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グローバルの経営者インタビュー

イントループ株式会社 代表取締役 林 博文

東アジアへのアウトソーシングで間接部門のコストを30%削減

国内市場が縮小に向かう中、いま経営者にグローバルな視野が求められている。そこで今回は、グローバルに活躍する経営コンサルタント2名の対談を企画してみた。イントループ代表の林氏とマジェスティックパートナーズ代表の生江氏である。林氏は元アクセンチュアのシニア・マネジャー。アクセンチュアでは、大手メーカーの経営・業務改革コンサルティングなどを手がけてきた。生江氏は中国政府・中国企業との親交が深く、2009年に大連ハイテクパーク(注1)の顧問に就任。経営的観点から、大連政府や、大連の活用・進出を考えている日本企業へのアドバイスを行っている。今回は両氏にグローバルな視点から、企業の収益改善法を聞いた。

(注1)大連ハイテクパーク(大連高新技術園区):中国最大規模のIT産業地区。政府がハイテク産業の誘致を進めるため、税制などの優遇処置を行っている。

※下記は経営者通信4号(2009年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―2008年9月のリーマンショック以降、まだ日本は大不況から抜け出せていません。日本企業がこの状況から抜け出す方法を教えてください。

生江:リーマンショックをきっかけに、「グローバル経済全体の一律成長」という神話は完全に崩壊しました。新興国市場の急成長には大きな期待があるものの、グローバル市場は限られたパイであり、現在その奪い合いが起きています。 林:政府の大胆な政策転換がなければ、国内市場は今後も縮小していくでしょう。世界市場への進出も出遅れの感はありますが、日本の技術力や品質をもってすれば、まだまだ勝てる可能性はあると思っています。 ただ、世界で戦っていくためには「売上」のみならず、「コスト」も世界標準に追いつく必要があります。製造業における海外工場はその典型事例ですが、今後は間接部門のアウトソーシング(BPO(注2))も広がっていくと思います。 世界全体を“市場”と捉えているわけですから、“自社の仕事”も業務遂行能力とコストで最適な地域を選択するのは当然です。また日本から世界に仕事を分配することで、日本は危機感を持って「自国の強み」を磨くことになり、仕事を受けた国は経済発展にもつながります。つまり、多国間でWin-Winの関係が築けるわけです。

(注2)BPO:Business Process Outsourcingの略で、企業が自社の業務処理(ビジネスプロセス)の一部を、外部の業者にアウトソーシングすること。
 主な業務として、コールセンター業務、経理、給与支払、人事管理などがある。

―なるほど。たとえば、どの業務をどの国にアウトソーシングすればよいのでしょうか?

林:英語・日本語など対応言語によって違いますが、高度な ITシステムの開発はインドが適しています。また比較的簡単な開発であれば、コストの低いベトナム・フィリピンなどの東南アジア諸国が適しています。事務作業の中で標準化が可能な業務やデータ入力などは、中国が適していますね。 生江:もともと1980年代から、大連政府は日本語教育と税制優遇を武器にして、日本企業を誘致してきました。やはり日本企業にとって、日本語でコミュニケーションができることは大きなメリットです。実際、大連に進出している外資系企業のうち、50%が日本企業なんです。 大連は日本語レベルが高いため、高度なアウトソーシングの事例がたくさんあります。領域としては、経理、人事、総務、IT関連業務など。経理の場合、日本の税法に照らした適正な会計処理などもできます。さらに日本と大連の時差は、わずか1時間。業務上の支障もありません。

―海外アウトソーシングを進める上で、気をつけるべきポイントを教えてください。

生江:アウトソーサーの選定ですね。何の情報収集もせず、ただ海外の企業にアウトソースしても、目的は達成されません。そればかりか、業務の質も落ちます。それは、企業によって業務領域に得意不得意があるからです。ですから、その点を見極められ、現地の情報に精通した“水先案内人”が必要です。 林:その“水先案内人”が生江さんであり、当社なんです。当社はクライアントの「業務仕分け」から、手がける場合もあります。まずクライアントの社内で行うべきコア業務と、海外にアウトソーシングすべきノンコア業務を選別するわけです。そして、最適なアウトソーサーを選定する。さらにアウトソーシングの運用まで、ワンストップで支援しています。

―自社の業務を海外アウトソーシングすると、どのくらいコストが下がるのですか?

林:標準的な事例で言えば、30~40%のコスト削減が期待できます。そのくらいコストが下がらなければ、アウトソーシングする意味がありません。ただし、人件費差だけを意識しても、長期に渡る大きなコストインパクトは得られません。自社の事業戦略を再整理し、新しい価値観で業務を大胆にアウトソーシングすることが重要です。 生江:そもそも、いわゆる「ノンコア業務」をアウトソース対象とするのは当然です。重要なポイントは、「コア業務」と信じられてきた業務までも、アウトソーシングの検討対象にするということです。そこにメスを入れなければ、大幅なコスト削減はできません。実は「間接部門の約70%はアウトソーシングできる」というデータもあります。そして、その内の約70%、つまり間接部門全体の約50%は海外アウトソーシングができる可能性があります。しかし、この判断は非常に難しいと思います。だからこそプロである“水先案内人”の存在が重要になるんです。 林:ただし、大胆な海外アウトソーシングは社内の反発も招きかねません。正社員の仕事を奪うことにつながるからです。ですから、経営者にはグローバルな視野と決断力、そして繊細さが必要です。これからも当社はクライアントの経営環境を多面的に捉え、グローバルな視点で最適なご提案をしていきたいと思います。

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