累計経営者300人に取材
経営者の経営力を上げるメディア
著名経営者の経営者インタビュー

エスケー化研株式会社 代表取締役社長 藤井 實

絶体絶命の窮地を革新の契機にせよ

※下記は経営者通信26号(2013年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―ピンチに対してトップが真正面から向きあった結果、チャンスに転じたのですね。藤井さんが経営において心がけていることはなんでしょう。

藤井:基本的なことですが、社員を大事にしています。「全社員で会社を大きくしていこう」というのが当社の経営方針。そのためには、社員がやる気をもって働ける環境をつくることが重要です。たとえば設立10周年の際、「全員参加の経営」という企業方針を明確に打ち出しました。また、8月と12月にくわえ、6月にも賞与を支給する制度をつくりました。これは45年経った現在でも続いています。また、私が100%保有していた持ち株を社員に分配しました。こちらは、当時あまり喜ばれませんでしたね。みんなキャッシュのほうがうれしいみたいで(笑)。しかし、古くからいる社員は、いまではだいぶ大きな財産を得たと思いますよ。

―待遇以外で社員をやる気にさせる取り組みはありますか。

藤井:がんばった社員は、必ずほめています。10周年以降、毎年「経営方針発表会」を行っているのですが、前年度で事業に大きく貢献した社員をその場で盛大に表彰するんです。表彰者が多いので、私が表彰状を読みあげるだけで1時間半ほどかかってしまう。その間、声がかれても途中で水は飲みません。海外の社員に対しては、英語や中国語で読む。けっこうな手間なのですが、ほめる行為は単に口頭で伝えるだけではダメ。本当に感謝の気持ちをもって、トップ自らが晴れの舞台で称えることが大事なのです。 こうした取り組みも、当社が躍進できたひとつの要素だと思います。

―御社は1970年代からアジアへ進出しています。アジア進出を成功させるポイントを教えてください。

藤井:原則として、100%出資の子会社を設立すること。そして現地で社員を採用して、現地でマーケティングを行い、現地で製品をつくる。つまり、共同出資のように他社の影響を受けることなく、すべて自社で経営判断を行い、スピーディーな事業を推進するわけです。

1984年、初めて中国に進出した当時は、現地の国営企業と合弁会社を立ちあげました。しかし、当時は法律上50%以上の出資ができず、経営の主導権は持てません。私が3ヵ月に一度、役員会のために中国に行くのですが、現地の社長がちょっと会議室から出て帰ってこないと、それで会は終わってしまう。そんな馬鹿げたことを何回も経験するうちに、やがて資金繰りが行き詰まって合弁は解消。フィリピンでも合弁会社を立ち上げましたが、うまくいきませんでした。

―経営思想の違いから、苦労したわけですね。

藤井:はい。しかし、これらの経験から学んだことは多かったですね。現地にまかせっぱなしではいけないし、日本のやり方を押しつけてもダメ。大切なのは、現地に優秀なスタッフを派遣し、スピーディーにPDCAサイクルを回して成果を出すこと。さらに、文化、気候などに合わせた現地第一主義を貫くこと。そうした対応を徹底することが、海外で成功するためには重要ですね。

―中小・ベンチャー企業の経営者に対して、企業を継続させるためのアドバイスをお願いします。

藤井:大事なのは「人の役に立つことをしっかりとやっていくんだ」という強い信念をもつことです。経営を続けていれば、悩んだり迷うこともあるでしょう。借金を返さなアカン場合もありますし、早く会社を成長させたいと焦ったりもする。そんななかでも、決して信念は曲げないことです。

―藤井さんもこれまで悩んだり迷ったりしたのですか。

藤井:もちろんです。当社の歴史を振り返れば、もともとは3名で始まった零細企業です。そこから失敗を繰り返しながら、なんとか全国展開のメドをつけ、中小企業に。そこから今度は上場を目指して、売上200億円に達して中堅企業になった。そして、海外進出を積極的に展開し、いまでは建築仕上塗材でアジアNo.1企業を目指し、成長を続けています。そうした過程において、絶対に信念を変えず、人の役に立つための技術や商品をつくり、それらを開発・提供するための人材をつくっていく。そうすれば、会社を支えてくれるお客さまをつくることができ、世間に信頼される実績をつくっていくことができます。

中国古典の易経に「山天大蓄」という言葉があります。これは山のごとき大いなる成長発展を遂げようとするならば、大いなる蓄積をしなければならないという意味。つまり、ヒト・モノ・カネ、技術力、商品力、信用力、試練対応力など、最初は「無から有を生じる」ことから始まりますが、その後は地道な積み重ね。人生と同じく、経営に近道なんてありません。ひとつひとつの積み重ねこそ、会社が永く続くための土台だと確信しています。

藤井 實(ふじい みのる)プロフィール

1932年、兵庫県生まれ。1955年、22歳のときに四国化学研究所を創立。廃溶剤を再製した下塗り塗料を製造・販売する。1958年、株式会社四国化学研究所に法人改組し、代表取締役社長に就任。1963年、社名を四国化研工業株式会社に、1991年、エスケー化研株式会社に改称。1994年、ジャスダックに株式を上場。1970年代からアジアへ進出し、中国をはじめ、韓国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、マレーシアなどで事業を展開。一代で売上高800億円超、建築仕上塗材において国内シェアNo.1企業を築きあげた。1983年から社団法人日本建築材料協会理事を務め、2003年に会長、2013年に名誉会長へ就任。このほか、社団法人日本塗料工業会などの理事を務める。2003年、私財を投じて大阪シニアー創造学院、2006年に藤井国際奨学財団を設立。2000年に黄綬褒章を受章。

エスケー化研株式会社

設立 1958年4月
資本金 26億6,200万円
売上高 828億7,200万円(2013年3月期)
従業員数 1,782名
事業内容 建築仕上塗材事業(有機無機水性塗料・塗材、合成樹脂塗料、特殊塗料、無機質系塗材、シート建材、無機質建材の製造販売および特殊仕上工事の請負)、耐火断熱事業(無機断熱材、耐火被覆材、耐火塗料の製造販売および耐火断熱工事の請負)、その他の事業(各種化学化成品の製造販売)
URL http://www.sk-kaken.co.jp/

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

月間人気記事ランキング集計期間:3/26~4/24

  • 海外で活躍する経営者のインタビューサイト Japan Business Headline
  • 海外で活躍する日本企業を増やす総合情報サイト ヤッパン号
  • ベンチャー支援のプロフェッショナル
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • INOUZTimes
  • THAI GOOD COMPANY 100

経営者通信メールマガジン

経営者通信注目の企業や、ビジネスニュースなど経営者のための情報をお知らせします。

ご登録はこちら

経営者通信

経営者通信
経営者に贈る、経営者の"経営力"を上げる情報誌

全国の経営者向けに発刊している情報誌です。

経営者通信への掲載・取材希望の方

経営者に直接アプローチできる雑誌、経営者通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

pagetop