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Hopewill Group(Holdings)Ltd.(ホープウィルグループホールディングス) 代表取締役会長 堀 明則

中国進出のための香港マーケットの賢い活用法

かつて先進国メーカーのアウトソーシング先だった中国は、世界屈指の巨大マーケットへと変貌を遂げつつある。しかし、巨大マーケットだからこそ、日本企業が自力進出を果たすにはリスクが高い。そこで中国への本格進出の前に、香港をテストマーケティングおよびブランディングの場として活用。その結果をもとに、本格的に中国進出をする方法を紹介したい。今回はホープウィルグループリミテッド会長の堀氏に、香港マーケットの現状、中国進出を見据えた香港の活用術などを聞いた。

※下記は経営者通信15号(2011年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―日本企業が中国進出を成功させるために必要なことはなんですか。

堀:これには3つのポイントがあります。仕事に対する文化や考え方が日本と大きく異なる中国においては、「郷に入っては郷に従え」の精神を持つことが必要です。無理に日本の流儀を押し通すことなく、「日本企業からアジア企業へ脱皮する」という気概を持つことが大切なのです。また、中国進出は2つの形態に分けられます。1つめは日本企業がすべて自力で準備、調査をして進出する「自前型」。2つめは、中国マーケットに詳しいパートナーと共に、自社商品のマーケティングやブランディングを行いながら進出するという「委託型」です。しかし、「自前型」の場合、中国のような大規模マーケットにおいて自力でブランディングやマーケティングを行うには、膨大なコストや手間がかかります。まして限られた資金で実行するとなると、思うような効果が得られない。その結果、撤退を余儀なくされるというケースが多いのです。そこで、当社がお勧めしているのが「委託型」。その中でも、まず香港に進出した後、中国マーケットに詳しいパートナーと共に中国に本格進出するという方法です。

―なぜ中国への本格進出の前に、香港に進出するのですか。

堀:中国に本格進出する前のテストマーケティングの拠点として活用できるからです。香港は人口700万人ほどの小さな街でありながら、非常に先進的かつ、国民一人当たり所得の高い地域です。そのうえ、2010年度における中国本土から香港への旅行者数は約2300万人。ですから、香港においては地元住民の購買力の高さに加え、中国本土から訪れた旅行者が商品を購入して本土に持ち帰ることにより、口コミ効果などが期待できるのです。中国本土のように広大かつ経済格差のある地域では、商品や企業のブランディングを試みてもなかなかうまくいきません。そこで、まずは香港で上手に自社商品をPRして販売。その後、中国本土に商品を持ち帰った旅行者の口コミにより、ブランドという魅力を商品に付加してもらうのです。そういった流れをつくることで、中国本土の消費者にプル型の商品販売ができるようになる。さらに、これが大手企業のマーチャンダイザーを対象としたプル型の営業戦略につながる。つまり、中国への本格進出を前に、必要以上の時間やコストをかけずに香港での商品マーケティングとブランディングができるということです。

―日本企業が事業を運営する場としてはどうですか。

堀:香港は輸入に対する制限がほとんどなく、自由貿易が可能。所得税率も16.5%と低く、消費税、相続税、贈与税もありません。このため、これらの税効果を活用すれば、事業を運営するための効率的な資金調達や資産の形成、運用ができるのです。さらに、ビジネス上のトラブルを解決するための法制度も整備されていますから、日本企業にとっては低リスクで事業展開できるという大きなメリットがありますね。

―実際に香港経由で中国に進出する日本企業は多いのですか。

堀:はい。日本から一度香港に進出し、現地に子会社を設立。その後、中国本土に香港法人の子会社を設立する。さらには、ベトナムやシンガポールなど、「チャイナプラスワン」と言われるアジア諸国へ進出するための統括会社として位置付けている企業も多くあります。なぜなら、先にも触れたとおり香港は法人税が安く、金融制度や情報の質が高い。また、中国語と英語が堪能な人材が多いという魅力もあるからなのです。

―御社では、どのように中国進出を支援しているのですか。

堀:市場調査から会社設立、会計、実務のサポートを行う一方、金融支援や経営戦略などのコンサルティングを行います。多くの場合、海外に進出する企業はいくつもの悩みを同時に抱えています。ですから当社では、ワンストップで幅広いサービスをご提供。クライアントが抱える悩みに応じて、必要なサービスだけをご利用いただくことが可能です。こうしたことができるのも、「日本からの受託生産支援」、「会社設立や会計支援」、「中国進出支援のための市場調査」、「会社設立や会計支援」、「上場支援や資金調達・ビジネスコンサルティング」など、さまざまな事業を行う企業を傘下に持つ、包括的な組織体制を構築しているからなのです。当社では2003年の創業時より一貫して、日本企業のアジア進出を香港、シンガポールから支援することを事業コンセプトとしています。

―実際に御社が中国進出の支援を行い、成功した企業はありますか。

堀:はい。さまざまな業種のクライアントがいらっしゃいます。ここでは、コスメティック商品を販売する企業と中国にとって魅力的な「商品・技術管理ノウハウ」持つ企業を例としてご説明しましょう。中国では、日本の商品の品質に対する大きな信用力があります。また、中国本土では手に入らない商品を香港で購入する傾向が多く見受けられる。ですから、コスメティック商品の場合には、まず第一に日本で使われている広告資料、パッケージデザインなどを中国人好みにアレンジしました。そのうえで、中国本土からの旅行者が数多く訪れるドラッグストアを中心に販路を確保。そこで中国からの旅行者に商品を購入してもらうことで、口コミで商品の人気をアップさせると同時に商品のブランド力を創っていったのです。その結果、「香港でしか手に入らないものだから」と、中国からの旅行者が商品をまとめ買いをしてくれるようになりました。この頃には、香港での販路も当初の数店舗から36店舗へと大きく拡大。商品の販売数はさらに増加し、人気やブランド力もますますアップするという相乗効果をもたらしました。その結果、大手中国企業のマーチャンダイザーから出店のオファーを獲得。本格的な中国進出を果たしました。

―「商品・技術管理ノウハウ」持っている企業の中国進出は、具体的にどのような例がありますか。

堀:たとえば、「中古ブランド品」を商品として取り扱う販売チェーンは、まず香港に出店することにより、信頼のおける日本企業としての知名度をアップされました。「海外ブランド品の真贋を見極める能力」を武器に、安価に本物の海外ブランド品を購入できる店としての企業ブランディングを行ったわけです。そして、中国からの旅行者に口コミでその人気と企業ブランドをさらにアップしていかれています。中国では、この「海外ブランド品の真贋を見極める能力」、言いかえれば商品に関する技術管理ノウハウが、日本企業が持つブランド力となるのです。香港でしっかりと企業ブランディングを行った後、満を持して中国に進出をはかる。非常に優れた中国への進出方法だと思います。

―中国本土への本格進出は、プル型の営業戦略ですね。

堀:当社では、日本企業の高い技術力や品質などを「現地のマーチャンダイザーをパートナーとして中国本土で最適化させる」というビジネス戦略をお勧めしています。この方法であれば、日本企業は現地のパートナーにリスクを取ってもらうかたちで、中国へのビジネス進出をはかることができる。もちろん、パートナーへの手数料は発生しますが、それは中国国内に低リスクで進出し、ビジネスを成功させるための必要経費なのです。

―最後に、中国進出を考えている日本企業に向けてアドバイスをお願いします。

堀:香港や中国から日本を見ると、日本は優れた商品やサービスに溢れた宝の山です。しかし、宝の山の中にいるうちは、その宝の本当の価値が見えにくい。いま一度、自社の事業内容、商品、サービスを客観的に分析し、その価値を再認識してほしい。これからの日本企業に必要なことは、製品の商品化およびサービスの見える化。日本は物づくりは得意ですが、その製品力を商品力にまで高めてゆくのが苦手です。そのため今後は、「製品」をブランディングすることで、消費者に評価される優れた「商品」にまで昇華させる必要があると思います。また、日本では当たり前となっているサービスが、実は海外では画期的であるというケースも少なくなりません。ですから、サービスを可視化することで、客観的な価値を見出すことも、サービスを輸出してゆくときには大切になりますね。日本企業には、さまざまな角度から自社を検証していただきたい。そして、自社のさらなる発展のために香港を活用し、中国への本格進出へ乗り出してほしいと思います。

堀 明則(ほり あきのり)プロフィール

1972年、兵庫県生まれ。広島大学大学院修了。商社勤務における香港、中国駐在を経て、2003年に独立。日本企業と個人のクロスボーダーの支援各種事業を立ち上げ、現在はホールディング会社を中核とし10社のグループ会社を率いる。香港在住歴16年目にして、香港および中国マーケットに精通。現在は香港永久居民である。

Hopewill Group(Holdings)Ltd.

資本金HK$2,000,000
事業内容中国・アジアのゲートウェイ企業として、香港・シンガポールより、日本の企業、個人にグループ力で、「ワンストップ・サポート」を提供
URLhttp://www.hopewill.com

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