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松戸家 代表取締役社長 中本 泰輔

住まいを探すようにお墓を探せるようにしたい

不動産や保険では、ユーザー側に立って、多くの商品のなかから最適なモノをすすめてくれる「窓口ビジネス」がある。それをお墓の分野で始めたのが、平成30年に創業100周年を迎える老舗の石材店、松戸家だ。業界のあり方に一石を投じる同社代表の中本氏に、新事業の詳細と今後のビジョンを聞いた。

※下記は経営者通信42号(2016年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「新しい事業に挑戦せよ」父が遺してくれた資産

―今年10月から「もしものお墓の窓口」を始めたそうですね。どんなサービスなのですか。

 自分にふさわしいお墓を探している人のための相談所です。店舗で相談を受け付け、私たち❝お墓のプロ❞がニーズをヒアリング。提携先である全国1400ヵ所の墓地のなかから、最適なものを紹介します。

 ユーザーが提携先の販売店と契約すれば、その販売店から手数料を申し受ける。ユーザーは無料でなんどでも相談できます。

 たとえば住まいを探すとき、不動産屋からなんの説明も聞くことができず、自力で情報を集めて、現地の販売会場に行くしか方法がなかったら困るでしょう。じつは、これまでのお墓探しは、そんな状態だったのです。多くの霊園のなかから自分にあった霊園を選ぶには、ユーザー自身が新聞折り込みやネットなどで根気強く情報を集め、多くの霊園に自力で足を運ぶしかなかった。

 そんな不便さに私自身が疑問をもったことが、この新事業の立ち上げにつながったのです。

―いままでどこも手がけなかったのが不思議です。

 いくつか似たような試みはありますが、自社と関係の深い霊園に誘導するものが多いようです。古くからの伝統がある業界なので、新しいことを始めるのには慎重な面もあります。

 私の場合、家業だった会社に入るまでは大手保険会社に勤めていました。父の急逝で社長の座を受け継いだときは、まだ20代。そのため、業界の常識に疑問を感じ、「ユーザーのためになることなら、どんどん新しいことに挑戦しよう」と思えたのかもしれません。

 それに父も「オマエの代になったら、新しいことに挑戦しなさい」という考えでした。そのために、自分が社長の間は事業を拡大せず、利益を不動産購入に回した。私が社長になったとき、それを担保に資金を調達し、「新しい事業を始められるように」という心配りをしてくれたんです。

社員の約半数が女性に企業風土を刷新した

―中本さんが会社を継いだ後、新しいことに挑戦できる企業風土をどうやってつくっていったのですか。

 3つあります。1つ目は事業実現までのスピードを上げたこと。2つ目がトップダウンの組織からボトムアップ型への転換。そして3つ目が若手や女性に活躍の場を与えることです。

 とくに、3つ目は石材店ではめずらしいでしょう。男性中心で「10年現場で仕事をして、はじめて一人前」という世界。しかし、大きく業態を変化させるには、未経験でも若い人材を中心に組織編制を行う必要があります。

 また採用面でも、売り手市場のいま、男性を優先して採用する傾向にある大企業に対し、私たち中小企業が優秀な人材を確保するためには、女性に着眼することが重要。そこで、女性が働きやすいように、より出産・育児によるドロップアウトから職場復帰がしやすいワークシェアリングの推進や労働環境の整備を行っています。

 この結果、平均年齢32歳、正社員の半分以上が女性になりました。そんな若いチームでひんぱんに小さなミーティングを開きながら、意見を出しあうと同時に、意思統一をはかっています。いずれは、このミーティングを通して社員から新しいアイデアがどんどん出てくるようになるといいですね。

―新事業の将来の見通しを聞かせてください。

 「お墓の窓口」経由での契約を拡大することができれば、業界が大きく変わるかもしれません。いままでは、石材店が自社の製品を直接、ユーザーに販売していた。ほかの業界と違って販社に特化した存在がない。コンビニやスーパー、量販店といった販売に特化したプレーヤーが、ユーザーの声をバックにメーカーへモノをいう。そんな機能がなかったわけです。

 「お墓の窓口」を発展させて、この業界で私たちが販社としての影響力をもてたらいいですね。

一緒に暮らした人のため手をあわせにくる場所を

―日本人の「お墓離れ」が進んでいるといわれています。業界の衰退は避けられないのではないでしょうか。

 いいえ、単純にそうとはいえません。日本人が「いまは亡き家族を供養したい」と思う、その気持ちはまったく変わっていません。ただ、供養の対象が「先祖代々」という意味での家族ではなく、「一緒に暮らした人」という意味での家族になってきているのです。

 これまでは、そうした社会のニーズの変化に対応した商品がなかったので、「お墓離れ」といわれるような現象が起きていた。でも、アイデアしだいで、ニーズにこたえる商品を提供することは可能でしょう。

 一緒に暮らしていた家族が亡くなったとき、その人のために手をあわせる場所は、いつの時代になっても必要です。私たちが新しい発想で、新しいニーズにこたえ、その場所を提供できる会社になっていきたいですね。

中本 泰輔(なかもと たいすけ)プロフィール

1984年、東京都生まれ。2007年に慶應義塾大学商学部を卒業後、第一生命保険相互会社(現在は株式会社に組織変更)に入社。同社系列のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所への出向、大阪での法人営業を経て、2012年に株式会社松戸家に入社。先代社長である父親の急逝を受けて、2013年に株式会社松戸家の代表取締役社長に就任。地域に愛される霊園の開発や、新しい時代にふさわしい供養のあり方を追求。伝統的な業界に新風を吹きこんでいる。

株式会社松戸家

資本金 1,000万円
従業員数 約40名
事業内容 墓所・墓石の販売、仏壇・仏具の販売、不動産賃貸
URL http://www.mazdoya.co.jp/

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