累計経営者300人に取材
経営者の経営力を上げるメディア
グローバルの経営者インタビュー

三正工業株式会社 取締役 海外事業部長 飯島 三明

中小製造業がベトナム進出を成功させるノウハウ

10年前にエンジニアを採用して以降、ベトナムから数多くの人材を雇用し、成長を続ける企業がある。建設機械などの油圧機器部品の加工・組み立てを手掛ける三正工業だ。同社ではベトナム現地工場で部品生産を行う一方、自社の進出経験をもとに、中堅・中小製造業のベトナム進出支援をワンストップで提供している。同社の海外事業部長である飯島氏に、製造業がベトナムに進出するメリットと注意点、自社の進出経験によって培った進出ノウハウなどについて聞いた。

※下記は経営者通信17号(2012年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―まず御社の事業内容を教えてください。

飯島:建設機械などの油圧・空気圧機器部品を中心に、各種金属部品の製造・組み立てを行っています。国内では東京本社のほか、福島県に工場を保有。また、2008年にベトナム現地法人を設立後、2011年3月には(ドンナイ省に)工場を立ち上げ、油圧機器部品の生産を開始しました。現在は日本への※ノックダウン輸出がメインになっていますが、将来的には中国、インドなどへ直接供給していきたいと考えています。一方、私が事業部長を務める海外事業部では、東京の本社とベトナムのホーチミン事務所が連携。ベトナム進出を考えている中堅・中小企業の製造業の方々に向けて進出支援を行っています。

―御社がベトナムに進出したきっかけは何ですか。

飯島:当社では、10年前に初めてベトナムからの研修生を雇用して以降、現在まで30名強のエンジニアを採用してきました。当社は彼らに製造技術と日本語を並行して教育することで、会社の戦力として育成していたのです。ですから、優秀な人材である彼らをそのまま帰国させるのは惜しい。ベトナムで一緒に仕事ができないかと考え、ベトナム進出を計画したのです。  そこで、まずは自社製品の製造を行う現地工場を設立。その後、2009年にベトナム語の翻訳や海外進出コンサルティングを手掛ける日本企業を買収し、ベトナム進出支援事業を開始しました。

―実際に感じたベトナム進出のメリットとデメリットは何ですか。

飯島:メリットは、総人口のうち6割強を占めるのが29歳までの若年層であり、今後も日本や中国に比べて、低コストで労働資源を確保できる可能性が高いことですね。また、中国とインドという2大マーケットの中間地点という位置づけから、物流拠点としての役割も期待できます。実際、タイで洪水が起こって以降、当社のお取引先からもベトナムへの関心が高まっています。さらに、人民元や人件費の高騰が続く中国に変わり、ポストチャイナとしての位置づけも増していますね。 反面、デメリットは申請業務などの手続きが煩雑なこと。また、気がつかないうちに法律が変わっていることもありますから、現地情報に精通していないと単独進出は難しい部分がありますね。さらに、ベトナム人は転職をポジティブに捉える面があるため、人材を定着化させるには経験とノウハウが必要になります。当社もベトナム現地工場の運営ではさまざまなことを学びました。だからこそ、福利厚生面での配慮など、人材を定着させるためのノウハウを身につけることができたのです。

―中堅・中小製造業のベトナム進出支援について、具体的に教えてください。

飯島:ベトナム現地における「市場調査」、「現地視察ツアーの実施」、「製品の製造委託先のリサーチ」、「駐在員事務所・現地法人の設立」など、一連の業務をワンストップで提供しています。 まず「市場調査」では、各関係企業へのインタビューやアンケートを当社が実施。信頼のおける現地情報の収集を行います。また、「現地視察ツアーの企画・支援」では、例えばプレスや熱処理を得意とする現地加工メーカーのご紹介など、お客さまのニーズに沿ったオリジナルの視察ツアーを企画。通訳・ガイド・ホテル・交通手段の手配から、関係先企業や工場見学のアレンジ・訪問同行を実施します。 そして、「製品の製造委託先のリサーチ」では、お客さまの製品サンプルをお預かりし、製品クオリティを忠実に再現できる工場をリサーチ。パートナーとなり得る企業候補先の絞り込みや、製造・見積もりなどの関係書類の翻訳、提携先との代理交渉までを行います。 さらに、「駐在員事務所・現地法人の設立」では、オフィスや工業などの候補地を選定。条件に見合う適切な物件をご紹介します。この他にも、法律業務の支援、輸出に必要な投資許可ライセンスの取得、経理など専門的な人材の採用支援など、必要に応じてさまざまな支援を行っています。

―これまで何社ほどの企業のベトナム進出支援を行ったのですか。

飯島:十数社の生産拠点開設などを支援しました。当社の強みは、自社が製造業としてベトナム現地工場を立ち上げ、運営を続けていること。自社の現地法人や進出経験を持たないコンサルティング会社などとは異なり、実体験にもとづく経験とノウハウがある。だからこそ、製造業ならではの視点で、きめ細やかなサービスを提供することも可能なのです。しかも、当社はワンストップで進出支援を行っているため、お客さまが何度も現地に足を運ぶ煩わしさがありません。進出後も当社の現地スタッフがさまざまなサポートを行うことで、現地における事業運営をバックアップしています。日本ではよく産業の空洞化が嘆かれますが、韓国や台湾企業にベトナム進出で先を越され、日本の経済が疲弊することを思えば、むしろ積極的にベトナム進出を行って利益を上げ、その利益を日本に還元するべきではないでしょうか。そうすれば空洞化ではなく、むしろ活性化になると思うのです。そのためにも、私たちは日本とベトナムの架け橋として、中堅・中小製造業の海外進出をサポートしていきたいと考えています。

※ノックダウン輸出:部品のままで輸出し、現地で完成品に組み立てて販売する方式。

飯島 三明(いいじま みつあき)プロフィール

1979年、東京都生まれ。2002年に法政大学経済学部を卒業後、医療機器メーカーに入社。営業やマーケティングに従事する。その後、外資系企業において、さらなる営業経験を積む。2009年、三正工業 海外事業部の立ち上げメンバーとして同社に入社。現在は海外事業部長として、日本の中小企業の海外進出支援を行っている。

三正工業株式会社

設立 1958年
資本金 3,000万円
従業員数 100人
事業内容 車輌、船舶、自動車、航空機、産業用機器、電気機器及び諸金属製品の部品製造、組立および設計・試作、日本とベトナムとの交易促進サポート
URL http://www.sansei-ind.co.jp/vhl/
お問い合わせ電話番号 03-5577-9680

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

月間人気記事ランキング集計期間:11/9~12/8

  • 海外で活躍する経営者のインタビューサイト Japan Business Headline
  • 海外で活躍する日本企業を増やす総合情報サイト ヤッパン号
  • ベンチャー支援のプロフェッショナル
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • INOUZTimes
  • THAI GOOD COMPANY 100

経営者通信メールマガジン

経営者通信注目の企業や、ビジネスニュースなど経営者のための情報をお知らせします。

ご登録はこちら

経営者通信

経営者通信
経営者に贈る、経営者の"経営力"を上げる情報誌

全国の経営者向けに発刊している情報誌です。

経営者通信への掲載・取材希望の方

経営者に直接アプローチできる雑誌、経営者通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

pagetop