―中小・ベンチャー企業は業務のIT化を進めるうえで、どのような点に気をつけるべきですか。
中村:確実に効果が見込める領域にねらいを定めることです。たとえば、定型的なデータ入力や確認など単純作業が大量に発生するバックオフィス業務。財務会計や人事給与などはまさしくこれにあたり、この領域ではすでに多くの企業がIT化を進めています。しかし、同じような単純作業が膨大に発生しているのに、多くの企業が見落としている領域もあります。典型的なのは、交通費などに代表される経費精算業務。ここでは昔ながらの方法を続けている会社が少なくありません。
―経費精算業務のIT投資が進んでいないことで、どのようなムダが生じているのですか。
中村:業務効率を低下させ、人件費を押し上げています。たとえば営業スタッフが交通費を精算する場合、交通機関の運賃をネットなどで調べ、それを1件1件、紙やエクセルに転記して上司に申請。上司は申請内容を確認して捺印し、さらに経理担当は、申請内容に誤りがないか、定期区間が控除されているかなどをチェックしてから、勘定科目への仕訳、会計ソフトへの入力などを手作業で行います。このようにアナログな方法で交通費を精算している限り、定型的なデータ入力や確認など大量の単純作業が発生します。ここにIT投資を行い、経費精算システムを導入すれば、業務の効率化と人件費の抑制が図れます。
―具体的には、どのように効率化できるのですか。
中村:経費精算システムを導入すると、社員は内蔵された乗換案内ソフトに経路を入力するだけで自動的に運賃が入力されます。SuicaやPASMOなどICカードの利用履歴をそのまま読み込む機能もあるので、交通費申請にかかっていた時間を大幅短縮できます。また、とどこおりがちな上司の承認も、外出先からスマートフォンで行えるためスピーディーに。さらに、煩雑な定期区間の控除、仕訳、会計ソフトへの手入力といった作業が自動化されるため、経理業務を大幅に効率化することが可能です。
―経費精算システムを導入して成果をあげた事例を教えてください。
中村:当社の事例をお話ししましょう。以前は私たちも紙やエクセルで経費精算を行っていました。しかし、会社の成長にともない、管理部門の負担が重くなっていたことから、販売管理や人事管理、経理業務などをトータルに管理できるシステムの導入を検討しました。しかし、費用対効果が見えず、多大なIT投資には踏み切れませんでした。そこで、領域をしぼりこみ、改善要望がもっとも多かった経費精算業務に焦点をあて、自社で経費精算システムを開発しました。すると、人件費換算で月間30万円以上のコスト削減が達成されたのです。当時の従業員数は100名規模でした。その後、当社と同様の課題に悩む中小企業を支援するべく、自社システムを改良したクラウドサービス「楽楽精算」を開発。簡単かつ月額3万円からという低コストで導入できる経費精算システムの提供を開始しました。
―これまでの導入実績を教えてください。
中村:導入社数は約300社で、3万人以上にご利用いただいています。利用企業からは「1週間かかっていた経費精算業務が1日でできるようになった」「小口現金を廃止し、5人で担当していた業務が2人でできるようになった」などの反響が寄せられています。
―コスト削減に悩む経営者にメッセージをお願いします。
中村:単純作業からは付加価値は生まれません。経費精算システムを導入することでコスト削減が図れるだけではなく、社員を単純作業から解放できます。結果として社員はコア業務に集中でき、会社の成長にもつながります。「楽楽精算」は無料のお試しもできますので、興味のあるかたは気軽にお問い合せください。