累計経営者300人に取材
経営者の経営力を上げるメディア
著名経営者の経営者インタビュー

クオンタムリープ株式会社 代表取締役ファウンダー&CEO 出井 伸之

崖っぷちの日本を救うのは経営者だ

3月11日に発生した東日本大震災は、企業を取り巻く環境を文字通り一変させた。未曾有の困難に日本企業はどのように立ち向かうべきなのか。リーダーである経営者には何が求められているのだろうか。ソニーCEOを務めた後、企業のイノベーション創造を支援するクオンタムリープを設立した出井伸之氏に話を聞いた。

※下記は経営者通信15号(2011年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―東日本大震災が起こって半年あまりが経ちました。出井さんはこの間の日本の変化をどのようにとらえていますか。

出井:まず注目すべき点は、フォーマルなストラクチャー(構造)と、インフォーマルなストラクチャーの違いがはっきり見えたことです。フォーマルなストラクチャーとは、政府や行政など。対して、インフォーマルなストラクチャーとは、近所付き合いや個人同士のつながりなどです。インフォーマルなストラクチャーについて言えば、このような大惨事にもかかわらず、略奪が起きるといった混乱もなく、人々がみんなで助け合って頑張っている。これは世界中から称賛されています。 一方、フォーマルなストラクチャーを見ると、政府も首相(取材時は菅総理)も、国民から期待された役割を果たしてないと言わざるを得ません。政府に対する国民の信頼も低下しました。特に情報開示が遅れたことから、何か隠しているのかと勘ぐられることも多かった。このフォーマルとインフォーマルがあまりに違いすぎることに、がっかりしている人が多いと思います。

―産業界においては、どのような課題が浮かび上がってきたのでしょうか。

出井:私はこれまでもずっと、「日本の企業には大転換が必要だ」と言ってきました。このままであれば、世界における日本企業のシェアが奪われていくのは明らかだからです。戦後ずっと日本は成長をしてきましたが、それは米国や欧州という市場に対する東洋の工場という位置付けがあったからです。私たちは懸命な努力を続けて「メイド・イン・ジャパン」の評判を高めてきました。しかし、最近では韓国、台湾、中国の製品の品質が追いついてきています。日本企業にとっては、もはや延命措置ではなく、新たな成長戦略が求められます。今回の大震災によって、企業はいよいよその決断を迫られていると言えます。

―その問題にもつながると思うのですが、御社では「アジア・イノベーション・フォーラム(AIF)」を毎年開催されていますね。今年のテーマはどのようなものですか。

出井:「アジア・イノベーション・フォーラム」は、アジアに強い関心を持ち、事業注力する経営者、起業家、研究者、政治家、行政官僚など、新しい考え方を持ったリーダーを対象にしたビジネスフォーラムです。2007年から毎年1回開催し、これまで「アジアのベンチャー支援の生態系」、「アジアの成長 日本の責任」、「日本とアジアの新・共創戦略」などのテーマで、議論や提言を行ってきました。 今年のテーマは「岐路に立つ日本~今こそ次世代のための選択を~」です。「岐路に立つ」という表現だと、あまり危機感がないかもしれません。言葉を変えれば「崖っぷち」です。東日本大震災によるさまざまな課題を抱える中で、今こそ大転換しなければ、日本は生き残れません。抽象論を話し合うのではなく、実際に行動を起こさなければならないのです。政治については、政争に明け暮れている暇はありません。ビジネスについても、ソニーをはじめとする製造業は、目の前の競合企業ではなく、本当の新しい競争を考えるべき。これまでの常識や概念をいったんゼロにして、日本の次世代のために何をすべきかを今こそ考えなければなりません。

―震災からの復興など喫緊の課題もある中で、どのような取り組みが求められますか。

出井:結論から言えば、物理的な復興だけではダメです。阪神・淡路大震災でオフィスビルが壊れた。それをもう一度作り直すというのはいいでしょう。では、東北も元通りに戻せばいいかというと、そうではない。例えば畜産業をされていた方の中には、手塩にかけて育てた家畜を失った人も多い。畜舎を直して、もう一度家畜をそろえればやり直せるのか。そう簡単ではありません。なにしろ、これまで続けてきた生きがいや経験が全部否定されたのですから。原発事故にともなう放射能汚染などの問題もあります。住み慣れた土地を離れざるをえない人もいるでしょう。そのような人がたくさんいる中で、問題をどうやって解決するのか、答えは出ていませんし、そもそも解決策を真剣に考えている人が少ない。 東北は農業や漁業など第一次産業に依存していて、それが急に壊れたわけです。それをどう復興するのかは、東北だけでなく、日本の第一次産業、ひいては日本全体の産業をどうしていくかという大きなテーマに直結します。日本の中における東北をどのような地域にしたいのか、という長期的なビジョンが不可欠です。単に元に戻すだけでは意味がありません。50年後、100年後を見据えて、東北にどのような産業を育てたいのか、教育をどうするのか。東日本と西日本との補完関係やエネルギー政策なども含めて、本気で議論すべきです。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

月間人気記事ランキング集計期間:11/9~12/8

  • 海外で活躍する経営者のインタビューサイト Japan Business Headline
  • 海外で活躍する日本企業を増やす総合情報サイト ヤッパン号
  • ベンチャー支援のプロフェッショナル
  • 注目の西日本ベンチャー100
  • INOUZTimes
  • THAI GOOD COMPANY 100

経営者通信メールマガジン

経営者通信注目の企業や、ビジネスニュースなど経営者のための情報をお知らせします。

ご登録はこちら

経営者通信

経営者通信
経営者に贈る、経営者の"経営力"を上げる情報誌

全国の経営者向けに発刊している情報誌です。

経営者通信への掲載・取材希望の方

経営者に直接アプローチできる雑誌、経営者通信に貴社の取材記事を掲載してみませんか?

pagetop