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株式会社関通 代表取締役 達城 久裕

軽トラック1台から総合物流企業を創った男

関通代表の達城氏は叩き上げの関西商人だ。軽トラック1台から商売を始め、これまでに4度もの事業転換を成功させてきた。その成功の背景には、謙虚な経営姿勢と徹底した顧客へのヒアリングがある。現在、関通はネットショップ向けの配送センター代行事業を展開し、不況下でも順調な成長を続けている。今回は代表の達城氏に、変化を恐れない独自の経営論を聞いた。

※下記は経営者通信4号(2009年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―まず御社の事業内容を教えてください。

達城:配送センターの代行業務を行っています。当社が代行しているのは、お客さまの商品の保管、検品、封入、梱包、ラベル貼り、出荷など。独自の在庫管理システムを構築し、5万種類以上の商品を管理しています。また、※エンドユーザーさんへの商品の配送は、大手物流会社さんにお願いしています。

 当社のお客さまは、ネットショップが中心。160社以上いらっしゃいます。「楽天市場」や「ヤフーショッピング」など、大手ECモールに出店している企業さんが多いですね。おかげさまで、不況下でも新規顧客が順調に増え続けています。

―「配送センター代行」について、もう少し教えてもらえますか。

達城:小規模のネットショップは、自社で専用の商品倉庫を保有していません。配送前の商品は、自社のオフィスにうず高く積まれているんです。そして、配送業務を自社の社員が直接行っています。しかし、商品が売れ始めると大変です。社内の限られたリソースでは配送業務が回らなくなります。商品を保管しておくスペースも足りなくなる。とは言え、自社で専用の倉庫を持ち、新たに社員を雇用すれば固定費が増えてしまう。

 そんなお客さまが当社の代行サービスを利用しています。当社は東大阪に延べ床面積5500坪以上の倉庫を保有しており、商品を低価格でお預かりしているんです。エンドユーザーさんから商品の注文がなければ、配送関連の作業は発生せず、料金も発生しません。さらに倉庫の月額費用がゼロ円の料金プランもあります。つまり、それまで固定費だった配送業務を変動費に変えられるんです。

―もともと、御社は小さな運送会社だったと聞いています。どうやって、現在の「ネットショップの配送センター代行」というビジネスにたどり着いたのですか?

達城:目の前のお客さまのニーズに応え、内なる変化を続けた結果です。私は21歳の時、軽トラック1台で運送業を始めました。当時の商売は順調でした。わずか1年で、トラック10台くらいまでポンポン増えました。でも、だんだん運転手のマネジメントが難しくなってきた。さらなる規模の拡大に限界を感じたんです。そこで、違う事業を始めようと考えました。

 次に始めたのが、内職の請負業。1984年、創業3年目の頃でした。きっかけは、めちゃくちゃシンプルですよ。当時、自社トラックの駐車場として、倉庫を借りていました。でも、トラックが走っている間、倉庫はずっと空っぽ。朝から晩まで空っぽです。この土地を遊ばせておくなんて、もったいない。

 そこで、いろんなお客さまに「倉庫で何かできることはないですか?」って相談したんです(笑)。当時、お客さまの中に印刷会社さんがいらっしゃいました。その印刷会社の社長に聞くと、細かい手作業が大変だとおっしゃる。チラシを封入したり、ラベルを貼ったり、印刷の訂正シールを貼ったり。「そんなん儲かるんですか?」と聞いたら、「儲かるから、やった方がいい」と言われた。そこで空いた倉庫を利用して、印刷会社の内職請負を始めたんです。実際、けっこう儲かりましたね。この事業が軌道に乗ったので、運送業はキッパリ辞めました。

―その後、御社は1999年から現在の事業をスタートしました。当時、EC(ネット通販)のマーケットはまだ小さかったと思います。なぜ、その時期からネットショップの配送センター代行を始めたんですか?

達城:当時、当社は内職請負を進化させ、「物流加工」を行っていました。単に内職を請け負うだけでなく、商品の在庫管理や配送作業まで行っていたんです。ISOも取得して、評判は良かったですね。しかし、私は危機感を抱いていました。当時のお客さまは中小の印刷会社さん。今後、印刷業界全体が苦しくなるのは確実だった。先行きの厳しさは、日々のお取引の中で強く感じていたんです。

 そこで1998年頃から、新しいお客さまを探すようになりました。そして、ネットショップの存在を知り、ビジネスチャンスを感じたんです。なぜなら、多くのネットショップは物流が効率化されていなかったからです。ビジネス経験の浅い経営者が多く、物流の上手なアウトソーシング法も知らなかった。また、ECの市場は今後必ず拡大していくと感じました。そこで、当社が積極的にアプローチして、徐々に契約を増やしていきました。

変化を続けながら、企業を成長させるポイントとは

―御社は創業から3回以上、事業転換をしているわけですね。変化を続けながら、企業を成長させるポイントはなんですか。

達城:大きく分けて4つあります。1つ目は、常に驕ることなく、謙虚にお客さまの声を聞くこと。お客さまに聞きまくるんです。「ウチ何すればいいですか?」って。たとえ業績が好調な時でも、危機感は常に持っています。謙虚な姿勢で聞きまくれば、お客さまは大切なことを教えてくれる。そして、お客さまの言葉に独自の工夫を加えて商売をすると、うまくいきます。

 2つ目は、現場を丁寧に観察すること。新しいアイデアは現場から生まれます。社員とコミュニケーションをとるためにも、私は毎週現場に行っています。

 3つ目は、ライバルに勝つ努力を続けること。自社の強みを明確化し、その強みを磨き続ける。経営者はお客さまとライバルのことだけを考えればいい。ものすごくシンプルなんです。

 4つ目は、捨てること。今までの常識、成功体験を捨てるんです。何かを捨てなければ、変化することはできません。これまでに、私は「変化できずに倒産した企業」を山ほど見てきました。だから「変わらないこと」の危険を常に感じています。変わらなければ、潰れるんです。

―なるほど。では、御社が顧客から支持を集めている理由を教えてください。

達城:きめ細やかな対応が評価されているのだと思います。当社は単にネットショップの商品をお預りして、エンドユーザーさんに届けているだけではありません。

 たとえば、「配送完了メール」をエンドユーザーさんに送る。「ただいま配送センターを出発しました。○日後にお届けします」といった内容のメールです。突然に商品を届けるのではなく、事前に到着予定日をお知らせするわけです。その文面もお客さまと相談し、カスタマイズしています。

 また、返信用の追加注文ハガキにあらかじめ、本人の住所を印字します。するとエンドユーザーさんの手間が省け、注文が増えるんです。他にも、「宛名を手書きで書く」というサービスも行っています。女性のかわいらしい字で宛名を書くんです。そんな細かい作業、普通の物流会社はやらないですよね?倉庫会社もやらないし、印刷会社もやらない。でもネットショップのビジネスは、このような細かな作業が重要なんです。エンドユーザーさんとの接点を大事にしなければ、ネットでの売上はあがりません。

 この大原則は、EC草創期のネットショップから教えてもらったこと。ネットショップの販売では、対面販売以上の細やかさが必要なんです。売上が伸びているネットショップは、Webサイトの設計も非常に丁寧です。おそらくエンドユーザーさんの視点に立って、Webサイトをつくっているのでしょう。

―ネットショップはエンドユーザーとの対面コミュニケーションがないからこそ、リアル店舗以上の「おもてなしの心」が必要なんでしょうね。

達城:そうですね。その中で、重要な「配送」を担当しているのは当社です。だからこそ、自らの責任を明確にしています。当社にミスがあれば、すぐにエンドユーザーさんにお詫びする。その姿勢とスピードを徹底しています。

 たとえば、箱に入れる商品を間違えた時。エンドユーザーさんがお怒りであれば、北海道でも沖縄でも直接ご訪問します。そして対面で謝罪し、商品を交換します。すると、エンドユーザーさんの怒りも収まるんです。またエンドユーザーさんに「しっかりした配送会社を使っているネットショップだな」という印象を持ってもらえます。つまり配送会社のサービスレベルを高めれば、ネットショップのイメージまで向上するんです。

―御社の強みは分かりました。しかし、コスト面が気になります。企業が配送業務をアウトソーシングした場合、コストは下がるのでしょうか?

達城:ほとんどの企業は下がります。特に、月商200万円以上のネットショップは確実に下がる。月商200万円以上のネットショップは、月商の12~15%が人件費でしょう。もし配送業務をアウトソースすれば、人件費を月商の10%以下に下げられます。配送業務に関わる人件費が下がるわけです。その理由は2つ。1つ目は、最初に申し上げた固定費の変動費化。費用が発生するのは、配送業務が発生した時だけです。そのため、自社で配送専門の人材を雇用する必要がありません。2つ目は、配送費自体のコストダウン。当社には数多くのお客さまがいらっしゃるため、まとめて大手物流会社さんに大量発注をしています。その数、年間100万個以上。そのため、1個当たりの配送費が大幅にディスカウントできるんです。そのコストメリットをお客さまに還元しています。

―最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

達城:「物流」ではなく、「配送」という新しい分野を確立することです。そして、その分野でトップを目指します。 「物流」という言葉には、どこか無機質で冷たい印象がありますよね。大きなシステムによって、効率化のみを追求するイメージです。

 一方、当社が考える「配送」は、人の温もりを大事にしています。単にモノを届けるのではなく、エンドユーザーさんとコミュニケーションを図る。また画一的なサービスではなく、多様できめ細やかなサービスを提供します。そして、今後も謙虚な姿勢を忘れず、着実な成長を続けていきたいと思います。

達城 久裕(たつしろ ひさひろ)プロフィール

1960年、大阪府生まれ。1982年、自宅のアパートを事務所に軽トラック1台で運送業を開始。1986年に有限会社軽サービスを設立し、代表取締役に就任。自社便が配送に出た後の駐車場の空きスペースを活用し、内職請負の仕事をスタート。1996年、関西商業流通株式会社に組織変更。2000年に内職請負の分野で世界初のISO9001(注1)を取得。その後、配送代行、通販物流など、斬新なアイデアで次々と新しいシステムを構築。2007年にプライバシーマーク(注2)とISO14001(注3)を取得。2009年に株式会社関通に社名変更。同社は設立以来、安定成長を続け、2009年2月期の年商は10億円を誇る。

(注1)ISO9001:国際標準化機構(ISO)による品質マネジメントシステムの国際規格のひとつ。組織が品質マネジメントシステムを確立し、文書化し、実施し、維持すること。また、その品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善するために要求される規格のこと。
(注2)日本情報処理開発協会(JIPDEC)が管理する個人情報取り扱いに関する認定制度。個人情報の適切な保護のための体制を整備・申請した民間事業者に対し、付与される。
(注3)ISO14001:国際標準化機構(ISO)による環境マネジメントシステムの国際規格のひとつ。企業活動、製品およびサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を継続的に実施するシステムを構築するために要求される規格のこと。

株式会社関通

設立 1986年4月(創業:1982年7月)
資本金 10,000,000円
売上高 10億円(2009年2月実績)
従業員数 92名(2009年11月現在)
事業内容 総合物流サービス、配送センター・物流倉庫・物流センター代行業務、3PL事業(注4)、コピロジサービス(小冊子作成~発送)、IT等のネットワークを利用した商品売買のシステム設計・開発・運用および保守、印刷、3D企画・販売、貨物運送事業、コールセンターおよびデータ加工センター、上記各号に付帯関連する一切の業務

(注4)3PL:3rd party logisticsの略で、企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービスのこと。自身は物流業務を手がけない企業が、顧客の配送・在庫管理などの業務をプランニングやシステム構築などを含めて長期間一括して請け負い、外部の物流業者などを使って業務を遂行する。
URL http://www.kantsu.com
お問い合わせ電話番号 06-4308-8901

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