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株式会社インターナレッジ・パートナーズ 代表取締役社長 細田 将秀

キャッシュゼロで導入できるインセンティブツール

あなたは本気でIPOを目指しているだろうか?もしあなたがIPOに本気ならば、ストックオプション(注1)の導入をすぐに検討すべきである。事実、新興上場企業の多くがストックオプションを導入している。その理由は、キャッシュ負担を抑えながら、高いインセンティブ効果が得られるからだ。ただし、自社に合った“設計”をしなければ、単にストックオプションを導入するだけで大きな効果は得られない。今回はストックオプション導入のプロフェッショナルである細田氏に「ストックオプションの上手な活用法」を聞いた。

(注1)ストックオプション:新株予約権の一種。会社が役員や従業員に対して、「予め定められた条件(価格など)で自社の株式を取得できる権利」を無償で付与するというもの。役員や従業員は将来、株価が上昇した時点で権利行使を行い、会社の株式を取得。その株式を売却することにより、株価上昇分の報酬が得られる仕組み。

※下記は経営者通信3号(2009年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―ストックオプションを導入するメリットは何ですか?

細田:メリットは大きく2種類に分けられます。ひとつは付与する側、つまり会社にとってのメリット。もうひとつは付与される側、つまり役員や従業員にとってのメリット。まず付与する側にとってのメリットが3つあります。1つ目は「インセンティブ効果」。企業価値を高めながらIPOを果たすことで、付与対象者は多額の報酬を得ることができます。このため、役員や従業員のモチベーションが高まり、IPOへの成長ドライブがかかりやすくなります。IPO準備は困難の連続です。全社員が一致団結して、数多くの壁を乗り越えなければいけません。だからストックオプションのインセンティブ効果によって、ベクトルを統一する必要があるわけです。 またストックオプションを導入すれば、自分の成果が株価という形で市場から正当に評価される可能性が高い。したがって、目標に対する報酬体系が明確になり、インセンティブ効果がより高まります。

―なるほど。では他のメリットを教えてください。

細田:2つ目は「財務効果」、つまりキャッシュ節約効果です。ストックオプションは会社から金銭を支出する必要がありません。そのため賞与などのインセンティブツールと比較して、キャッシュを節約できます。付与対象者は株式市場からキャッシュを得るわけです。特に中核事業への多額の投資が必要なIPO準備会社の場合、キャッシュを節約できるストックオプションは非常に魅力的です。また成果報酬型の給与体系を採用している会社は、このメリットが特に大きい。なぜなら金銭として支出している成果報酬をストックオプションの付与で代替できるからです。つまり、成果報酬型の給与体系を維持しながら、キャッシュ負担が減らせるわけです。そして3つ目のメリットは「人件費の削減効果」。未公開企業の場合、ストックオプション費用を損益計算書に計上しなくて済むケースがあります。結果、現金賞与に比べて、損益計算書上でコストを削減することができます。

―自社の人事戦略に沿ってカスタマイズができるということですね。

細田:ええ。また、付与される側のメリットは「節税効果」です。現金によるインセンティブと比較すると、付与対象者に対する節税効果が大きい。たとえば2,000万円の報酬を賞与で得た場合、最高税率の50%(所得税40%、住民税10%)が適用されます。 一方、ストックオプションで2,000万円の利益を得た場合、上場企業であれば税率は10%(所得税7%、住民税3%)が適用されます。非上場企業であれば20%(所得税15%、住民税5%)。ストックオプションは譲渡所得として申告分離課税となるため、給与所得のような累進課税は適用されず、いくら利益を得ても一定税率しか課税されません。ただし、このメリットを享受するには、基本的に“税制適格ストックオプション(注2)”として設計する必要があります。 つまり、ストックオプションは会社にとっても、役員・従業員にとってもメリットが大きいんです。もしIPOできなかった場合も会社の支出はゼロ。必要なコストは、私たちのような専門家に支払うコンサルティングフィーのみです。もし経営者が本気でIPOを目指しているのであれば、ストックオプションを導入して損はありません。実際、新興市場に上場している企業の多くがストックオプションを導入しています。

税制適格ストックオプション(注2):一定要件を満たすことにより、ストックオプションの権利行使時における所得税の課税が、実際の株式売却時まで繰り延べられるもの。また、売却価格と権利行使価格との差額に対して「譲渡所得」として課税されることとなり、原則課税である「給与所得」よりも税率が低くなる可能性がある。

―しかし、ストックオプションにはデメリットもあるのではないですか?

細田:そうですね。メリットとデメリットを整理すると、このようになります(上図参照)。また、ストックオプションは“劇薬”だと誤解されがちですが、決してそうではありません。通常の現金報酬や人事制度と組み合わせることにより、無理のない形で役員・従業員の会社へのコミットメントを高めることができるんです。

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