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グローバルの経営者インタビュー
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マイツグループ CEO 池田 博義

ヒトとカネの準備を万全にしつつ チャレンジ精神をもって出よ

「JINS(ジンズ)」のブランド名でメガネ店を展開するジェイアイエヌ。「超軽量」「眼の健康をサポート」といった新機軸の商品を開発、中国でもブランドを浸透させつつある。そこで今回は、同社代表の田中氏に対談を依頼。中国で日系最大手の経営コンサルティング会社を擁するマイツグループ代表の池田氏と、アジアで成功するポイントなどを語りあってもらった。

※下記は経営者通信36号(2015年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

進出から3年で黒字化

―ジェイアイエヌは2010年末に中国に進出し、いまでは50店舗を展開しています。どんな戦略のもとに出ていったのですか。

田中 「まずやってみよう」と。グローバル展開はつねに頭にあったのですが、どの国にどのように出るかを固める前に、おつきあいのあった大手流通会社から「一緒に進出しよう」と打診があった。

 その流通会社の事情で、東北部の瀋陽に1号店を出すことに。正直、不安でした。でも、私はそれまでもずっと「やってみなければわからないのだから、まずやってみる」という精神で商売してきた。そのときも、とにかく一歩踏み出してみようと。

池田 初進出先が瀋陽というのは、めずらしいケースです。まず台湾や香港に進出、そこでノウハウを得てから上海・北京といった中国の中心都市へ行く企業が多いですから。

田中 当初は苦労の連続でした。なにしろ気温がマイナス30度にもなる。想定外の低温にさらされ続けるために商品のメガネのフレームに不具合が出て、対策に奔走したり。そんな改善の工夫を重ねたうえで、上海に進出。そこから業績が急速に伸び、中国1号店を出してから3年後に本社経費を含めて黒字化を達成できたのです。

池田 たいていは黒字化に5~6年かかるもの。「7年たっても赤字」という例もざらにあるなかで、3年は非常に早いといえます。

―上海で成功できた要因はなんでしょう。

田中 ランドマークタワーである「上海環球中心」に出店したことが大きかった。中国では、そうしたわかりやすいカタチでブランドのパワーを実感してもらうと効果的です。「このビルのテナントになれるぐらい、勢いのあるブランドなんだな」と。

 すでに中国でブランドを確立している日系の大手百貨店に出店したことも、同じ理由で効果的でしたね。

安易な合弁相手選びは禁物

―マイツグループはアジア進出企業を支援しています。進出をめぐる最新事情を教えてください。

池田 より独自性のある戦略を立てることが不可欠になってきていますね。当社が運営する会計事務所系のネットワーク「マイツグループ中国・アジア進出支援機構」では、16ヵ国34拠点を有し、約3500社の日系企業をサポートしています。

 これまで、中国は毎年2ケタの伸び率で経済成長していました。単純化していえば、進出すれば2ケタの伸び率で売上を上げることが見込めた。しかし、いまは1ケタの成長率に減速。進出企業にとって、これから本当の企業経営が始まるのです。

 戦略の優劣が、進出先で成功できるかどうかの決め手になる。その点、専門店の高級メガネか100元ぐらいの格安メガネしかなかった中国で、独自のブランド戦略で地歩を築きつつあるジェイアイエヌさんは、よい例といえます。

田中 私たちは自分たちだけで意思決定できることを重視していたので、現地企業との合弁は避けました。進出企業の多くが合弁をめぐって苦労していると聞いているので、正しい選択だった と思います。

池田 その通りですね。合弁するのか、するのであれば相手をどこにするのか。この選択は慎重にするべきです。日本人は国営企業を「国のお墨つきがある」と信用してしまいがちですが、国営企業や中国政府の推薦する企業よりも、欧米に留学した起業家が経営するベンチャー企業のほうがいい。私たちと同じルール・考え方で経営しているからです。合弁契約を結ぶ前に信用調査を徹底的にやるべきで、それができないなら専門家に相談してほしいですね。

―ほかに賢明な戦略のもとで成功したケースはありますか。

池田 たとえば大手空調機器メーカー。高級品は自社工場でつくり、ボリュームゾーンとなる汎用品は中国企業との合弁で生産。汎用品製造のための技術を合弁相手に供与して低コストでの生産を実現しつつ、高級品をつくるコア技術は確保する戦略です。

 また、ある中堅メーカーは、中国経済の発展にあわせてビジネスモデルを柔軟に変えています。当初は、中国に工場をもうけ日本へ輸出していました。その後、中国が豊かになると中国向けにも販売を開始。そして労働コストが上昇したいまはベトナムなどに工場を移転、中国に残した販売会社がアセアン地域でつくった製品を売っています。

ビジョン浸透で離職を防ぐ

―戦略を実行するうえで重要なポイントはなんでしょう。

田中 現地に送り込む人材です。私たちの場合、日本での1号店の立ち上げから私と苦労をともにしてきた事業部のトップを中国の責任者にすえました。そのぐらいの立場の人間を送り込まなければ、現地の人間に「すぐ撤退するつもりでは」と疑われてしまいます。

池田 「メガネにファッション性を取り入れる」という発想は、中国人にとって新しいもの。現地の人材は、この斬新なビジネスについて、いまはウオッチしている段階だと思います。この期間の責任者は日本人のほうがいい。

 でも、現地人材がこのビジネスについて習熟し、中国人にあった新しい商品のアイデアが出せるようになってきたら、彼らにもなんらかのカタチで責任分担させたほうがうまくいくかもしれませんね。

―管理職以下は中国人だと思います。マネジメントでの工夫を教えてください。

田中 ビジョンを浸透させることです。年に1回、現地の全従業員を集めて経営陣がビジョンを説明する機会をもうけています。そうすることで離職率を大きく下げることができました。

 当初は現地人材がなかなか定着しなかったのです。「中国人は100元でも給料の高いほうに転職する」と聞いていたので、最初はそんなものかと思ったのですが、続けていくうちに、それは違うと気づいた。会社の将来が見えないことが、転職する最大の理由なのです。

池田 ええ。中国人はよく「発展的空間」という言い方をします。「自分が伸びる場所」という意味です。自己成長できる会社なのかどうかで勤務先を評価しているんです。「100元の違いプラス、発展的空間かどうか」が転職する動機になっています。

―今後の海外展開について、どんなビジョンを描いていますか。

田中 中国については、まず100店舗を達成すること。いま中国のメガネ市場は日本の約3倍、1兆2000億円程度あるとみています。ですから100店でも少ないくらいです。もっと増やしていきたいですね。東南アジアの新興国市場にもいずれは打って出るつもりです。

 今年4月にはサンフランシスコに米国1号店を出しました。来店客がメガネを注文すると、カウンター越しに自分のメガネが加工されていく様子が見えるのが好評で、盛況です。米国市場では大都市に旗艦店を出し、ECで拡大していくのがいいかもしれないですね。

国内で成功してから進出せよ

―アジア進出について、中堅・中小企業の経営者にアドバイスをお願いします。

田中 最悪の事態を想定して準備しつつ、「やってみなければわからない」の精神でチャレンジしてほしいですね。準備で必要なものはヒトとおカネの2つ。

 ヒトにかんしては、優秀な人材を送り込むこと。そういう人材はたいてい、現地で水を得た魚のように活躍してくれます。行って1年2年たつと「帰ってきたい」っていう人がいないぐらい。ビジネスの可能性があるし、国としての成長のエネルギーを感じて、やる気が出るのでしょう。

 おカネにかんしては、自己資本にバッファーをもたせて多めに用意しておくべきです。追加投資が必要な場面が必ず出てきますが、借り入れも日本からの投資も時間がかかるからです。

池田 日本でヒト・モノ・カネ・情報を動かして、事業を軌道に乗せた後で進出してほしい。「国内市場が縮小しているから業績が伸びない。しかし、成長中のアジアならもっと売上が上がるはずだ」などというのは間違いです。

 日本市場での試行錯誤を経たうえでの成功体験を海外市場に応用する。それが成功の近道。低成長の日本で成功したモデルなら、世界のどこでも通用します。グローバル化のためにも、まず国内で成功してほしいですね。

池田 博義(いけだ ひろよし)プロフィール

1948年、京都府生まれ。1971年に同志社大学経済学部を卒業。1975年、公認会計士資格取得と同時に池田公認会計士事務所、税理士池田博義事務所を開設。1987年に株式会社マイツを設立し、代表取締役に就任。1993年に中国・上海に進出。翌年に上海代表処を開設し、首席代表に就任。中国・アジアに約3,500社の日系企業を抱える会計事務所系コンサルティング会社の最大手にまで成長させる。マイツグループCEO、税理士法人マイツ代表社員。

株式会社ジェイアイエヌ 代表取締役社長 田中 仁(たなか ひとし)プロフィール

1963年、群馬県生まれ。1988年に有限会社ジェイアイエヌを設立し、代表取締役社長に就任。1991年に株式会社へ改組。2001年にメガネ市場に参入。2006年に大証ヘラクレス(現・JASDAQ)に上場。2013年に東証1部上場。これまでになく軽量でおしゃれなメガネ「Airframe」や健康な眼のサポートという新しい付加価値をもつメガネ「機能性アイウエア」、世界初・自分を見るアイウエア「JINS MEME」(2015年10月発売予定)など、業界の常識を打ち破る商品やサービスを開発し続け急成長を果たしている。

株式会社ジェイアイエヌプロフィール

設立/1988年7月 資本金/32億247万5,000円
売上高/361億5,034万2,000円(2014年8月期:連結)
従業員数/2,453名(2014年8月末現在:連結)
事業内容/アイウエアの販売・ファッション雑貨の卸小売り事業など
URL/http://www.jin-co.com/

マイツグループ

設立 1987年11月
資本金 1億円
売上高 27億円(2014年12月期)
従業員数 約350名(2015年1月現在)
事業内容 会計コンサルティング事業、会計監査、M&Aコンサルティング、税務コンサルティング、人事労務コンサルティング、企業進出コンサルティングほか
URL http://www.myts.co.jp/

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