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アキツ工業 代表取締役社長 小川 真紀

職場環境の改善と心の教育女性社長が挑んだ「老舗改革」

トロフィーや盾など表彰商品のメーカーであるアキツ工業。老舗企業が陥りがちな保守的で現状維持を優先する閉塞した社風に風穴を開けたのが同社代表の小川氏。女性社長ならではの視点で進められる改革は、従業員一人ひとりの仕事の意識を向上させ、商品の競争力アップと売上アップをもたらした。

※下記は経営者通信42号(2016年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

商品に「心」を吹き込む

―入社のいきさつをお聞かせください。

 当社はトロフィーなど表彰商品を製造・販売する会社で、父が創業しました。一緒に会社を切り盛りしていた母が体調を崩し退社したため、私が入社することになったんです。入社後、しばらくは経理などを担当し、その後、トロフィーに取り付けるプレートの文字を彫るシステムの販売を行う彫刻システム部を担当することになりました。前任者から引き継ぎができなかったので、右も左もわからず、毎日が苦労の連続でした。

 また、販売だけでなく、システムのメンテナンスもしないといけないのですが、社内にノウハウを知る者がいなかったため、機械を共同開発した外部の業者さんに教えてもらって対応。日々の業務をこなしつつ、必死に食らいつくようにして仕事を覚えました。それと同時に、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の徹底という社内改革を開始しました。

―社内改革を始めたきっかけや理由、目的を聞かせてください。

 入社した頃、最初に社内を見た時に、乱雑さ汚さに愕然としたのがきっかけです。いい仕事ができる環境ではない。そう思いました。商品の取り扱いの雑さもショックでした。表彰商品はハレのもの。いただいた方の宝物になるべきものです。乱雑に扱っていいはずがない。そんな心のない仕事では商品に魅力があるはずがありません。そこで、まず入社時に私が配属された彫刻システム部で、とにかく乱雑な部屋の5Sに力を入れました。そして彫刻システム部での改革の効果が現れてから、全社に5Sの輪を広げていきました。

 この5Sを進めるにあたって原動力となったのが、従業員の心の教育。倫理観を養うために、森信三先生の『幻の講話』を輪読し、感想を述べ合うグループワークを実施。また、毎朝、それまで行われていなかった朝礼を実施し、倫理法人会の『職場の教養』という冊子を輪読、感想を発表し合っています。冊子の題材は日常のできごと。職場の5Sもいわば日常のことですので、冊子の輪読は5Sへの意識を高めるのに役立っています。

―改革を始めた直後の周囲の反応はどうでしたか。

 最初は「朝礼なんかしなくても仕事はできる」と反発されました。5Sに関してもそう。それまで乱雑な状態でも仕事をこなすことができたので、必要ないと考える人が多数でした。それでも「とにかくやってみましょう」と粘り強く説得。従業員の意識が変わって、前向きに改革に取り組んでくれるようになり、成果が見え始めるまで2年ほどかかりました。

全国を歩いて想いを伝え長年の経営課題も解決

―どのような成果があったのですか。

 乱雑だった倉庫や工場が整理・整頓され、仕事の効率が格段に上がりました。効率アップにともなった時間的な余裕が生まれ、商品の検品に時間をかけられるようになったため、品質向上を図ることができました。

 また、仕事の効率化にともなって生産性が向上し「全従業員午後7時までに退社」という目標を、ここ1~2年ほどでほぼ達成することができました。

 そして次に着手したのが社外対応の改革です。社内改革によって商品の品質向上、短納期の実現など会社の基盤が強化されたため、社外対応の改革へと進むことができました。

―その内容を教えてください。

 まず取りかかったのが、不良債権の整理や未回収の処理。社外との折衝が必要となるため、私は役員から社を代表するポジション、社長に就任することになりました。20年ほど放置されていた不良債権を掘り起こして整理し、未回収も粘り強く先方にお支払いをお願いして回りました。地道に働きかけ続け、3年ほどでほぼ回収できました。

 次に実行したのが掛け率の見直し。当社は高品質に強いこだわりをもっているので、どうしても原価が高くつきます。そこで、より良い商品を提供し続けられるよう、掛け率の見直しを断行したのです。

 これには社外から大反発が起きました。取引中止を示唆するお客さまも。しかし、ここで妥協せず、全国のお客さまを訪れて、ハレの舞台で使っていただく表彰商品にかける当社の想いを説明して回りました。直接出向いて時間をかけてお話しすることで、お客さまからご理解いただくことができました。

―最後に中小企業の経営者へのメッセージを聞かせてください。 

 当社は改革と同時に、中小企業ならではの従業員同士の家族的つながりを大切にしています。中小企業には中小企業のよさ、強さがあります。今いる人、今あるモノを大切に改革を進めていくことが中小企業にとって重要だと思います。

小川 真紀(おがわ まき)プロフィール

1962年、大阪府生まれ。大谷女子大学を卒業し、大阪職業訓練校講師を経て、1992年にアキツ工業株式会社に入社。2014年に代表取締役社長に就任。創業50年の老舗工場の改革に邁進する。

アキツ工業株式会社

設立1966年3月(設立:1969年4月)
資本金2,000万円
売上高7億円
従業員数40名
事業内容トロフィー・カップ・ブロンズ・楯・メダル、そのほかアワード(表彰)関連商品の企画・制作・卸売、特注記念品・販促品の企画・制作・卸売、名入れ彫刻用「彫刻名人」ソフトおよびシステムの販売、関連部材の販売
URLhttp://www.wininc.jp/

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