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IT投資・コンサルティングの経営者インタビュー

オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役 谷尾 薫

IT業界で勝ち続けるオーシャン流反常識経営

営業しない!顧客を選ぶ! 従業員ゼロ!なのに、仕事の依頼が絶 えない理由

※下記は経営者通信2号(2009年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社の経営スタイルがIT業界内で注目を集めています。まずオーシャン流の仕事の受注方法を教えてください。

谷尾:受注方法としては、紹介やクチコミ、Webサイト経由のお問い合わせですね。当社は営業を一切していませんし、コンペにも参加しません。私は現在までお客様に「仕事をください」とか「提案書だけでも出させてください」と言ったことは一度もありません。ありがたいことに、それでも仕事の依頼は絶えない状態です。

―営業をしないというのはユニークですね。その理由は何ですか。

谷尾:理由は2つあります。1つ目は、営業コストを料金に上乗せしたくないから。顧客には成果に直結するコスト以外は負担してもらいたくない。 だから当社は営業コストをゼロにしているんです。2つ目は、無理にサービスを売り込みたくないから。成果を出すためには、顧客の主体的かつ強い意志が必要です。その意志を引き出すためには、こちらから売り込むのではなく、顧客に当社を選んで頂かなければいけません。また、当社は営業しないだけでなく、仕事も選ばせてもらっています。その際の判断基準は“人”。具体的に言うと、顧客の経営陣ですね。システムによって、自社を本気で変革したいと考えている経営陣だけに限っています。なぜかというと、経営陣自らがプロジェクトに深くコミットしてもらわなければ、本当の意味で成果を出すことは難しいからです。もちろん、当社は下請けや、当社に一方的に丸投げするような案件はすべてお断りしています。

―谷尾さんの言う「成果を出す」とはどういうことですか。

谷尾:「成果を出す」とは、企業の課題を解決するということ。具体的には、売上の向上、業務効率の改善などですね。この課題解決のためにヒアリングを徹底的に行い、顧客の今後のビジョン、現状の課題、システムのイメージなどをじっくりと時間をかけて丁寧に聞きます。 ちなみに、ヒアリングでは2つのことを心がけています。1つ目は“顧客の要望を聞かない”ということ。要望通りに作っても、絶対に良いシステムは作れません。なぜなら、顧客はシステムに関しては分かっているようで分かっていないことが多いから。当社のヒアリングは、たとえるなら医師の診察のようなものですね。患者さんが「おなかが痛いので痛み止めがほしい」と訴えたとしても、医師はその言葉通りに薬を処方するわけにはいきません。その腹痛の原因が重大な病気なのか、単なる食べすぎなのか、診察をしてみないと分からないからです。同様に、当社も顧客にあらゆる角度から質問をすることで、顧客の“表面的な要望”を鵜呑みにせず、“本質的なニーズ”をつかむようにしています。そのヒアリングの結果、「システムを新規につくりたい」という要望に対して、「社内の人的リソースの適正配分」を提案したこともあります。また、顧客の要望をすべてシステムに入れるのは投資の無駄につながります。顧客が手作業で苦しんでいることでも、本質と無関係な業務であれば「現状通り手作業でやりましょう」とハッキリ言えることが大切です。  ヒアリングで心がけている2つ目は、“顧客に新しい視点を提供すること”。たいていの場合、顧客は自社のビジネスについては、当事者であるがゆえに客観性が失われ、視野が狭まっています。そこで、当社が情報を常にニュートラルな状態で評価することで、顧客に新しい視点を提供することができます。その結果、当初、顧客が抱えていた要望と、実際に行なった内容がかけ離れた実例はたくさんあります。たとえば、「システムの統合をしたい」という顧客に対して、「ビジネスフローの改善」を実施したこともありました。

―ヒアリングの後、どうやってシステム開発を進めていくのですか。

谷尾:まずヒアリングを行った人間がプロジェクトリーダーとして、そのままプロジェクトに残ります。これは脱「伝言ゲーム」のためです。そのうえで、人手が足りない部分は、プロジェクトに最適なフリーのITプロフェッショナルを招集し、少数精鋭でシステム開発を行います。一般的にシステム屋は自社でエンジニアを雇用していますが、当社は一切雇用していません。さらに、彼らの多くは自らが経営者であるため、経営的視点も備えています。つまり、経営的視点から俯瞰して、お客様の真の意図を汲んだ開発を実現できるんです。

―谷尾さんが独自の経営スタイルを生み出した原点は何ですか。

谷尾:私はこれまで20年近くIT業界で働いてきました。エンジニアや営業マン、コンサルタントなど、あらゆる職種で経験を積んできたんです。その20年の経験の中で、日本のIT業界にはまともなシステム屋が少ないと痛感しました。幸いにも、私が勤務した会社は顧客の成果を追求するまっとうな会社でしたが、他の多くのシステム屋は顧客の成果に無関心でした。結果、システムを作ること自体が目的化し、顧客の役に立たない“ゴミシステム”が量産されていたんです。こんなおかしな状況を野放しにしておけば、いつか業界は衰退していってしまう。私は強い危機感を抱きました。 そこで当社を起業し、IT業界では“反”常識とされる、現在の経営スタイルに行き着いたわけです。今後も顧客の成果を出すため、“反”常識経営を貫いていきます。

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