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伊那食品工業株式会社 代表取締役会長 塚越 寛

人々から「いい会社だね」と認められれば永続企業になれます

東を赤石山脈、西は木曽山脈の峻峰に挟まれた南信州・伊那谷。天竜川沿いを南北に細く伸びるこの地に、トヨタ自動車や帝人など、日本を代表するグローバルカンパニーの経営幹部たちが足しげく視察に通う企業がある。国内No.1の寒天メーカー、伊那食品工業だ。同社は「会社の存在意義は人々の幸せの追求にある」との理念に基づいた経営を実践し、48期連続増収増益という超長期成長を実現させた。なぜ景気変動や市場の変化などを乗り越え、成長し続けられるのか。継続成長の秘訣や危機を突破してきた原動力などを同社会長の塚越氏に聞いた。

※下記は経営者通信31号(2014年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―御社は1958年の設立から48期連続で増収増益を計上しました。驚異的な継続成長の秘訣を教えてください。

塚越:売上や利益といった数字を追求せず、「いい会社をつくりたい」という一点を目標にしてきたことです。人々が日常会話のなかで「いい会社だね」と言ってくれるような会社になりたいと私たちは願っています。社是である「いい会社をつくりましょう」という言葉には、そんな想いをこめています。売上や利益は後からついてくるんです。

―どういう会社が「いい会社」なんですか。

塚越:社員や取引先、お客さま、地域の人々など、当社にかかわる人たちみんなを幸せにする会社です。たとえば、お客さまに喜んでもらえる商品やサービスを研究開発し続けるのはもちろん、仕入先を買い叩かず、下請け会社とも対等の立場で接する。郷土愛をもち続け、地域の発展に役立つお金を出し惜しみしない。社員の給与を年ごとに増やすのも大切な要素です。当社は創業時からこれらを実践してきました。

―利益を削って相当なコストをかけなければ、いい会社になれそうもありませんね。

塚越:誤解されがちですが、いい会社というのは、利益を残さず、後先考えずにばらまく会社ではありません。私が敬愛する二宮尊徳は「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という箴言を残しています。どんなに立派な道徳や理想を語っても、肝心の経済がしっかりしていなければ長続きしません。問われているのは「なんのために会社は存在しているのか」ということです。私は会社の役目とは、人々を幸福にすることだと考えています。それはきれいごとや建前ではありません。なぜなら、人々の幸せを追求するいい会社には、かならず経営にプラスの影響があるからです。

―どのようなプラスがあるのですか。

塚越:社会が豊かになるほど、いい会社かどうか、企業イメージが差別化の武器になるのです。たとえば、同じような商品が並んでいたとき、お客さまはどちらを選ぶかを考えるとわかりやすいでしょう。なんとなく、よく知っている会社、感じのいい会社の商品を選ぶのが人の自然な情です。社員の幸せを考えず、仕入先をいじめ、地域貢献に無関心。そういう会社を支えたいと思う人は少数です。品質を高めたり、値ごろ感のある価格設定も大切ですが、いい会社かどうか。それが商品イメージをバックアップし、差別化の武器になるのです。それに、人々が支えてくれる会社は、ピンチにも強い。当社が過去に何度か直面した危機を突破できたのも、いい会社をめざしてきたからです。

―どんな危機に直面したのですか。

塚越:もっとも思い出深いのは、私がこの会社に入って15年ほどたった頃。粗末な設備のせいで社員が仕事中に重傷を負うという事故が起きてしまったのです。安全を確保するためには、最新設備の導入が必要でした。しかし、それは大変高価で、当時の会社の体力では簡単に買えません。といって、危険な労働環境をそのままにして社員を働かせるわけにもいかない。進退きわまり、一時は会社をたたむことさえ考えました。最終的に「もっとも社員を幸せにできる道はなにか」という原点に立ち返り、どうにかして資金を調達。清水の舞台から飛び降りるつもりで設備投資をしました。でも、フタを開けると予想以上に仕事が順調にいき、すぐに借金が減りました。

―なぜ、それほどうまくいったのか、理由を教えてください。

塚越:社員たちの士気が高まり、以前よりやる気を出してくれたからです。どれだけすばらしい機械もカタログに記載された能力しか期待できません。しかし、人間が本当にやる気を出せば、2倍、3倍もの力を発揮するんです。このときの設備投資は、社員の安全を確保しなければならないという一心からでした。このできごとから「社員がもっと快適に、もっと幸せになるためという動機で動き出すことが大事だ」との想いが深まりました。動機が純粋であれば仕事はうまくいく、というのが私の実感です。一方で、ブームに乗っかるなどの安易な経営は結果的に会社を苦しませます。ですから、10年ほど前に寒天ブームが起きたとき、私はすぐに社員を集め、「これは会社にとって最大の危機になるかもしれない」と訴えました。

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