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人事・労務の経営者インタビュー
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株式会社あしたのチーム 代表取締役社長 高橋 恭介

「正当」を求める従業員が納得する人事評価制度

※下記は経営者通信37号(2015年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

人事評価制度とは単なる査定で終わるものではない。従業員一人ひとりのモチベーションを上げ、能力開発を促して自己成長につながるツールでなければ意味がない。その結果、人事評価制度が企業業績の向上をもたらす。じつは、そうした制度を低コストで簡単に導入して運用できる方法がある。クラウド型の人事評価システムで500社を超える企業の成長をサポートしてきた、あしたのチーム代表の高橋氏に具体的な方法を聞いた。






従業員の本音は一時金よりも基本給のアップ

―有効求人倍率は依然高く、転職希望者にとっていまや完全な「売り手市場」です。中小・ベンチャー企業が従業員をひきとめ、定着率を高めるにはどうすればいいのでしょう。

 従業員の満足感を仕事のなかで醸成していく必要があります。一般的に従業員の退職理由は「人間関係」「給与・賞与」「労働条件」への不満があると考えられています。しかしそれだけではありません。辞める理由の根底には「会社から正当に評価されない」という感情があることが、退職者に実施した調査から浮かび上がってきました。

 米の心理学者、ハーズバーグによるモチベーションの研究でも、仕事の達成感や自己成長、会社・関係者からの承認などが従業員に満足感を与え、働く動機づけになるとされています(右図参照)。

―満足感を上げるだけで従業員の定着率は高まるものですか。
 もちろん、成果に応じた報酬も必要ですね。ただし、問題があります。社員旅行、レクリエーションの実施、福利厚生の充実といったすぐに廃止できるものや、賞与など一時金の支給を報酬にしようとする経営者が少なくないことです。経営者としては固定費の増大は避けたい。だから一時的な支出で処理しようとするのです。でも従業員の本音を聞くと、こうしたことにおカネをかけるのなら「基本給を上げてほしい」という声が圧倒的です。

 ですから、従業員の定着率を高めモチベーションを上げさせるためには「がんばれば基準内賃金が上がっていく」という人事評価制度が必要なのです。評価に公平性と平等性があれば、賃金が上がった従業員もそうではない従業員も納得できます。これが普遍的な動機づけにつながるのです。

―具体的にはどのような評価制度にするべきでしょう。

 部下が目標を自己設定し、上司が目標への進捗を管理しながら伴走。このとき設定する目標を具体的な行動レベルに落とし込むことで、日々の評価基準が明確になり、経営者の主観的な評価からも脱却する「絶対評価」が生まれます。これを報酬と連動させる仕組みにするべきです。

 そのためには日々の業務でPDCAサイクルを回せる仕組みをつくり、常にモニタリングして改善を続けること。こうした人事評価制度の運用を旧来のように紙やエクセルでやろうとすると途方もない手間がかかります。だからこそワークフローをシステム化し、人事評価をWeb上で一元管理するのです。つまり、クラウド型の運用システムが非常に便利です。

クラウド型人事評価で作業負荷が劇的に減る

―旧来型とどう違うのですか。

 クラウド型であれば、目標進捗への添削や評価結果の分析をシステムにデータマイニングすることで、作業負荷とコストを劇的に削減できます。さらに人事評価制度をアウトソースされた専門家が、クラウド上で情報を会社側と共有するため、情報管理を効率化し漏えいを防止できます。

 2016年1月から運用が始まるマイナンバー制度について、自社のサーバーで管理をすることにリスクを感じている企業は多いようです。信頼できるデータ管理会社のクラウドサービスに乗せたほうが合理的であり、クラウドシステムによるデータの運用・管理の重要性への認識は一気に広がるでしょう。

―人事評価制度の導入について経営者が留意すべき点は何でしょうか。

 人事評価とは単なる査定ではなく、社員の能力開発と社内の人材育成につながるツールでなければなりません。数値の結果だけを処遇や給与に反映させるという限定的な査定のみを人事評価制度と呼ぶのではなく、多面的な目標設定を上司と部下できちんと行い、それを達成しようとするプロセス全体が本来の評価制度だということを忘れないでください。

 目標を自己設定することで社員の日々の行動が変わり、成果が出ることで評価され、給与が上がる。社員の意欲が高まり生産性が上がることで企業の業績がアップします。つまり、目標と評価の仕組み、得られる報酬をすべて開示した瞬間に、社員は変わります。

 中小・ベンチャー企業は社員個々の力量に事業の成果が左右される比重が大きい。ですから、評価制度を導入することの影響力は絶大。会社の業績を上げるための最終兵器が人事評価制度であることをぜひ知っていただきたいですね。

あしたのチーム支援事例/創業50年超のサービス会社

2014年に創業から50期の節目を迎え、求人広告制作や採用支援ビジネス・集客・ブランディングの領域で成長を続けるトーコン ホールディングス。同社はリーマン・ショック以降、成果にウエイトを置いた評価制度を運用。社員のがんばりもあって業績も安定してきた。そして次なるステージを迎えるにあたり、新たに導入したのが経営理念を行動目標に紐付ける、あしたのチームの人事評価制度。その結果、組織全体で意識が高まり会社は新たなフェーズへと歩を進めることができたという。理念浸透を組織の成長に直結させたプロセスを同社代表の原田氏と、事業会社代表で制度導入の実務を担当した堀川氏に聞いた。

結果に大きくフォーカスした「評価制度の限界」

―人事制度を刷新しようと考えた理由はなんだったのですか。

原田:それまでの成果主義に大きくウエイトを置いた人事評価手法に限界を感じたことです。リーマン・ショックを乗り切るために、社員の営業成績に応じて半年で基本給が5万円もアップダウンする成果主義型の評価体系を構築。一定の効果は出ました。でもその後、社員も増え多様な人材が働くようになって、不安・不満の声が出てきたのです。

 求人事業はとくに景況感に大きく影響を受けます。いわば「事業環境・顧客の状況によっても結果は左右される」。だからこそ、変化に対応するために、一人ひとりの日々の行動に注目することが大事です。成果のみにフォーカスして高い目標を課し続けるのは、会社としても大きなリスク。疲弊する社員が増えてしまうのです。

―それでどうしたのですか。

堀川:人事評価制度の変更を決断しました。もともと変えるフェーズだとは思っていたのです。というのも2014年に3事業部を事業会社としてホールディングス化することが決まっており、新しい社員も増える。グループ全体に「お客様の事業成功に伴走する」という企業理念をしっかり共有させる必要性を強く感じていたからです。

―あしたのチームに人事評価制度の構築を依頼した理由を教えてください。

原田:当社の大事にしていることは理念・ビジョン・行動指針として明文化しています。私はそれを愚直に行うことがお客さまに選ばれることだと考えています。環境・商品が変わっても大切なことは変わらない。これは社員にいつも伝えています。だからこそ、人事評価制度をとおしてそれらの浸透が図れる仕組みをつくりたかったのです。

 あしたのチームの評価制度はコンピテンシー(行動目標)を社員みずからが設定し、それが評価に紐付きます。行動目標の上には企業理念と行動規範がある。大事なことを社員に伝えるには最適の仕組みだと思ったのです。

堀川:私は会社としてのコンピテンシーづくりをする際に、まずお客さまに選ばれ続けているトップ営業に、その行動についてヒアリング。それを分析しました。長いスパンで成果を出し続けられる営業は、理念に沿った行動ができている人材だからです。そのうえで「会社が大事にしていることをメンバーに伝えるにはどうすればいいのか」を私も含めた役員数名で考えました。その結果、「誠実さ」「徹底性」という2つのコンピテンシーに言語化できたことが非常に有意義でした。この過程で「お客さまに価値を伝える営業としての行動にはこれが必要なんだ」と、行動規範を整理できたのも大きな収穫でした。

社員の純増に不可欠な人事評価制度

―コンピテンシーを定めたことで会社ではどのような変化がありましたか。

原田:マネジャーとメンバーの会話の中身が変わりました。これまでは営業数字など実務の話しかしなかったのが、「あいさつは元気にしようよ」「営業だってチームワークが大事だ」「書類の提出期限は守ろう」など仕事に対する取り組み姿勢に関しても会話が生まれるようになりました。なぜあいさつに対しての会話があるのかといえば、企業理念に関係するからです。私は、社内でのあいさつがきちんとできない営業は、お客さま先でもその姿勢が知らず知らずのうちに出てしまうと思っているんです。これは「お客様の事業成功に伴走する」という理念に反し、「誠実」でもありません。だからマネジャーはあいさつが悪ければそれを指摘するのです。

堀川:原田がいま言ったことは日常的な行動として浸透。そしてそれがマネジャーの育成にもつながりました。評価を的確に行うためにはメンバーとのコミュニケーションが重要。つねにメンバーを見て、自分が成長しなければ面談時の指導など行えません。評価制度を入れることで中間層の意識が上がり、組織全体にプラスの効果が波及しました。メンバーは結果だけでなくプロセスで評価されることを非常によろこんでいます。

―人事評価制度について、中小・ベンチャー企業の経営者へのメッセージをお願いします。

堀川:私たちはお客さまの会社の社員数が純増されることを重視しています。人材を獲得してもそれと同じ人数が辞めていくのでは意味がありませんし、どんどん成長していってほしいのです。そのためにも採用力を上げて定着率を向上させる人事評価制度を活用してほしいですね。

原田:経営者が社員に伝えたいメッセージは必ずあります。それを浸透させるのは本来時間のかかる作業。でも、理念を行動目標に落とし込んで評価の対象とすることで、驚くほど早く現実化できると感じています。

あしたのチーム代表が語る /人事評価制度コラム

有効求人倍率が0.6〜0.7だったデフレ時代。企業で待遇に不満をもっていた社員も辞めるに辞められない状況が続いていた。しかし景況感が好転し、有効求人倍率が大きく改善した今、より良い職場を求めて転職を考える人材は間違いなく増えている。雇用条件に優れた大企業や、破格の条件を提示する企業に対峙して、中小・ベンチャー企業が人材を確保できる方法を紹介したい。

バブル期と同様の本格的な人手不足時代に突入

 厚生労働省が2015年10月に発表した8月の全国有効求人倍率は、前月比で0.02ポイント増の1.23倍に(図1参照)。これは1992年1月以来の高水準で、バブル崩壊前の値とほぼ同様です。東京都に至っては、全国最高値の1.82倍でした。今や労働市場が「買い手市場」から「超売り手市場」へと完全に移行し、本格的な人手不足時代に突入したことを示しています。

 アベノミクスによる賃上げによって、激しい人材流動化の時代が始まった今、従業員はより良い労働環境を求めて職場を移ることをためらわなくなるでしょう。

 人材の採用力や定着率に無頓着な経営者、超売り手市場という現実を実感していない会社は、人手不足によって廃業に追い込まれるリスクを負うことになります。とりわけ知名度で大手企業に勝てない中小・ベンチャー企業にとっては、「人的倒産リスク」が増大する深刻な時代に突入したことを重く受け止めなければいけません。

 実際、離職率の高さは深刻です。「中小企業・小規模事業者における就業者の離職率(3年目)」をみると(図2参照)、中途採用においては約3割が、新卒採用においては約4割が離職しており、とりわけ小規模事業者の新卒採用においては約6割が3年以内に離職しています。

 定着率と採用力を上げて人が辞めない会社にするための正しい投資とは何かを、今こそ真剣に考える必要があります。

日本の労働生産性はなぜ低い?「日本人は無能なわけではない」

 それを考える参考になるデータがあります。OECD加盟の先進34ヵ国中で「日本の労働生産性は極めて低い」と指摘されていることです(図3参照)。実際、主要先進7ヵ国では1994年から20年連続で最下位です。しかし日本人は決してパフォーマンスが低くて無能なわけではなく、これは日本の職場での労使の関係性に起因しているのです。 従来の日本の職場では、たとえば月に170時間で終わる仕事を200時間もかけて行うような状況がありました。

 なぜそんなことをするのか。理由は2つです。1つは30時間分の残業代がもらえるから。そしてもう1つは、余分に30時間働いた方が上司に評価されるからです。必然的に企業の労働生産性はダウンしてしまいます。

 しかし2016年4月から社員に年5日分の有給休暇を取らせるよう企業に義務付ける方針が厚生労働省から示されるなど、働きすぎを防止する方向に時代は変わりつつあります。くわえて、2019年4月からは労働法の改正により、60時間超の残業代が実質値上げに。しかも最低賃金は全国平均で18円上がる見込みで、みなし残業代への影響は必至です(図4参照)。

 こうした変化のなかで企業が業績を上げていくためには、就業時間内での従業員のパフォーマンスを上げ、労働生産性を高めていくしか手段はありません。個々のパフォーマンスを上げていくために必要なのは、目標管理に紐付く従業員への人事評価制度の導入です。

 未払い残業問題や不当な長時間労働が日常化するブラック企業に人が集まらず、離職が進むのは当たり前です。そして正当な賃金・給与を決定するための人事評価制度をもたない企業は、ブラック企業と位置づけられても仕方ありません。それほど人事評価制度というファクターが企業経営において重要性を帯びてくることは間違いないのです。

 人事評価制度の運用によって有能な社員の離職を防ぎ、その結果、企業業績を格段にアップさせることが可能だということを、経営者の方々にはぜひ知ってほしいですね。

高橋 恭介(たかはし きょうすけ)プロフィール

1974年、千葉県生まれ。東洋大学経営学部を卒業後、興銀リース株式会社でリース営業と財務にそれぞれ2年間携わる。その後、設立間もないベンチャー企業であったプリモ・ジャパン株式会社に入社。当時、数十名だった企業を取締役副社長としてブライダルリングシェア1位、従業員数500名規模まで飛躍させる。人事にも深く携わり、年間数百名の採用面接を実施。台湾子会社の代表を務めるなど、ベンチャー企業の成長を最前線で体感する。2008年に株式会社あしたのチームを設立し、代表取締役社長に就任。

株式会社トーコン ホールディングスプロフィール

設立/1966年5月 
資本金/1,000万円 
売上高/39億5,790万円(2014年9月期決算:連結)
従業員数/201名 (2015年4月現在) 
グループ会社/株式会社トーコン ヒューマンリソース、株式会社トーコン クリエイティブ、株式会社トーコン マーケティング
事業内容/総合広告代理業、求人広告制作・採用支援、採用クリエイティブ 
URL/https://www.tokon.co.jp/

株式会社あしたのチーム

設立2008年9月
資本金2億6,810万円(資本準備金含む)
売上高7億円(2016年3月期見込み)
従業員数65名(2015年10月現在)
事業内容あしたの人事評価クラウド「コンピリーダー」、あしたの人事評価運用支援、あしたの人事評価制度構築コンサルティングなど
URLhttp://www.ashita-team.com/
お問い合わせ電話番号03-4577-3923(受付時間 平日9:00〜18:00)
お問い合わせメールアドレスinfo@ashita-team.com

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