?最も大きな原因の一つは「学生が企業を選ぶ」ことからスタートすることにあります。

―「学生が企業を選ぶ」ことの何が課題だというのでしょうか?

深澤:そもそも学生が大手志向に偏っていること、つまり正しい企業選択基準を持ち合わせていないことから、特に優良なベンチャー企業や中小企業に学生が集まりにくい状況が発生しているということです。実は就職ナビサイトの掲載企業数は約1万社ありますが、その掲載企業のうち、2~3割に相当するような、誰もが知っているいわゆる大手企業に登録学生の7割以上が集中するそうです。2~3割といっても数千社の企業があるわけですから、学生も選択肢が多く、選ぶのが大変です。聞いたことのある企業だけで優先順位をつけていったとしても、到底消化しきれない企業数です。そうなると残された8割、およそ8,000社近くの中小・ベンチャー企業の中から就職活動生が自社にエントリーする確率はというと、正直運に身を任せざるを得ないのが現実です。掲載企業数や学生登録数の多さで就職ナビサイトに飛びついたものの、結局「ほしい人材」に出会えないという企業からの声は後を絶ちません。一部の企業では、こうした「プル型採用」から、自ら学校に足を運ぶなど「プッシュ型」に切り替える動きも出てきているようです。

―学生による企業選びの実態について教えてください。

深澤:経営者や企業人事の方からも、自分の将来像や自分の働きたい職業や業種、環境を明確にできている学生はごく少数だという声をよく聞きます。日本の大学が「職業訓練」を目的にしていないことは大きな理由の一つですが、この記事を読んでいる経営者や人事の方をはじめとした社会人のみなさんが学生の頃を振り返ってみれば、自明ですよね。現に私自身も今でこそ人事コンサルティングという仕事をしていますが、大学3年生のころは理系で、技術者になるか、好きだったカメラを仕事にしようかなと漠然と考えていたくらいでしたので、自分にはどんな仕事が合っていて、そのためにはどの会社が合うのかなんてことはほとんど考えていませんでした。当時バックパックで世界中を一人旅していた影響もあり、海外志向があったことや、せっかくだからやってきた専門分野を仕事にすることを掛け合わせて、ゼネコンに行くか、プラント建設でサウジアラビアとか面白いかな、くらいに考えていました。

そんなことを考えていた僕が、1年半後に人事の仕事に就くことになろうとは、そしてこの仕事が天職だと興奮して話す人間になろうとは、当初の僕も、友人も家族も誰も想像していなかったでしょう。過去1万人以上の学生や、社会人の方、経営者と接してきた中で、私の姿は例外ではないと実感しています。例えば幼少期から一つの才能を発掘され、スポーツや芸術分野で英才教育を受けてきた人材や、経営者の息子で、幼少期から帝王学を学んできたなどの環境がない限り、自分が何に向いているのか、適職が何かをわかっている学生はほぼいないでしょう。一つの職業を熱く語る学生がいたとしても、そもそも仕事の経験を積んでいないかぎり、憧れの域を超えていないのです。

2、大量の浪費が発生

「プル型採用」のもう一つの課題は、企業が抱えている「浪費」です。

―企業ではどのような浪費が発生しているのでしょうか?

深澤:就職ナビサイトで応募してきた数多くの学生を一定数まで絞り込むのにも、人事担当者の手間と時間、SPI等の適性試験にかかる費用など、相当なコストがかかっているという事実も無視できません。企業にもよりますが、エントリー段階で絞り込む企業では、学生から履歴書やエントリーシートを郵送してもらい1件1件確認します。この作業だけでも膨大な時間を要します。もっともエントリーシートなど確認することなく学歴でフィルタリングしてしまう企業もありますが、これは学生の「想い」「努力」を考えない身勝手なやり方であり、改善の必要があるでしょう。また、ベンチャー企業や中小企業においては採用担当者が1名という企業は多く、他の業務と採用を兼任している担当者も多いので、この絞り込みコストに悩む声は多いのです。

現在の就職ナビサイトが主流になる2000年以前は、「リクルートブック」に代表される就職情報誌(紙媒体)から企業情報を得て、はがきでエントリーする方法だったため、エントリーできる企業は今より圧倒的に少なかったんです。これが大量エントリーできるようになったことにより、1エントリーあたりの価値が低下、当日の説明会にドタキャンする学生が増えたことも無視できません。就活ハイシーズンの12月~4月の参加率が50%をきってしまう企業も珍しくはないのが現状です。こうした状況でもターゲット学生に出会えず、さらに母集団を増やそうと就職ナビサイトのDMに多額の費用をかける企業が一定数存在しますが、これも「浪費」になっています。就職ナビサイトの掲載費用は年々下落傾向にありますが、トータルでかけているコストは結果的に高くつくか、ここにお金をかけられない企業にはターゲット学生が集まらず、採用失敗に終わるといった、どちらをとっても満足とは言えない状況が生まれているのです。

採用で成功している会社の共通点とは

―では、どうすればほしい人材を効率よく採用することができるのか? こうした状況の中でも採用で成功している会社の共通点を教えてください。

深澤:これまで紹介した「プル型採用」だけでなく、「プッシュ型採用」を取り入れているという点です。つまり経営者や人事が自らほしい人材にアプローチしていく。このポイントに気づき、具体的アクションを起こす。これが採用成功企業が共通して実施している手法ということになります。「プッシュ型採用」の代表例として、当社が提供している学生スカウト専門サイト「Iroots(アイルーツ)」がある他、逆求人形式のイベント、リクルーター制、社員後輩紹介などがあります。ちなみに「Iroots」は、学生のプロフィールや志向、コンサルタントからの推薦コメントやどの業界にマッチする学生かといった情報を開示していますので、自社にマッチした学生にターゲットを絞りやすい特徴があります。またどのようにスカウトすればいいかのノウハウも提供しますので、効率よくアプローチすることができます。

―なぜ「プッシュ型採用」が解決策となるのですか?

深澤:経営者や人事担当者は、どんな人材が、「環境に合っているか」「楽しく仕事をしているか」「成長しているか」ということを知り尽くしていますから、その会社の中で活躍している人と似た類型の学生を、彼らが自らの手で探した方がはるかに効果的な採用ができるのです。先ほど紹介した「Iroots」をはじめ、主体的に動けば出会える場があるわけですから、大手の就職ナビサイトに頼って楽をして採用しようと思わずに、自社で活躍する人材を、企業が積極的に探しに行く、採用しにいくスタンスが求められているのです。僕は新卒でリクルートコスモス(現コスモスイニシア)というリクルートグループで採用をしていましたが、「リクナビ」に依存せず、毎年半分近い内定者を「プッシュ型採用」で獲得していました。

―プッシュ型採用を取り入れる際のポイントを教えてください。

深澤:2つあります。一つは「ターゲット学生の絞り込み」です。あらかじめどのような学生が将来の中核人材になるかの要件を抽出することで、少人数の接触で効率的な採用ができます。学生接触数のうち30%~50%が入社を決めた事例もあり、劇的に採用効率が向上した事例もあります。もう一つは「ぴかぴかタイプ」よりも「のびしろタイプ」を狙うということです。

―「ぴかぴかタイプ」と「のびしろタイプ」とは何ですか?

深澤:将来活躍する2つの人材タイプです(右図参照)。「ぴかぴかタイプ」は、明確な「実績」を残しており、誰がみても魅力的です。体育会主将、成績トップ、ビジコン優勝、起業経験あり等です。このタイプはたくさんの企業に注目されますから、当然競合しますね。その分企業側はまめなフォローと他社に負けないクロージング力、ブランド力が必要になってきます。ただしこの力を身に付ける難易度は高く、当社のコンサルティングを受けるなど時間と手間をかける必要があります。一方「のびしろタイプ」には成長に必要な多くの行動特性が備わっていて、将来有望です。しかし特筆すべき「実績」はまだなく注目されにくい。したがって、発掘できれば競合も少なく採用し易いのです。成功している会社はこうした「のびしろタイプ」を採用できているのです。またこのタイプの発掘には特定のインタビュースキルが必要ですが、比較的容易に身に付けることができます。当社で数回のトレーニングを受けることで身に付けることも可能です。

―のびしろタイプ発掘のポイントを教えてください。

深澤:3つのポイントに分けられます。まず第一に、「ターゲット学生の明確化」です。どのような人材が将来の中核人材になるか、活躍社員の棚卸をして、行動特性等の要件抽出しておくことが大切です。二つ目は「アプローチ方法の選定」です。ターゲット学生にどのようにしたらリーチできるのか? スカウト専門サイトや体育会イベント、エンジニアイベントといったターゲット遭遇確率が高い層にアプローチすることで、より効果的な採用が実現します。三つ目は「インタビュースキルの強化」です。面接時に自社の説明ばかりしている企業を多く見受けますが、それではダメ。7対3の割合で相手の話を「引き出す」面接手法を身に付けることです。ひとり60分時間をかけてしっかり見極める努力をするだけでも結果は大きく変わってきます。専門スキルと実績を積み重ねた当社では、こうした面接のロールプレイングなど、採用成功の具体的なアドバイスや事例紹介を行っておりますので、是非お気軽にご相談ください。「プル型採用」に頼り続け、「求めている人材が来ない」と嘆くことも、「何千人もエントリーがきてる!」と一喜一憂することも、一旦脇に置いて、「真の仲間はどこにいるんだろう?」と、自ら足を使って発掘する努力してみてください。きっと採用結果は劇的に変わるでしょう。

深澤 祐馬(ふかさわ ゆうま)プロフィール

1976年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部を卒業後、株式会社リクルートコスモス(現:株式会社コスモスイニシア)に入社。人事部にて、新卒採用を軸に人事全般を担当。プロジェクトマネージャー、クロージング担当として5年間で旧帝大、早慶をはじめとした多くの採用実績を残す。その後、2社のITベンチャー企業取締役を経て、2009年11月に株式会社SOOLを設立、代表取締役に就任。過去1万人を超える面談実績から企業の採用支援を行うほか、学生のためのスカウトサイト「Iroots」の運営、社長向けのエグゼクティブコーチングやビジネススクール講師等幅広く活躍している。

株式会社SOOL

設立 2009年11月
事業内容 新卒Webサービスの運営、中核人材サーチサービス「Iroots」の運営、採用コンサルティング事業、コンサルティング事業
URL http://www.sool.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-5459-5540(受付時間 平日10:00~19:00)
お問い合わせメールアドレス info@sool.co.jp

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