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株式会社ストライプインターナショナル 代表取締役社長兼CEO 石川 康晴

3度の経営危機が事業戦略と組織文化を磨きあげてくれた

アパレル業界というレッドオーシャンで、「小型店舗を舞台にしたSPA(製造小売業)」という独自のビジネスモデルを確立。売上高1000億円の大台を超え、業界をけん引しているのがストライプインターナショナルだ。同社が「勝利の方程式」を生み出せた背景には、「3度の経営危機からの教訓があった」と代表の石川氏は語る。「成功体験を捨てることで成し遂げた」という事業と組織、両面での進化について同氏に聞いた。

※下記は経営者通信47号(2018年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

社名変更のねらいは「成功体験」を捨てること

―現在の社名を変更し、事業戦略でも大きな変革を打ち出してから約2年がたちました。

 今回の社名変更は当社にとっても、大きな挑戦を意味しています。その挑戦とは、「成功体験を捨てる」ことです。「国内市場」を中心とした「アパレル業界」で「実店舗」を中心にグループ売上高1000億円を達成してきた当社は、多くの評価をいただいてきました。しかし、そんなことで社内が浮かれていては困る。当社が今後、売上高1兆円という次なるステージをめざすにあたっては、国内展開はグローバルへ、アパレルからライフスタイル全般へ、そして実店舗だけではなくプラットフォームも展開し、進化を果たさなければなりません。そのためには、旧クロスカンパニー時代のトップダウン経営を転換し、ダイバーシティ化によってユニークなモノやサービスを開発できる組織文化へと転換を図る必要がある。社内には、短い線や長い線、太い線や細い線、黒い線や虹色の線、いろんな線=個性があっていい。個性豊かな文化で世界をめざす。今回の社名変更にはそんな想いが込められているんです。

―これまで築きあげてきたビジネスモデルには、必ずしもこだわらないと。

 もちろんです。これまでのビジネスモデルをキーワードで表現すると、「低資産」「高回転」「高粗利」です。内装投資をかけずに、在庫を絞り、SPAによってROA(総資産利益率)を高める。つまりは、小型SPAです。ただし、このモデルでは店舗平均売上1億円が限界であり、せいぜいグループ売上高1000億円までの戦略といえます。1兆円をめざすにあたっては、店舗平均売上を10倍に高める戦略です。現在、中国で挑戦している「店舗の大型化」と「オムニチャネル化」の挑戦がひとつのポイントになります。

 従来の「勝ちパターン」の延長線上には、次のステージはみえてこない。「つねに挑戦者であり続ける」という理念をかかげるわれわれにとって、過去の手法にこだわらないことは自然なことです。そもそも、現在の「勝ちパターン」自体が、成功体験を捨てることによって生み出してきたものですから。

「モーレツ文化」から「ピカピカのホワイト企業」へ

―詳しく聞かせてください。

 小型SPAモデルが確立される過程で、じつは当社は3度の経営危機を経験しています。最初の危機は、設立5期目の1999年度。うまく市場とマッチせず、在庫過多に直面しました。そこでSPAへの転換を図りました。2度目の危機は規模拡大期の2002年度。ここでは、それまでのファッションビルから、駅ビルやショッピングセンターへと販売チャネルを転換することで乗り越えました。3度目は2009年度。競合他社による商品の模倣戦略が業績を直撃しました。そこでは、商品の差別化ではなく、プロモーションの差別化を図りました。事業戦略のうえでは、この3度の危機による路線転換によって、現在の小型SPAモデルが確立されたといえます。

 一方で、組織文化の点でも、過去の危機は重要な転機でした。

―どういうことでしょう。

 過去の経営危機で突きつけられたのは、事業路線の課題ばかりではなく、人材の調達、労務管理の課題もありました。成長スピードに人材の調達や管理が追いつかない局面が幾度かあったのです。そこで、事業戦略のみならず、労務管理や組織文化の面でも転換を図ったのです。「モーレツ文化」から「ピカピカのホワイト企業」への路線転換です。

 それまでは当社にはベンチャースピリットが色濃く残っていた影響から、深夜残業が常態化していました。そこで、労働分配率の向上や制度改定のほか、IT投資をはじめとした各種施策によって、現場の業務プロセスを大胆に見直し、働き方を改革していったのです。

女性の管理職比率は残業時間と相関関係にある

―具体的にどのような施策を打ったのですか。

 最初の段階では、トップの私が残業規制の大号令をかけました。それだけで、23時まで続いていた残業は、22時にできました。しかし、大号令ではそれが限界です。その先は、増員で1時間を削減。ICタグや自動釣銭機といったIT投資で、棚卸作業や閉店作業の負荷を軽減し、さらに削減。その後は、「ストライプマトリックス」という独自の手法で、収益性の観点で各自の仕事内容をイチから見直し、必要のない業務を抜本的にリストラ。これでさらに残業を減らすことで、段階的に残業の問題を解消していきました。

 現在では、定時の18時に対し、18時5分にはオフィスが消灯され、6基あるエレベーターを待つ人の列が大渋滞を起こすという状態にまでもっていくことができました。

―数々の施策は経営に対し影響はありませんでしたか。

 短期的には、人件費の上昇や各種投資の影響はありましたが、それ以上の効果を実感しています。最大の効果は、女性管理職比率の上昇です。労務管理の改善を図っていた際、「残業時間」と「女性の管理職比率」をチェックしていましたが、両者には相関関係があることがわかりました。

 ダイバーシティ化で豊かな組織文化を醸成することは、当社が追求している新たな事業戦略の核心を成す価値観。業務プロセスの変革が、単なる労務管理の視点にはとどまらず、組織文化の形成につながったことは大きな意義があったといえます。

―最後に、業務改革によって事業を成長させたいと願う経営者にアドバイスをお願いします。

 明確な意志と決断をもって、業務プロセスや職場環境の改革を実行するなら、たとえそれが短期的には会社の負担につながったとしても、長期的には会社を成長に導くことができます。そしてその決断は、トップである経営者の責任です。そのために私の場合は、過去の成功体験にとらわれず、つねに挑戦者の意識を忘れないように心がけています。

石川 康晴(いしかわ やすはる)プロフィール

1970年岡山市生まれ。1994年にレディスセレクトショップ「CROSS」をオープン。1995年、有限会社クロスカンパニーを設立。1999年にearth music&ecology事業を開始し、SPA(製造小売業)に乗り出す。2002年に株式会社クロスカンパニーへ組織変更。2016年には株式会社ストライプインターナショナルへ社名変更。公益財団法人 石川文化振興財団 理事長も務める。

株式会社ストライプインターナショナル

設立1995年2月
資本金1億円
従業員数3,432名(2017年12月末時点)
事業内容レディス・メンズ・キッズカジュアルウェアの企画・製造・販売・卸、カフェショップ(飲食事業)など
URLhttp://www.stripe-intl.com/

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